ひとこと | (8月2週) |
一人の十歩と十人の一歩 |
イチゴ | の | 空 | の広場 |
まちゃみ | / | あい | 大3 |
日本社会は、もともと十人が一歩進もうとする、平等主義の社会だった。日 |
本国民全体が豊かになりたいという共通の信念を持ったおかげで、第二次世界 |
大戦後の日本経済は「高度経済成長」と言われるほどの成長を遂げることが出 |
来た。しかし、最近の日本経済はさまざまな理由があるにせよ、長期に渡る不 |
況の時期にある。今までの平等主義の行き詰まりが見えてきた結果ということ |
もできるだろう。 |
アメリカのような国は、もともと一人が十歩進もうとする、実力主義の社 |
会、あるいは競争主義の社会である。多少の問題があるとはいえ、現在のアメ |
リカの経済を見ると、日本とは明らかに違って好景気である。現在の状況を見 |
る限り、私は平等主義よりも競争主義の方が遙かに良い社会になるのではない |
かと感じる。 |
競争主義の社会ならば、その社会に生き残ろうとして必死になるので、社 |
会全体が活気づくからである。 |
経済学を勉強した人なら誰でも聞いたことがあるであろう「自由競争」と |
いう言葉がある。この自由競争の状態の市場において、需要と供給が一致する |
ところで「価格」というものが設定されるのだ。例えば、ゲームソフトの市場 |
を考えてみると、今はもうソニーの「プレイステーション」が群を抜いて売れ |
ている。それに続いて、任天堂の「Nintendo64」やセガの「セガサターン」 |
といった感じだが、昔は任天堂一色だった。「ファミコン」から始まって「ス |
ーパーファミコン」などで、驚異的な売り上げを見せていたが、今はソニーに |
追い付くため、そしてゲームソフト市場で生き残るため、日夜努力を重ねてい |
る。このように、一つの市場において多数の企業が競争することで、その市場 |
が活気づき、他の市場にも影響して社会全体が活気づけば、経済だって安定し |
た成長を遂げるだろう。競争している方が、経済にとっては良い状態なのであ |
る。 |
しかし、競争主義の社会では、少しでも油断をしていると、とんでもない |
ことを招きかねないという怖さがある。 |
「ウサギとカメ」の話は皆さんもご存じであろう。足の速いウサギと足の |
おそいカメが山の頂上を目指して、競争するお話である。足の速いウサギは、 |
山の途中で寝たりしなければ、絶対に負けることなどなかったのに、足の遅い |
カメに寝ている間に抜かされてしまい結局は負けてしまったのである。何とも |
情けない話ではあるが、このように少しでも自分が油断をしていると、相手に |
あっという間に差を付けられてしまうようなことが、競争社会においてはよく |
あることなのだ。 |
平等社会において、国民全体が「カラーテレビ」が欲しいと思ったとする |
。結局はこのような思想が、日本の「高度経済成長」を支える原動力になった |
わけだが、視点を換えてこの状況を捉えると、国民全体が同じことしか考える |
ことが出来ない、というようにも捉えられる。人間は、それぞれに個性や特徴 |
を持っている。「十人十色」というやつだ。しかし、平等社会においては「一 |
人一色」になってしまい兼ねない。このような社会に生きていては、誰だって |
つまらない世の中だと感じてしまうだろう。私は、平等社会において人々と同 |
じ考えを持つよりは、競争社会において人々とは違う考えを持って生活してい |
くことを望みたい。このような目で現在の社会を見つめている、今日この頃で |
ある。 |