勉強のほとんどは、記憶の勉強です。
漢字の書き取り、計算の問題、図形の問題、英語の問題など、すべて記憶したパターンを思い出してそれを答えにあてはめる勉強です。
しかし、そうでない勉強もあります。
それが創造の勉強です。
そのひとつの典型が作文の勉強です。
記憶を思い出して書くのではなく、その場で自分で先の流れを創造しながら書いていくからです。
その創造に必要なのは、意欲です。
新しい、より価値のある、より個性的なものを生み出したいという意欲が創造の源泉です。
この意欲というものは、数値で評価できません。
ここが、漢字の書き取りや計算の問題が、点数で簡単に表示できるのと根本的に違うところです。
点数の出る勉強は、点数が出たらそれで終わりです。
100点を取ったら、その先に110点や120点はありません。
点数の出ない、意欲に依拠した創造の勉強は、100点を取ったあとに、110点や120点を目指すようなことができます。
それが創造性です。
その創造性は、平面的な数値では評価できませんが、人間にはその創造性を感知する力があります。
だから、上手だがあまり創造的でないものと、下手だがその底に創造性があるものとの違いがわかるのです。
作文の書き手にとって大事なのは、目標の字数まで書けたとか、項目が指示どおりできたとかいうこと以上に、他人が自分の作文をどう読んだかという評価です。
点数の出る勉強であれば、点数が目標になりますが、作文は点数以上に他人の評価が目標になります。
そして、その他人の評価とは、自分の創造性がどう他人に評価されたかということなのです。
記憶の勉強は、答えがあるので、その答えを基準にした独学ができます。
創造の勉強は、答えがないので、創造という目標に近い他人の評価が必要になります。
創造の勉強を進める意欲の源泉は、他人との関わりの中にあるのです。
言葉の森が、寺子屋オンラインという少人数の作文クラスを始めたのは、この他人との関わりの中で、作文がより意欲的に書けるとわかってきたからです。
小学校低学年の子供にとっては、親や先生の評価が作文を書く意欲につながります。
しかし、学年が上がるにつれて、親や先生以上に友達の評価が作文を書く意欲に大きく影響します。
記憶の勉強は、独学でもできるし、その反対に学力別の集団教育でもできます。
創造の勉強は、顔の見える少人数の中でなければできません。
しかも、その少人数は、信頼のできる親しい少人数である必要があります。
だから、寺子屋オンラインのクラスは、小学校低学年のうちから始めて、友達との信頼できる人間関係を作るのが最初の目標です。
小学1、2年生のころの子供は、他人にはあまり関心がありません。
自分と親と先生という狭い範囲が、周囲の世界のほとんどと占めています。
しかし、その時期に他の子供と接する時間を持ち、そこで信頼できる人間関係を築いておくのです。
言葉の森が、寺子屋オンラインの作文の勉強で、小学校低学年のクラスに独自に力を入れているのは、以上のような子供の成長の発達段階の見通しがあるからなのです。
▼参考資料「カテゴリー小学校低学年]
https://www.mori7.com/beb_category.php?id=6