ひとこと
小さなことから。
アジサイの広場
吉見こと大2
 
 現代の家庭用品の必需品に魔法ビンがある。今日の魔法ビンのデュワー壁は
ステンレスが主流だが、ひと昔前はガラスが主流であった。当時、家庭製品会
社は、よりよい魔法ビンはガラスの部分が割れにくいもの、と考えていた。だ
から、どの会社も割れないガラスの研究に躍起となっていた。しかし、ある会
社だけは、ガラスというものは割れてしまうものなのだから、それならばガラ
スを使わなければいい、という発想のもとステンレスを使用した新しいタイプ
の魔法ビンを開発し大きな反響を得た。今日の社会では、大小様々な難問があ
る。小手先だけの部分的な変革ではなく物事の本質を捉えた根本から変えてい
く変革が必要である。
 
 よく大学の経済学系の教授が<ケインズの亡霊>と呼ばれることがある。ケ
インズは有効需要を作り出すことが国を豊かにする、と説いた人物である。こ
のケインズの説いた理論を時代が変わった今日でも崇拝している人たちを皮肉
を込めて<ケインズの亡霊>というのである。私たちの身の回りにある無駄な
道路工事も、このケインズの亡霊の仕業である。不況だから、どんどん公共投
資をする、という考えが役に立たないのは皆が実感しているとおりである。今
、経済学の世界では、様々な研究が積まれている。経済学の革命を起こすよう
な変革を期待したい。
 
 最近、少年犯罪が大きな問題となっている。文部省も教育委員会も解決の糸
口を模索しているところである。最近、勃発している少年犯罪が契機となって
学校教育や少年法の改正が焦点となっている。だが私は学校教育も少年法も改
善したからといって少年犯罪解決の糸口になるとは思わない。原因はやはり、
その子供を育てる家庭にあると思う。どんな優秀な学校に通っていても荒れる
子は荒れてしまう。子供の頃というのは、ある意味、家庭で親と接することが
一番の教育となる時期である。
 
 金融ビックバンという言葉があるが、金融の世界だけではなく様々な分野で
ビックバンが必要であろう。しかし大きな変革というのは大きな痛みを伴うも
のである。私たちの生活にも何らかの支障が生まれてしまうかもしれない。真
のよいことは、新聞に大きな騒ぎを起こすことなく小さく始まる、という文句
がある。まずは私たちの生活の小さなものから始めようではないか。小さなも
のでも個々人ではなく、皆が実践すれば大きなものとなる。腐敗した政治家に
倫理を求めるのではなく、私たちが選挙を通して、この国を変えていこう、と
いう心構えが必要である。