ログイン ログアウト 登録
 自治に生かす(facebookやgoogle+と教育6) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 1329番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/7/23
自治に生かす(facebookやgoogle+と教育6) as/1329.html
森川林 2011/08/09 17:48 



 facebookやgoogle+を作文の勉強に生かすという話の最終回です。

 最初は作文の話から始まりましたが、それが教育全体の話になり、教育以外の生活の話にまで広がりました。そして、今回は自治の話です。いわば、日本の新しい国づくりの話と言ってもいいと思います。

 なぜ、そういうところまで話を進めるかというと、今、日本を含め世界全体が政治的にも経済的にも危機の一歩手前にあるように思われるからです。

 これは、たまたまやり方が悪かったからうまく行かなかったのではありません。欧米の文化から始まった近代の世界自体が行き詰まっていることの反映なのです。

 この行き詰まりを打開することのできる文化を持っている国は日本です。日本は、欧米とは全く異なる文化圏で、江戸時代の300年間、豊かで平和で高度に発展した社会を作ってきました。江戸時代の日本の社会は、欧米よりもさまざまな面で優れた特徴を持っていました。

 ただし、欧米の文化から離れていたために生じた弱点もありました。一つは、民主主義が不徹底だったこと、もう一つは、近代科学が未成熟だったことです。しかし、社会の底流では民主的な運営が行われていましたし、生活の中には科学的なものの考え方が広がっていましたから、いったん欧米の文化に遭遇すると、急速にそれらの政治制度や科学技術を自分たちの文化に移植することができたのです。

 明治以降の日本の歴史は、欧米に追いつくための歴史でした。しかし、政治的にも経済的にも、欧米に追いついたころ、日本が直面したのは、欧米文化の限界でした。

 今日、限界はさまざまなところで現れています。当面の第一の問題は、世界のほとんどの国で経済が行き詰まりを見せていることです。アメリカの経済には、もう自立して回復する力はないようです。今は、裏付けのないドルを印刷してお金を回していますが、借金を増やして時間かせぎをしているだけのように見えます。ヨーロッパも、ギリシアのあとに予想されるイタリアやスペインの破綻を救う余力はもはやないようです。日本もまた、毎年、展望もなく税収をはるかに上回る支出を続けています。

 どこかの国が、「もうこれまでの借金は返せない」と言い出せば、そこから世界中のすべてのお金の動きが停止する可能性があります。

 しかし、そこで破綻するのは、際限のない軍事費など無駄な支出を重ねてきた国家であって、個人としての国民ではありません。ほとんどの個人は、収入の範囲で支出をするという健全な生活を営んでいたのです。

 だから、国の経済が破綻しても、個人が地域の中で協力する仕組みさえ作ることができれば、かえって国家が余計なことをしない分、ずっと暮らしやすい社会ができます。

 そして、その社会は、暮らしやすいだけでなく、これまでなかったほど文化が豊かに花開く社会になるのです。

 なぜでしょうか。これまでのグローバルな分業化された個人がばらばらに消費者であるような社会では、消費者のニーズは観念的に考えられた架空のものでした。自治的に運営される社会では、ニーズは、個人個人の真の要望に根差したものになるからです。

 例えば、食品会社は、現在、最も安く仕入れることができる生産地から大量の原料を集め、輸送費をかけて運び、保存料で長持ちするようにし、着色料で見た目をよくし、広告宣伝費をかけて消費者に売り、売れ残ったものは廃棄します。(そうでないところももちろんありますが)

 このとき、消費者のニーズは、安くて見た目がよくて長持ちするものをセンスのいいコマーシャルにつられて買うところにあると思われています。この架空のニーズに基づいて生じる、輸送費、着色料や保存料の費用、広告宣伝費、廃棄にかかる費用などすべてがGDPを押し上げています。

 しかし、ここで豊かになったものは、お金に換算された売上や利益だけであって、見方を変えれば多くの人は逆に貧しくなっているのです。着色料や保存料の会社で働く人は、本当はそんなことのために働きたくはないはずです。広告宣伝会社で働く人も同様です。みんな、本当は相手が喜ぶことをして働きたいのに、分業化された社会の中では、往々にしてその反対のことをしなければお金が回ってこない仕組みになっているのです。

