ログイン ログアウト 登録
 続 勉強ができすぎる子の問題 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 2693番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/24
続 勉強ができすぎる子の問題 as/2693.html
森川林 2016/09/29 07:21 


 小さいころ勉強ができすぎることが、その子の将来の人生にとってマイナスにならないためにはどうしたらよいのでしょうか。

 第一は、知的な勉強をできるだけ実物の体験と結びつけることです。
 例えば、理科の本で、植物にはおしべとめしべがあり、虫や風がその受粉を仲介するというような記述があった場合、それを知識として理解するだけでも、確かにその子の物事に対する思考力は深まります。

 しかし、ここで、知識を知っているだけで終わらせずに、実際にその現場を見に行くような機会を作るのです。
 本を読んで得た知識は、単なる知識のコピーです。そのコピーをいくらたくさん知っていても、自分らしいものの見方は育ちません。将来大事になるのは、さまざまな知識を自分なりに生かせるような力を身につけることです。

 実際に現場を見に行けば、そこで得た体験はコピーではなく自分だけのオリジナルなものになります。その体験が知識と結びつくことが大事なのです。
 だから、勉強のよくできる子は、勉強以外の実際の体験もそれ以上にする機会を作ってあげるといいのです。
 知識を能率よく吸収させるのではなく、体験を通して遠回りに吸収させることが、その子の知識を生きたものにするのです。

 第二は、勉強的なことをするときに、自分から進んで喜んでやりたいという気持ちにさせることです。
 つまり、本人が心から自分でやりたいと思うまでは、親の方から先にやらせようとしないことです。

 そのために、親は、いろいろな工夫をして、本人がそれをやりたくなるようにさせる必要があります。
 子供が小学校低学年のころは、親は簡単に子供に何かをさせることができます。しかし、それを抑えて、子供が自分からやりたくなるように時間をかけて工夫していくことが必要なのです。

 また、本人がやりたいということは、できるだけそれをかなえてやるような条件を作ってあげることです。
 子供が何か希望を言ったとき、親が、「それは○○だからだめ」と言ってしまえば、子供はそれ以上反論できません。
 簡単にだめと言うのではなく、今の条件でできるようにするためにはどうしたらよいかということを考えてあげることです。

 子供が将来社会に出てから活躍するときに最も大事なのは、意欲を持ち続けることです。
 その意欲は、子供時代に自分の意欲を生かした経験から育っていくのです。

 第三は、勉強がよくできることを自慢せず、いつも謙虚に生きるようにすることです。
 人間が社会活動をするときには、人と人との協力が必要です。その協力に欠かせないのが、互いに相手を尊重することです。

 自分に能力があったとしても、それは同じようにほかの人にもあるのだということを教え、特に自分の得意な分野があったとしたら、それは世の中の役に立たせるために、自分に与えられたものだという謙虚な姿勢を持たせることです。

 今の世の中は、勉強面で競争をさせる環境があるので、よくできる子はできない子をバカにするような風潮があります。
 成績でクラス分けをするような塾にいると、誰も教えるわけではないのに、できるできないという価値観だけで人を評価するようになります。
 狭い価値観で人を見ることは、道徳的に問題があるだけでなく、その子の生きる世界を狭めてしまいます。

 自分のよくできることを自慢せず、誰に対しても同じように相手を尊重して生きていくことの大切さを子供のころから教えることによって、その子の人生はより豊かになったいくのです。


 昔の社会では、以上のようなことが自然に行われていました。

 勉強のよくできる子でも、家の農作業を手伝わされたり、家庭の仕事の一部を分担させられたりしました。実物に触れる機会はふんだんにありました。

 また、親の目が行き届かないところで、子供は自分の好きなことを自由にする機会がありました。

 更に、近所の人に接すると、勉強は全然していないようなおじさんが仕事の達人だったり、人生の話をしてくれたりということがありました。

 このような環境で、勉強のよくできる子も、自然にバランスの取れた生き方ができていたのです。

 今は、そういう環境がなくなった分、親が子育ての工夫をしていく必要があるのです。



コメント欄

nane 2016年9月29日 7時48分 1 
 昔、ある大きな会社が倒産し、社員の再就職の話が出たとき、次のようなことが言われました。
「東大卒の優秀な人間など、うちでも掃いて捨てるほどいる。ほしいのは自分だけのものがある人材だ」
 こういう境遇になった人には同情するしかありませんが、しかし、これからの世の中は、多かれ少なかれこういう方向で動いていきます。
 だから、成績という偏差値を少しでも上に上げて、誰かに認めてもらおうと思うのではなく、自分の個性を生かして自力で生きる力をつけることを第一に考えていくといいのです。
 そのために必要なのが、体験と意欲と共感の力だと思います。


森川林 2016年9月29日 7時49分 1 
 昔の子育ての基準は、健康で、人様に迷惑をかけずに、できれば世の中の役に立つように、ということでした。
 それは、農業社会だからこそできたことかもしれませんが、基本は今でも同じです。
 子供の勉強のことで悩んだら、時々この基本に戻るといいのだと思います。


森川林 2016年9月29日 7時49分 1 
 今は、低学年の子に「勉強、勉強」という周囲からの雑音が多すぎます。
 昔は、勉強の「べ」の字も言われずに、みんな勉強もでき仕事もできるようになっていきました。
 勉強よりも大事なのは、実物と世間の荒波なのです。


コメントフォーム
続 勉強ができすぎる子の問題 森川林 20160929 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ほまみむ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ほまみむ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
子育て(117) 小学校低学年(79) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン