教育の役割は、基礎学力をつけることと、集団活動の中で子供たちの意欲を伸ばすことの大きく二つに分けられます。
基礎学力は、学校の授業で行われるとともに、定着力を高めるための家庭での宿題として行われてきました。
しかし、今、学力の低下が問題となっているのは、家庭で行われる自学自習形式の学習に十分に対応できない家庭があったからです。
そこで、今考えられているのは、家庭での自学自習を支援するためのネットワークの利用です。
教育にネットワークが利用できるような技術革新が、ここ数年の間に急速に発達してきました。
これが、これからの教育が大きく変わる第一の条件です。
教育の変化の第二の条件は、副業が原則容認となる社会になりつつあることです。
これまでのインフレの時代には、需要が供給を上回っていたので、どこでも長時間の労働が必要でした。
しかし、これからの時代には、供給力が常に需要を上回る傾向にあるので、ワークシェアリング、派遣労働の普及と同じように、副業が原則として容認される社会になります。
すると、会社員でも土日や早朝に子供たちの教育に関与することができるようになります。早朝の教育は特に、時差のある海外で暮らす日本の子供たちの教育に活用できます。
また、平日でも、定年後の高齢者や、子育て中の主婦は、家庭にいながらにしてできる教育の仕事というものが可能になります。
一斉授業の場合の先生の役割には、エンターテイナーの要素が必要でした。
しかし、家庭学習の場合の先生の役割は、ティーチングの力よりもコーチングの力、つまり、子供たちの自学自習をうまく軌道に載せる力が必要になります。
だから、子育ての終わった人で、あまり苦労せずに子育てを行い、子供たちがいずれもいい子に育ったというような家庭の主婦が、教える先生役としては、もっとも適役なのです。
教育の変化の第三の条件は、これから教育の自由化が進むということです。
これまで、国や自治体の教育予算は、学校におろされてきました。それを学校におろすのではなく、保護者におろすバウチャー制度という仕組みがこれから検討されるようになります。そして、保護者が自由に学校や先生を選べるようになるのです。
教育の自由化には、ある程度の基準が必要ですが、その基準をもとにした学力試験や資格試験があれば基礎学力の担保は十分に可能です。
以上の三つの条件のもとで進む教育の大きな変化に対応できるオンライン教育がこれから求められてきます。
そのオンライン教育は、これまで行われてきたMOOCのようなビデオ授業型のオンライン教育でも、マンツーマンの個別指導型のオンライン教育でもなく、少人数のグループ学習を行えるようなオンライン教育です。
そういうオンライン教育を広げるものは、コミュニティです。
インフレ時代には、何かを社会に広げるためには、メディアの力や宣伝の力が必要でした。それは言い換えれば資金力が必要だったということです。
しかし、デフレ時代には、コミュニティの力が社会に広がる原動力になります。コミュニティの中で、よりよいものを提供し、相手の助けになることをするというコミュニティ貢献力がこれからの重要になってくるのです。
そして、このオンライン教育の普及のあとには、リアルな体験型の教育の場もまた必要になってきます。
言葉の森が今考えているのは、自然寺子屋合宿教室をオンライン教育と組み合わせて行っていくことです。
これから、そのための講師募集と講師のコミュニティ作りを進めていきたいと思っています。