1月から全学年の暗唱長文を作りなおすことにしました。現在、その最終チェック中です。
低学年の子のお母さんから、子供に暗唱の自習をさせやすいように、面白い文章を取り入れてほしいという声もありました。それも、確かに一理あると思います。
言葉の森の読解マラソン集は、説明文でダジャレの盛り込まれている長文で、子供たちに人気があります。
その文章を音読したり暗唱したりする子は、楽しいから続けられるという面があるようでした。
しかし、暗唱のいちばんの基本は、やはり親や先生という周囲の大人の確信だと思います。
例えば、日本ではどの子も例外なく九九ができます。九九のような便利なものを、なぜ他の国でやらないかというと、他の国では大人が確信を持てないからなのです。
日本では、大人は、九九はできて当然だし、やれば誰でもできるとわかっているので、子供や嫌がろうが何しようが明るくやらせることができます。
大人が、できて当然という態度で臨めば、子供も自然にそのことを受け入れるのです。
これが逆に、大人が、この暗唱は難しいだろうとか、自分には到底できないとか、嫌がったらどうしようとか思っていると、その気持ちは子供に通じます。
そして、子供も、大人が思っているとおりに暗唱を難しく感じ出すのです。
では、どうしたらいいかというと、暗唱という勉強を毎日の習慣のように軌道に乗せてしまえばいいのです。
その方法として考えているのが、寺子屋オンエアを利用して、家庭で行う暗唱クラブという企画です。
暗唱クラブで、数人の子どもたちが先生の指導のもとに、それぞれの家庭で一緒に暗唱をすれば、毎日10分の暗唱は苦もなくできます。
そして、その暗唱の勉強を、暗唱検定を目標にして続けていくのです。
今回の暗唱長文は、日本の古典から素材を選んでいます。
古代からの日本の文章は、萬葉集や平家物語のように文学的なものが多いのですが、明治時代に入ると、少しずつ説明文的なものが出てきます。
明治時代の説明文で代表的なものに、内村鑑三の「代表的日本人」や、新渡戸稲造の「武士道」などがあります。
これらは、もともと英語で書かれたものですから、翻訳された日本語の文章を暗唱すれば、それに合わせて英語の原文の方も暗唱できるようになると思います。
話は変わりますが、今、青森県十和田市にある新渡戸稲造記念館が廃館の危機にさらされているそうです。
こういう日本文化を代表するような貴重な資料は、国民全体の財産として残しておくべきだと思います。
家庭での暗唱のような勉強が中心になると、今広がりつつある反転授業のように、勉強は家庭で行い、学校は友達との交流と勉強の発表のために行くという形になっていくと思います。
個人差のある子供たちを一斉授業で教えるのは、低学年のうちは可能ですが、学年が上がるにつれて無理になってくるからです。
しかし、家庭での勉強の難しいところは、子供はひとりでは張り合いがないので、自分から勉強に取りかかことができないということです。
そこで考えられるのが、やはり寺子屋オンエア的な個別指導です。
そして、この家庭での個別指導を更に発展させて考えると、二重反転授業のようなこともできると思います。
それは、つまり、自然環境のいいところに宿泊もできる校舎を作り、そこに、都会にいる複数の先生がネットワークを通して子供たちの個別指導をするという仕組みです。
これを、森の学校という構想としていつか実現していきたいと思っています。