ひとこと(4月4週)
無題
イチゴの広場
きわ大2
分析医学
 
 今日の社会は西洋医学のように、傷んだ箇所を分析しそれを物理的に治そう
としてきた。歯が悪ければ、悪い箇所を削って詰めものをするように。なぜ悪
くなったのか、悪くさせない為にはどうしたらいいのか、ということについて
はあまり考えなかった。その結果、その問題の根本的な解決とはなっていなか
った。
 
 例えば、かつてo-157という大腸菌が大規模な食中毒を起こしたことがある
。この時言われたことは、「手をきれいに洗いなさい」「食べ物にはよく熱を通
しなさい」という指導であった。しかし、本当に注目しなければならないのは
、食中毒になった子供ではなく、同じ物を食べても平気だった子供である。同
じ物を食べたけれども抵抗力があって中毒にはならなかった。こちらの方に注
目した方が新しい視点が開けるのではないだろうか。
 
 また、最近の例で言えば、突然「キレる」中学生たちの問題である。この問題
に対して、文部省などは「各学校にカウンセラーを配置する」「校内に警察官を巡
回させる」などのように、どこに問題があるのか、対策としてはどのような手を
打てば良いのかを考えている。しかし、このことについても悪い箇所を削って
詰め物をするような考え方ではなく、なぜ少年たちはこのような行動をとるの
か、その少年たちのいる環境そのものから考える必要がある。
 
 たしかに、問題のある部分を細かく分析することは大切なことである。
 
 しかし、分析することにとどまり問題の目先の解決を急ぐのではなく、その
先にある問題の背景を忘れてしまってはならない。そこにこそ、本当の解決が
あるのである。