これまでの学力と言われるものは、覚えた知識を再現する力でした。
考える問題のように言われている算数数学の分野でも、解法を覚える勉強によって高得点を取るというパターンができたので、ほとんどの勉強が時間をかけて詰め込めば成績が上がるようになったのです。
その結果、優秀な成績で大学に入ったはずの学生が、意外に考える力がないということがわかってきました。
それが今、世界の大学ランキングで東大や京大がかろうじて後ろの方に入っているという状況を生み出しています。
このことに対する危機感から、日本の大学も、生徒の真の実力を見るためのテストとして手間のかかるAO入試を取り入れるようになりました。
このAO入試についても、合格することを受験テクニックのように教えるところがありますが、言葉の森の教育の目的はそうではありません。
東大の推薦入試に合格することが目的なのではなく、東大の推薦入試が目指しているのと同じような新しい学力をつけることが目的なのです。
それは別の言葉で言えば、考える勉強、発表する勉強、創造する勉強を目的とするということです。
そういう思考力、表現力、創造力を伸ばすような学習ができるようになったのは、オンラインのウェブ会議システムが誰にも利用できるようになったというインフラの力によるところがかなりあります。
しかし、それ以上に大事なことは、言葉の森の教育理念が、もともとそのような学力を育てることを目的としていたということなのです。
この教育には、家庭の協力が重要な要素となります。
従来の教育のように、学校や塾に任せるという勉強ではなく、家庭で親子の対話や協働を通して、学力だけでなく文化も育てていくというような勉強なのです。
教育は、単に成績だけを上げるものではなく、その子供のトータルな人間力を育てることを目的としているものです。
成績が上がるとか志望校に合格するとかいうことは、勉強の結果であって目的ではありません。
もちろんそういう理想だけでは受験期の最後の1年間は乗り切れないので、受験直前の時期には必要悪と割り切って詰め込む勉強もしていく必要があります。
しかし、それも、それまでの真の学力である思考力が備わっていれば、短期間で成果を上げることができるのです。
言葉の森では、この新しい教育を発表教育という名称で呼び、現在ウェブ会議システムを使った発表学習コースの少人数クラスを開いています。
まだ、このコンセプトがわかりにくいためか、参加する生徒は多くありませんが、私の子供がまだ小さかったらぜひやらせてみたかった勉強です。
将来は、こういう家庭と結びついた考える力を育てる勉強がもっと広がっていくと思います。
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