庭のスズメたち
●動画:https://youtu.be/zA5d2OZbcPg
言葉の森が、発足当初から子供たちの家庭学習として推奨していたのが音読でした。
音読は、ただ繰り返すだけでなく、同じ文章を日をおいて繰り返すことが大事です。
何日も繰り返し読んでいると、その文章を半ば暗唱できるようになります。
音読の効果は、この半ば暗唱できるところまで行って初めて出てきます。
そこで、言葉の森が始めたのが暗唱検定® です。
https://www.mori7.com/askt/
暗唱の指導をしてわかったのは、音読は続けるのが難しいが、暗唱は続けられるということです。
なぜなら、暗唱は楽しくできるからです。
音読の宿題などをするとき、子供は飽きるので、次第にいい加減に読むようになります。
すると、それを聞いていたお母さんが読み方を注意します。
音読をすると、いつでも注意が始まるので、子供はますます音読を嫌がるようになります。
だから、音読は続かないのです。
齋藤孝さんが、しばらく前に、「1分間速音読」を出していました。
こういう本を作る人も、それを読もうと思う人も、音読というものがわかっていません。
また、学校で子供たちに音読の宿題を出す先生も、音読がよくわかっていない人が多いと思います。
それは、音読の繰り返しの回数が少なすぎるからです。
「1分間速音読」では、10回読むという表がついていますが、この本で、最初のページにある「ごんぎつね」約500字を10回読む子はまずいません。
そして、もし真面目に10回読んだとしても効果はありません。
音読は、繰り返し読むことによって、それが身につくことが大事です。
そのためには、貝原益軒が「和俗童子訓」の中で、素読の方法として「百字を百回読む」と述べたように、繰り返しの回数の目安を百回とすることが必要になるのです。
言葉の森の暗唱の仕方は、貝原益軒の方法を現代化したものです。
今の子供は、百字を百回読むというような練習はまずできません。
だから、1日に読む量は、約百字を30回です。これなら10分でできます。
30回音読すると、その日は、その百字の文章をほぼ暗唱ができるようになります。
2日目は、次の百字も同じように30回読みます。
3日目は、その次の百字も同じように30回読みます。
4日目は、1・2・3の300字の文章を10回読みます。
5日目も、6日目も、7日目も同じように300字を10回読むと、1週間で300字の文章が暗唱できるようになります。
次の2週目は、別の300字も同じように暗唱できるようにします。
3週目は、また別の300字も同じように暗唱できるようにします。
4週目は、全部で900字の文章を毎日4回ずつ音読します。
そうすると、1ヶ月で900字の文章を暗唱できるようになるのです。
暗唱の勉強が、ただの音読よりも続けやすいのは、達成感があるからです。
最初に100字の文章を読むときは、誰でも、「こんなの暗唱できるかなあ」と思います。
しかし、30回読んでいると、25回目ぐらいから急に、元の文章を見ないでも読めるような気がしてきます。
しかし、ここで文章を覚えようとは思わずに、もとの文章をしっかり見ながら音読を続けることが大事です。
なぜ覚えようとしないかというと、見ないで覚えようとすると、「えーと、次は何だっけ」と思ってしまう瞬間があるからです。
すると、暗唱の中に、「えーと」という待機時間が生まれるようになります。
つまり、「えーと」も一緒に暗唱してしまうようになるからです。
30回読み続けて暗唱ができるようになると、「やったあ」という感覚が生まれます。
最初は、「できるかなあ」と不安に思っていたのが、最後は、「できたあ!」と喜びになるのが暗唱の持つ達成感の感覚です。
江戸時代の素読が教育法として続いたのも、この達成感があったからなのです。
言葉の森では、900字の文章(以下、わかりやすく約1,000字として計算)を3つつなげて、合計3,000字の文章を7分で暗唱することを最初の目標にしています。
更に、その3,000字の文章を4つつなげて12,000字の文章を30分で暗唱できるようにするのが次の目標です。
すでに、それに合格した子が6人います。
その12,000字の文章の中には、百人一首の3,100字も入っています。
この百人一首を途中で止まらずに7分で読むというのが難しいところです。
これには、コツがあり、五七五七七の最後の七を、次の句の最初の五とできるだけ続けるように読むのです。
句と句の間には意味の上での関連性がないので、一つ読んで一息ついてしまうと、次の句を読むときに、「えーと」と思ってしまうからです。
こういうことは、音読と暗唱を実際にやった人でなければわかりません。
ブンブンどりむの監修者である齋藤孝さんは、よく知りもしないで、作文や読解や暗唱のことを書いていると思いました。たぶん、人に言われて、あちこちのコピーを寄せ集めて本を書いたのだと思います(笑)。