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「楽しい、わかりやすい、ほめて伸ばす」の外見ではなく、中身が大事 as/3533.html
森川林 2019/02/04 17:32 

 今日の小学生新聞に、ほかの作文通信教育の広告が載っていました。
 そこに書いてあるキャッチフレーズが、「楽しく学べる」「わかりやすいテキスト」「ほめて伸ばす添削指導」などでした。
 言葉の森が普段言っているのと同じようなことですが(笑)。

 しかし、それを見てふと思いました。
 「楽しく学べる」「わかりやすいテキスト」「ほめて伸ばす指導」という言葉には何も問題はありません。
 しかし、大事なのはその中身です。

●「楽しく学べる」

 本来楽しくないものを楽しく学べるようにする仕組みを考えると、マンガを使ったり、プレゼントを用意したり、ゲームをしたりという方向になりがちです。
 そうではなく、大事なのは、作文を書くこと自体を楽しくすることです。

 その楽しさは、親子の交流、先生との交流、友達どうしの交流の中にあります。
 本来、何かを創造し、それをみんなに見てもらうというのは楽しいはずです。
 その創造の過程で、親子の協力があれば、その楽しさはもっと広がります。
 そういう仕組みを作るのが、言葉の森の寺子屋オンラインの少人数クラスの作文です。

●「わかりやすいテキスト」

 わかりやすいテキストということも、それ自体には何も問題はありません。
 しかし、わかりやすいところまでしか教えていないからわかりやすいとしたら、その勉強に先はありません。
 大事なことは、わかりにくいところまで教える道筋があることです。

 小学3、4年生までの勉強は、作文に限らず、誰が教えても楽しくわかりやすく教えられます。
 それは、勉強の中身自体がわかりやすいからです。
 しかし、小学5年生以降の考える作文になると、テキストだけでわかりやすく教えるのはほぼ不可能です。
 考える作文の力をつけるためには、毎日の自習、親の協力、先生の励まし、友達かの刺激など、いろいろな要素が必要になります。
 人間どうしの触れ合いがあって初めて、少しずつ考える力がついていくのです。

●「ほめて伸ばす指導」

 ほめられれば子供は喜びます。
 ほめることは、誰にとっても最初は励みになります。
 しかし、大事なことは何をほめるかということです。
 どんなことを書いてもほめられるとなれば、子供はだんだん緊張感を失います。
 ほめる前に、何をどう書いたらいいのかという指導があって、初めてほめることが生きてきます。

 ところで、何をどう書いたらいいかという指導には、何段階も微妙な差があります。
 会話を入れて書くということひとつにしても、ただ会話を入れるだけでなく、人柄のわかる会話を入れるとか、動作や表情を思い出して会話を入れるとか、さらに上のレベルの指導があります。
 そして、高学年になると、今度は、会話を入れないで書くという指導になっていきます。

 その指導を、ほめるだけで進めていくのはかなり困難です。
 大人数のクラスで、数人の子だけがほめられるのでは、褒められない子は次第にやる気をなくします。
 1対1の個別指導で、これまでと違う上の段階を教えるには、ほめるよりも直すとか注意するとかいう面が出てきます。

 しかし、寺子屋オンラインの少人数クラスの場合は、みんなの作文のそれぞれのいいところを褒めることが、周りで聞いている子たちの勉強になります。
 少人数のクラスで、全員がほめられるからこそ、ほかの人のほめられたところが参考になるのです。


 寺子屋オンラインの作文クラスは、まだ始めたばかりのクラスですから、これまでの個別電話指導のシステムとの連係にかなり時間がかかりました。
 しかし、教えることのできる講師も増えてきたので、これから本格的に募集していきたいと思っています。




コメント欄

森川林 2019年2月4日 17時42分  
 作文は、勉強の中で最も苦しい勉強です。
 だから、感想文の宿題などがいつまでも後回しになる子が多いのです。
 しかし同時に、苦しいけれど楽しいという気持ちで書ける子もいます。
 何もないところに、自分の力ですべてを創造していくのですから、うまく書けたときは楽しくて仕方ないのです。
 そういう楽しく書く力を、みんなにつけていきたいと思います。


nane 2019年2月4日 17時53分  
 一時、公約という言葉がマニフェストになったことがありますが、ほとんどの人は、マニフェストもすぐに公約と同じ言葉になると思っていたはずです。それは、言葉よりも人を見るからです。
 同じように中身のなくなりがちな言葉に、「楽しい」とか「わかりやすい」とか「ほめる」とか、もうひとつ「考える力」とかいうのがあります。(言葉の森がよく書いている(笑))
 大事なのは、公約と同じように、言葉ではなくその中身にいかに近づくかということです。

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