ログイン ログアウト 登録
 手助けを楽しむ Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 3444番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/25
手助けを楽しむ as/3444.html
森川林 2018/11/08 07:21 


 「自分の勉強なんだから、自分でやりなさい」という言い方をしてしまう人が多いと思います。
 しかし、子供がなにか助けを求めてきたときは、すぐに助けてあげるといいのです。

 作文には特に、子供が手助けを求める場面が多くあります。
 子供が、「書くことがない」とか、「何を書いていいかわからない」というときは、親や先生とのコミュニケーションを求めています。

 なぜコミュニケーションを求めるかというと、自分のやることに自信が持てないからです。
 例えば、たくさん書けそうもないとか、書いてもすぐに注意されそうだとかいうことを思い浮かべるからです。

 そのときに、親や先生が手助けをしてあげると子供は安心します。
 この安心感が、勉強を続ける上で大切なのです。

 作文の手助けのコツは、子供と話を交わしながら、構想図を書いてあげることです。
 10分ぐらい話をしながら構想図を書くと、作文に書く内容のほとんどが埋まります。
 子供は、それをもとに作文を書いていけばいいのです。

 そのときに、ただ手助けをするだけでなく、手助けを生かすことを考えていくと、二重の効果があります。
 それは、勉強を教えるだけでなく、勉強を楽しむ雰囲気を教えることです。

 多くの子供は、勉強は義務感でやる退屈で面倒なものという感覚を持っています。
 それは、小中学校の勉強の中身は、もともとそういう面があるからです。
 しかし、これを我慢してやるのではなく、楽しんでやるように工夫するのです。

 大人の人であれば、退屈な仕事を楽しくやるコツをいくつも知っています。
 例えば、単純作業でも、タイマーをセットして自分が決めた時間内にやれば、意欲的に取り組めます。
 面倒な仕事のあとには、自分にちょっとしたご褒美をあげようと思えば、これも意欲的に取り組めるコツになります。

 しかし、大事なことは、こういう楽しくやるコツを子供にさせるのではないということです。
 例えば、タイマーをセットして、子供に制限時間内にやるように要求すれば、それは単に子供をコントロールしていることでしかありません。
 そうではなく、親が、「よし、お母さんはこれを5分以内にやるからね」という感じで、喜び勇んでやる姿を見せるのです。

 こういう後ろ姿の教育ができるところが、親が手助けをする勉強の大きな副産物です。
 そして、子供の心の中に残るのは、勉強の内容よりも、こういう親の生きる姿勢の方なのです。


▼関連記事
「自分でやらせるか親がやってあげるか」
https://www.mori7.com/index.php?e=3076#e3076

 先日の小1~小3の保護者の懇談会で、次のような質問がありました。
 「作文の構想図を子供がまだ書けないので、親が書いてやっているが、それでいいのか」ということでした。

 小学1年生から3年生ぐらいの子は、まだ自分で要領よく構想図が描けない方が多いものです。
 そのときは、親が子供と話をしながら構想図を書いてあげ、それを参考に子供が作文を書くということでいいのです。

 しかし、その質問のお母さんは、「子供がこれまで曲がりなりにも自分で作文を書いていたのに、親が構想図を書いてやるようになってから、親の書いたものをそのまま写すようになっている」ということを問題にしているのでした。
 けれども、私の答えはそれでいいということです。

 「それでいい」という理由は、二つあります。

 第一は、子供は学年が上がれば必ず自立するようになるからです。
 親は、その子が自立するときの手本を教えていると考えるとよいのです。

 勉強に限らずどんなことでも、誰でも最初の自信がないうちは、見ているだけのことが多いものです。
 見ているうちに自分でもできそうだという自信がつくと、自然にやってみたくなるという流れがあるのです。

 第二の理由は、勉強というものの考え方がこれから変わってくるからです。
 それは、いい手本を見ることが勉強になるという考え方です。

 例えば、算数数学の難問を解く場合、自分で何時間も考えるという方法と、すぐに解法を見て解き方を理解するという方法があります。

 自分で考えるというのは、一見正道のように見えますが、難点は時間がかかることです。

 ノーベル賞級の最先端の数学の世界であれば、自分で何ヶ月も何年も考えるというのは価値があることでしょう。
 しかし、入試問題のレベルの算数数学で、自分で何時間も考えるという無駄な勉強だと考えた方がいいのです。
 勉強は、答えや解法を見て理解して、すぐにできるようになることで基礎力がつきます。
 その基礎力の土台の上に、自分で考える実力がついたところで、その子にとって答えのない世界で考える機会が出てきます。
 その答えのない世界とは、遊びであったり、勉強であったり、又は将来の仕事であったりするのです。

 したがって、親が子供の勉強や作文の手助けをするときは、親自身がそれを不本意な手助けだと思ってやるのではなく、逆に親が楽しめるくらい積極的にやっていくといいのです。

 それは例えば、構造図を書くときに、ダジャレを使ったり、たとえを入れたり、親の感動的な体験実例を教えてあげたりすることです。
 それを、子供に対する押し付けではなく、親が楽しむような余裕を持って行っていくのです。

 余裕を持つということは、ほとんどアドリブで手助けをするということです。
 もちろん余裕があれば、下準備をして手助けをしてあげることもいいのです。
 しかし、準備しすぎるとつい子供にもそれに対応した努力を要求するようになりがちです。
 それは、子供の自主性にとっては逆効果です。

 子供が小学1年生や2年生のときは、親の子供に対する見方を次のように変えていく必要があります。
 「今ここで親の最良の手本を見せておけば、その土台の上に、子供が高校生になったときにやがて親の今のレベルを超えるような考え方をするようになるはずだ」という見方です。
 できるだけ視野を遠くに置いて、子供の成長を見ていくとよいのです。



コメント欄

森川林 2018年11月8日 7時34分  
 教育の方法には、叱る教え方と褒める教え方とがあります。
 しかし、本当に大事なのは、叱るか褒めるかということではなく、叱るような状況を作るか褒めるような状況を作るかということです。
 叱る状況になったら、それは叱られる子供が悪いのではなく、叱るような状況を作ってしまった大人が悪いのです。
 褒める状況になったら、それは褒められる子供も偉いのですが、それ以上に褒めるような状況を作った大人が偉いのです。
 子育ての理想は、朝から晩までいつも褒めるような状況で子供を育てることです。


nane 2018年11月8日 7時42分  
 子供は、親の苦労を知らないように見えます。
 しかし、成長すれば必ずあとからいろいろなことがわかってきます。
 個人的なことですが、私の母はいつも笑顔で何でも許してくれました。
 それが普通のことだと思っていましたが、自分が大人になってみると、それはかなり難しいということがわかってきました(笑)。
 親の教育は、そういう後ろ姿の教育なのです。


コメントフォーム
手助けを楽しむ 森川林 20181108 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ねのはひ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ねのはひ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 構成図(25) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン