作文の表現には、子供のいろいろな特徴が表われます。 「会話」 小学生の場合、男の子は一般に会話を書くのが苦手です。出来事を数字や名前を使って説明的に書くのは得意ですが、会話を使って描写的に書くことはあまりしません。これはその子の興味の対象が描写ではなく説明にあるからです。極端な場合は、どこか旅行に出かけたときなどの作文で、「次は○○という駅で○番線から○時○分の○○という電車に乗り、○時○分に○○という駅に着いた。そのあと……」というような話を会話を一つも入れずに延々と書きつづける子もいます。こういう作文は、小学生のころの作文としては高い評価はされないと思いますが、こういう子が中学生や高校生になると説明のしっかりしたいい文章を書くようになります。逆に女の子の場合、情景描写が得意なことが多いので、小学生のころはじょうずな作文として評価されがちですが、中学生や高校生になって逆に幼稚な文章になってしまうこともあります。 「たとえ」 「たとえ」は小学生の作文の表現力として重要なものですが、この「たとえ」の苦手な子の中に、真面目すぎて「たとえ」が苦手という子がいます。「たとえ」は発想の飛躍や柔軟性がないと思いつきにくいものですから、あまり真面目に考える子は、「たとえ」が苦手になるのでしょう。 「感想」 感想の部分がものたりない子は、一般に大人との対話が不足していることが多いようです。いつも「楽しかったです」でまとめてしまうような作文を書く子です。お母さんやお父さんとよく話をしている子は、感想の部分にその子らしい独特の感じ方や考え方が出てきます。 「ことわざの引用」 ことわざの引用が得意な子は、家庭での会話の中でお父さんやお母さんからことわざを聞いて育っているということが多いようです。逆に、家庭でことわざを使って話すような場がないと、高校生ぐらいになってもことわざをほとんど知らないという子が出てきます。ことわざは、ことわざ辞典などで勉強して身につけることもできますが、やはり日常生活の中でその場面にあったことわざを聞くことで生きた使い方ができるようになってくるようです。 「一般化の主題」 小学6年生で勉強する「一般化の主題」は、「○○は人間にとって……」という感想を書く書き方ですが、ちょうど小6のころはこういう大きいとらえ方ができ始める年齢にあたります。一般に女の子の方が男の子よりも1年ほど早めに精神的に成長しているので、女の子は比較的楽にこういう書き方ができるようになりますが、男の子はしばらく苦労するようです。そういう場合は、とりあえず形の上だけでできればいいというぐらいに考えておくといいと思います。次第に、その形に内容が伴うようになってきます。 「理由、方法」 中学生以降の構成の練習で出てくる「理由」や「方法」は、抽象的な思考力を必要とします。意見に合わせた実例を考えるだけならすぐに思いつく子も、その意見に合わせた理由や方法を考えるとなるととまどうことがあります。理由や方法を考えるということは、ものごとを構造的にとらえるということですから、思考力がはっきり出てきます。中学生以降の作文の勉強では理由や方法を考える力が作文の実力に比例します。この力を育てるためには、長文音読や難読が必要です。 |
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