 ところが、自治的な社会で、相手の本当のニーズがわかる中で仕事をするようになれば、だれもが相手が喜ぶようなことを自分の仕事の中心にするはずです。しかし、衣食住の直接的なニーズは、今の人類の生産力からすればすぐに埋められますから、多くの人は文化的に相手を喜ばす仕事に向かうでしょう。こうして、江戸時代がそうであったように、さまざまな文化が花開く豊かな社会になるのです。

 世界の経済が破綻することは、これまでの無駄の多い社会の無駄の部分に乗っていた人にとっては大きな脅威になります。しかし、地道に働いていた人にとっては、地域で助け合う仕組みができれば、国の経済破綻は何の脅威でもありません。むしろ、新しい社会に移行するちょうどいいきっかけになるぐらいです。

 しかし、そのためには、地域の自治の受け皿ができている必要があります。だから、日本の社会にとって今いちばん大事なことは、江戸時代のような地域自治の文化を作り出すことなのです。



 対話と個別指導のあるオンライン少人数クラスの作文教室
小1から作文力を上達させれば、これからの入試は有利になる。
志望校別の対応ができる受験作文。作文の専科教育で40年の実績。

コメント欄

コメントフォーム
自治に生かす(facebookやgoogle+と教育6) 森川林 20110809 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
れろわを (スパム投稿を防ぐために五十音表の「れろわを」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文教育(134) facebook(29) 
コメント1~10件
昔テレビで一億 森川林
最近の研究では、ゲームは頭をよくするということが言われていま 7/17
記事 2968番
昔テレビで一億 匿名
最新の医学研究でYouTubeを筆頭としたスマホコンテンツが 7/10
記事 2968番
掛け声だけでな 森川林
 あおさん、ありがとう。  読書会、確かにいいですね。 6/12
記事 5344番
掛け声だけでな あお
読書会っていいと思います。私は2年ほど前から地域の読書会に入 6/10
記事 5344番
【合格速報】東 ののはな
東北大学へのご入学、おめでとうございます。 晴れ晴れとした 4/10
記事 5324番
【合格速報】東 とうこ
Yちゃん、ご入学おめでとうございます! 嬉しいご報告を、あ 4/10
記事 5324番
【合格速報】兵 匿名
すごい 3/26
記事 5281番
新しい教育のビ 森川林
 この勉強の目的は、どこかいい大学に入るようなことではありま 3/17
記事 5309番
これからの学力 森川林
発表広場に発表作品を入れています。 (カメラオフの発表のみ 3/5
記事 5306番
暗唱のコツは早 音楽
本当にありがとうございました。 テスト合格できそうな気がし 3/3
記事 700番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
ゆめ。 森川林
 ゆめ。 「ありがとう。楽しかった。たまに怖かったとき 7/23
森川林日記
2025年7月 森川林
■1.夏季休業期間中の授業と夏期講習の記事を載せまし 7/22
森の掲示板
読書のためのだ 森川林
読書のための本選びで大切なことは、 ストーリーの面白さでは 7/21
森川林日記
Re: 第十番 森川林
B 休眠に入った虫は、厳しい冬をただじっと耐えて乗り切る × 7/17
国語読解掲示板
朝日中高生新聞 森川林
朝日中高生新聞7/13の「天声人語で200字作文」で紹介され 7/14
森川林日記
第十番 冬が近 あういと
問三のBと問4のBが分かりません。 教えてください。 7/9
国語読解掲示板
読書のレベルを 森川林
 変な本を読んでいる子がいたので、聞いてみると、「ビブリオバ 7/6
森川林日記
「世界の教育は 森川林
 著者の白井さんは、よく調べて勉強している。  現在の 7/4
森川林日記
以超、以満とい 森川林
 「以超」は、以上、以降、以後だが、そこを含まずそこを超えた 7/2
森川林日記
2025年6月 森川林
●サマーキャンプ、8/14満員、8/15ほぼ満員。 6/23
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン