■言葉の森では、どういう勉強をするか
・高校生の作文の字数は、600-1200字です。
・1200字の作文(小論文)を60分で書くスピードを目標にしていきましょう。
・感想文課題のもとになる文章は、大学入試の現代文や小論文の課題と同じ難しさです。解説を見る前に、自分なりに書く方向を考えてみましょう。
・構成の仕方は、原因や対策を考えるかたちが中心になります。原因や対策の考え方には、その人なりのパターンができてくるので、自分の得意な発想法を見つけていくようにしましょう。
・パソコンで書ける人はできるだけパソコンで書き、自動採点ソフト森リンの点数を上げることを目標にしていきましょう。
■高校生の勉強の仕方
高校生は、学校の勉強で理系か文系かの選択があります。
現代の受験体制のもとでは、自分の持っている実力を生かして合格しやすい大学に入ることが目標になりがちです。そのため、数学が苦手な人は文系を選択する傾向がありますが、数学は、時間はかかるものの、勉強の仕方さえ正しければだれでも成績を上げることのできる教科です。
理系と文系の将来性を比べた場合、理系の方が広い可能性を持っています。数学が得意であれば、文系の大学に数学を生かして入ることもできます。文系を選ぶとそこから理系に移ることはかなり難しくなります。受験という短期間のことだけでなく、自分の将来の実力を幅広くつけていくためにも理系を選択するとよいと思います。
文系を選んだ人は、高校時代の間に数学から更に縁遠くなってしまうと思います。数学はやればだれでもできるようになるものです。苦手だという意識を持たないようにするためには、大学生になってから、中学生の数学の勉強を教える機会を持つといいと思います。人間は、15歳のころにわからなかったことが、18歳になると驚くほどわかるようになります。言葉の森の生徒で、中学、高校と数学があまり得意ではなく文系に進んだ人が、大学生のときにアルバイトで中学生に数学を教えている間に数学が好きになり、そのまま数学の先生になってしまったということがありました。数学は理屈の世界の勉強なので、わかり始めると面白くなるのです。
高校生になると、読書をする人としない人が更にはっきり分かれてしまいます。読書は、社会人になってからも勉強の最も重要な手段になります。高校生のときにある程度難しい本を読む力をつけていないと、社会人になってから説明文の本を読めなくなってしまいます。高校生のときに難しい説明文の本を読むと、国語の成績も当然上がってきます。読書を、毎日の生活の中に必ず取り入れるようにしていきましょう。
高校2年生の終わりの春休みには、受験勉強の準備を始めましょう。準備の仕方は、大学入試の勉強の仕方の本を読むこと、志望校を決めること、志望校の過去問を答えを書き込みながら解いてみること、志望校に合格するための参考書や問題集を選ぶこと、1年間の勉強の計画を立てることなどです。計画は最初はおおまかなものでかまいません。やっていくうちに軌道修正していきます。
これらの準備の中で、いちばん大事なのは、大学入試の勉強の仕方の本を読むことです。大学入試は、ほとんどの人にとって初めて経験する本格的な入試です。それまで入試の経験もある人でも、中学入試や高校入試の場合は、ある程度他人任せでやってこられました。塾の先生や学校の先生が指示してくれた路線で、本人は指示のとおりに勉強するだけですからある意味で気楽な受験でした。大学入試は、自分で計画を立てて、自分の判断で勉強をしていかなければなりません。
予備校などではその勉強計画を肩代わりしてくれるメニューを持っていますが、そういう他人が用意してくれたメニューで勉強すると、無駄な勉強が多くなります。自分の考えで勉強の計画を立てると、最初は能率が悪いように見えますが、試行錯誤の中で次第に自分に合った勉強の仕方をしていけるようになります。また、そのようにして自分の力で取り組んだ経験は、将来の大きな財産になります。自分の力で取り組むために、受験勉強の仕方に関する本を何冊か読んで知識を増やしていく必要があるのです。
自分で計画を立てて勉強していく場合、いちばんの頼りになるのが志望校の過去問と模擬試験です。勉強を進めていると本筋からはずれたところに時間をとられてしまうことが出てきます。ときどき過去問に戻って、自分の勉強の仕方の軌道修正をし、模擬試験で自分の位置を確認しながら勉強を進めていきます。ところで、模擬試験はあくまでも模擬試験です。模擬試験で出る合格可能性よりもあてになるのが、過去問がどのくらいの割合でできているかということです。過去問は、その年に出ている本の場合、過去7年間分ぐらいの問題しか載っていません。余裕があれば、中古のものも買っておくとよいでしょう。大学入試は、過去問を軸にして勉強していきます。そのためには、高2の春休みの段階で、解ける問題がまだほとんどない状態でも、全教科の答えを書き込みながら1年間分解いてみて、今後の勉強の方向をつかんでおくことが大切です。
大学入試で小論文がある場合の書き方は、普段言葉の森で勉強している書き方と同じです。パソコンで書いている人は、試験の3ヶ月ぐらい前から手書きに戻して、手書きで書く感覚に慣れておきましょう。志望校の過去の問題に合わせた形で10編ぐらいの作文を書いておけば、そこで使った実例、表現、意見などを生かして入試の作文に対応することができます。