鳥権問題 |
アジサイ | の | 谷 | の広場 |
ペー吉 | / | うき | 中2 |
道を歩くと、鳩や鴉をよく目にする。この白の鳥と黒の鳥は、文明の中にい |
ながらにして触れられる、いわゆる「都会の自然」だ。豊富な餌が都会の中に |
あり、そこでの生活がそこそこ快適だからこそ、そこに住んでいるのだろう。 |
しかし、最近、鴉や鳩の立場がどんどん大きくなっているような感がある。 |
私が街を歩いていた時のことだ。ちょうど店に買い物に行くところで、その |
店への途中の道に、鳩や鴉が集まる広場、つまり、どこにでもある鳥の溜まり |
場があった。考え事をしながら歩いていた私の肩に、突然重みがかかった。反 |
射的に目線をそちらに移動させてみると、肩に一羽の鳩がとまっていた。 |
私が多少呆けていたせいもあるかもしれないが、この鳩の行動は相当大胆だ |
と思う。こうした溜まり場では、鳩の権力は増大し、人間は鳩に食料を供給す |
る存在となっている。鳩がすっかり人間をなめきって、このような態度をとる |
のだろう。鳥が人間の都市でこのような態度をとるのは、やや問題であると思 |
う。 |
しかし、こうした一握りの自然を排他するのはよくない、という感じもある |
。鳩や鴉も都市を構成する一部分であるからだ。 |
「舌切り雀」という昔話がある。簡単に説明すると、雀を優しく育てた男が |
恩を受け、雀を迫害した女が仇を受ける、という話だ。簡単すぎて、多少私見 |
が混じっているが。雀に限らず、鴉や鳩などの自然の鳥が、反撃以外に人間な |
どの、自分達よりも大きな動物に敵対する事はない。同様に、必要以上に態度 |
が大きくなる事もない。原因は人間にあり、人間が下手にでたり、人間が動物 |
を迫害するからこそ、鳩の態度は大きくなり、鴉は人を襲うのだ。襲う場合で |
も、あくまで自分達に仇をなした人間に限られる。 |
鴉にしろ鳩にしろ、その害の根本は人間にある。人間が甘やかし過ぎ、迫害 |
しすぎた結果が、鳩や鴉の権力の強大化の原因なのだ。人間の文明が進むに連 |
れて、自然のバランスは狂っていっている。一度傾いた天秤を元に戻すには、 |
片方の受け皿から、少しずつ余分なものを抜いていけばよい。「餌をやる」「 |
苛める」といった行動は、人間の驕りがもたらすものである。我々は、一度人 |
間もまた自然の中の一つのシステムにすぎない、ということを見直すべきでは |
ないか。そうしなければ、鳥の権利はますます増え、鳥の行動が段々と大胆に |
なっていくだろう。人権問題ならぬ、鳥権問題はなにかと深刻だ。 |