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教えすぎ、教材の与えすぎが子供の学力を低下させる as/2201.html
森川林 2014/08/25 04:39 
修 削


 子供が勉強をしていて何か聞いてきたとき、すぐに教えてしまう親や先生が多いと思います。
 それが、知識的なことであれば、それでもいいのです。むしろ、気軽に質問できるという雰囲気が大事なので、聞かれたらすぐに教えてあげるというのは全く問題ありません。

 しかし、理屈を理解しなければならないときは、教えることがかえって子供の理解を浅くすることがあります。特に、算数や数学の場合は、教えてあげると、わかった気になる分、真の理解が遅れます。
 だから、質問があったときは、自分なりに考えさせることが大事です。できれば、その理解の助けになる部分を示してあげることですが、それが難しいときは、何しろ本人に自分で考えさせることが大事です。
 自分で考えた結果、やはりわからなかったとしても、長い時間考えたあとに教えてもらうと、すぐに教えてもらうよりも理解が定着します。

 勉強というものは、もともとわかるようにできています。
 受験のための勉強では、点数に差をつけるためにわかりにくい問題が出されていますが、その場合でも答えを説明してもらえれば誰でもすぐにわかるようになっています。
 しかし、わかるためには、本人がその問題と答えに納得がいくまでじっくりと向き合うことが大事です。じっくり向き合う方法は、その問題と解法を何度も繰り返し解くことです。
 国語の場合、精読とは繰り返し読むことでした。算数数学の場合も、深い理解は、できなかったところを繰り返し解くことで得られます。

 ところが、子供たちの今の勉強の状況を見ると、学習塾などで行われている勉強の多くは、先生が教えることで成り立っています。
 先生に教えてもらい、わかった気になると、子供たちは自分の力でその問題を繰り返し解くということをしなくなります。そのために、教えてもらっても、時間がたつと同じ問題を間違えるという結果になることが多いのです。

 今の学習塾や通信教材などの勉強は、教育サービスという形で行われています。
 子供たちが楽に取り組めるようにわかりやすく教え、しかも、勉強に飽きないように次々と目先の変わった教材を提供します。
 同じものを何度も繰り返すことが勉強の基本なのに、すぐに教えてすぐに別の問題をやらせるという勉強のさせ方をしているところが多いのです。

 学習塾での勉強の教え方は、以前は一斉指導が中心でしたが、次第に個別指導が重視されるようになってきました。また、学校での勉強の教え方も、少人数学級や複数担任制などで、より個別対応に近くなってきています。
 しかし、一斉指導であっても、個別指導であっても、先生が教えるという姿勢が前面に出ているかぎり、子供たちは受け身の勉強になり、その結果かえって学力が定着しなくなるのです。

 江戸時代の寺子屋は、早朝から昼過ぎまで、無学年制で、多数の生徒が、1人又は少数の先生のもとで勉強をしていました。
 これが、もし教える勉強が中心であったならば、子供たちはすぐに退屈し、先生は教えることに忙殺されていたでしょう。
 そうならなかったのは、子供たちが自分で取り組む繰り返しの課題を自習形式で続け、先生は必要に応じてそれに助言するという形の勉強をしていたからです。
 その根底にあるのは、勉強はもともとできるようになっているもので、その方法は繰り返すことだという教育観でした。
 寺子屋教育の本質は、少人数の親密な教育というのではなく、教えない教育だったのです。



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