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株は九勝一敗、事業は一勝九敗――子育ても一勝九敗の分野で as/2509.html
森川林 2016/01/04 18:21 
修 削


 竹田和平さんと船井勝仁さんの対談の中で、船井さんは、「株は九勝していても一敗ですべてを失ってしまう可能性がある」と述べています。
 一方、ユニクロの柳井正さんは、「一生九敗」という著書の中で、「商売は失敗がつきものだ。十回新しいことを始めれば九回は失敗する」と述べています。
 株は九勝一敗でも負けることがある、事業は一勝九敗でも勝つことがある、という対比です。
 更に、柳井さんは、「成功した経営者の中には、もっと凄まじく『百回に一回程度しか成功しない』などとおっしゃる方もいる」とさえ言っています。

 これは、子育てにも、ということは人生にも、応用できます。

 これまでの勉強は、いかにミスをなくし、苦手をなくし、総合点でよい点数を取るかということが中心になっていました。そのため、どこかに欠点がひとつでもある場合は、なかなか上にはいけないという仕組みになっていました。しかし、このことが、日本社会全体のレベルの高さを生んできたことも事実です。

 一方、これまでの日本では、欠点や苦手の克服に力を入れる一方、突出した才能を伸ばすという面はあまり評価されていませんでした。
 だから、よく言われるのは、日本は優れた大衆と、普通の平凡なリーダーによって運営される、そしてそれで何となくうまく行っている不思議な国だという海外からの見方があるということです。

 しかし、九勝一敗でがんばる人生は、かなりストレスの多い人生です。勝ち続けることにそれほど力を入れるのではなく、五勝五敗かせいぜい六勝四敗で勝ち越せばいいというペースでやっていき、その一方で、一勝九敗でも勝てる分野を新たに作っていくのがこれからの人生設計になります。つまり、子育ても、一勝九敗で勝てる分野を作っていくことが大事なのです。それが、個性を育てる教育です。

 小学校低学年のころは、勉強の内容も簡単なので、誰でもよくできます。だから、親はつい、もっと難しい問題をもっと完璧にできるようにしたいと思いがちです。
 しかし、そこで、誰でもできることを誰よりもよくできるようにするのではなく、誰でもできることは人並みにできる程度でいいとして、その分を、誰もやっていないことをその子の個性を伸ばす形で取り組んでいく方がいいのです。
 個性を伸ばすというのは、一勝九敗の世界ですから、「十回新しいことを始めれば九回は失敗する」かもしれません。しかし、十回のうち一回でも、その子に合うものが見つかれば、その一勝が残りの九敗を補って余りあるものになる可能性が高いのです。

 これからの日本の社会は、ますます個性を重視したものになっていきます。
 東大の推薦入試や京大の特色入試もその方向で出てきた入試制度です。

 社会が一つの方向に向かって成長しているときは、同じことをよりよくやっていくことが正しい路線でした。そうすれば、普通の人でも、次々に広がるシェアの中で自然に上昇していくことができました。

 しかし、これからの先進国では、社会はほとんどの分野で下降していきます。
 今、身近な人が働いている仕事を思い浮かべてみるとわかるように、年々マーケットが小さくなっていくものがほとんどです。だから、たまにマーケットの広がりが一時的にせよ認められる分野(例えば介護)などでは、すぐに参入者が増え競争の中で市場が小さく分割されてしまうのです。

 こういう大きく衰退傾向にある社会で、一勝九敗の分野を見つけるには、その分野を創造しなければなりません。創造とは、与えられた答えを速く正確に見つけることではなく、自分の個性をもとにして新しい答えを作り出すことです。
 こういう時代には、まず親から、「答えがあるから安心だ」という発想ではなく、「答えがないから面白い」という発想に切り換えていく必要があります。

 誤解のないように言えば、勉強ができることはよいことです。そしてもちろん、全教科、苦手なものがないように勉強していくべきです。それは、大して難しいことではなく、正しい勉強法とある程度の勉強時間があれば誰でもできることです。
 しかし、そこそこ勉強ができるということで留まっていたのでは、これからの個性の時代に活躍することはできません。一勝九敗の世界をいつも念頭に置きながら子育てをしていく必要があるのです。



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