今日のfacebookページの記事に、作文は、やりようによっては楽しい勉強だが、やりようによっては苦しい勉強になるということを書きました。
実は、この差は、とても大きいのです。いつもにこにこ楽しそうに作文を書く子もいますが、その一方で、いつも注意されながら書く苦しい勉強になっている子もいるようです。
作文は答えがない勉強なので、子供の書く作文をいちばん身近に見ているお母さんは、ついひとこと注意をしたくなります。
ところが、作文というものは、注意してすぐに上手に書けるものではありません。会話の改行のようなことひとつとっても、小学校低学年の子は、何度も言われて初めて少しずつできるようになります。それを、一度で直そうとすると、親子げんかのようなことになるのです。
一般に、作文の指導というと、誰が教えても、思うようには行きません。それは、答えのない勉強なので、教える側がつい高いレベルのことを要求してしまうからです。
ところが、言葉の森の作文指導は、決まった手順どおりに教えれば、そういう無理がありません。
その理由は一つには、項目指導というものを行っているからです。この項目指導は、言葉の森だけの指導法ですが、この教え方をするだけで誰でも楽に作文を書くことができるようになります。
しかし、項目指導だけでは、進歩に限界があります。
項目指導は、どんな苦手な子も書けるようになるという点では優れた指導法ですが、より上手に書くための指導をするという点では、ややものたりないのです。項目が全部できるようになり、時間内に必要な字数が書けるようになったとしても、それは作文の土台ができたということにすぎません。
そこで出てくるもう一つのツールが、森リン点です。
森リンというのは、言葉の森が開発した小論文自動採点ソフトですが、文章力がある程度以上ある生徒の場合は、この森リン点が進歩の目安になります。
例えば、小3から作文の勉強を続けている中3のU君の1年ごとの森リン点は、下記の表のようになっています。
学年 | 字数 | 森リン点 | 森リン点のグラフ |
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中3 | 1215 | 90 | |
中2 | 1298 | 79 | |
中1 | 1233 | 87 | |
小6 | 942 | 79 | |
小5 | 469 | 67 | |
小4 | 733 | 71 | |
小3 | 312 | 63 | |
(データは、毎年の12月1週のときの作文としました)
これを見るとわかるように、字数は学年が上がるごとに増えています。しかし、小学校6年生で1200字以上書くようになると、もう字数では作文の進歩の度合いはわかりません。
そこで、森リンの点数を見ると、森リンの点数は、毎年少しずつ上がっていきます。もちろん、1200字の文章で出る差はほんのわずかです。しかし、この1点や2点の差が、実は文章力の上ではかなり大きな差になっています。(中2のとき、ちょっとスランプがあったようです)
言葉の森では、毎月の清書を、できるだけ保護者の方にパソコンでテキスト化していただくようにしています。それは、森リン点の経過が家庭でも把握できるようにするためです。
清書のパソコン入力をするようにしてからデータがかなり蓄積されてきたので、これから森リン点を目標にした勉強がだんだんできるようになると思います。
作文は答えのない勉強と書きましたが、言葉の森は、答えに近いものを作ることによって、作文の勉強をよりやりやすいものにしています。
====今日のfacebook記事より====
作文は、うまく生かせれば、すごくいい勉強になります。
親子の対話が弾むし、子供の思っていることがわかるし、毎週の作文が記念になるし、書く力がつくし、読む力がつくし、盛りだくさんです。
しかし、うまく生かせないと、すごく苦しい勉強になります。
子供は嫌がるし、親は怒り出すし、その結果、全然書けなくなって、たまに教室にSOSの電話が来ることもあります(笑)。
でも、ほとんどの場合、ちょっとした水の向け方ですぐにまた書き出せるようになります。
普通の勉強は答えが決まっているので、子供も、親も、舗装された一本道を迷いなく進めます。
しかし、作文は答えがないので、ときどき藪の中に入り込んでしまうことがあるのです。
そんな作文を、小学校低学年から始めて、高校生の終わりまで続ける生徒もいます。(大学生になっても続ける生徒もいます)
たまたま入試に小論文の試験があって、それまでの勉強が生かせることもよくありますが、小論文の試験がないことももちろんあります。
しかし、それまでの勉強の過程で、書くことや考えることが好きになったというのがいちばんの成果なのだと思います。
====引用ここまで====