最近人気のある問題集に、「うんこ漢字ドリル」というようなものがあります。
子供は面白がって手に取りますが、こういう子供の興味を引くようなもので勉強をさせない方がいいのです。
読書でも、子供が好むものに、怖い話というものがあります。
これも、子供が興味を持つからと言って与えるのはやめたほうがいいのです。
なぜなら、それは岡潔さんの言う人間の無明に根ざした興味や関心だからです。
(「無明」については、
「どんな本を読むか。その前に読まない方がよさそうな本 」)
勉強の方法で最も大事なコツは、一冊の同じものを何度も繰り返して身につけることです。
繰り返しの回数の目安は5回です。
一冊の参考書を5回繰り返して読めば、大体のことは頭に入ります。
理科や社会の勉強は、この一冊の教科書または参考書を繰り返し5回読むということに尽きるといってもいいと思います。
(ところで、「東大首席が教える超速『7回読み』勉強法」では、繰り返しの回数は7回となっていますから、要は何度も同じものを繰り返すということが大事なのです。)
さて、なぜ子供の興味を引くような問題集がよくないかというと、興味を引くことによって始めたものは、次にまた新たな興味を引くものを持ってこなければ続けさせることができなくなるからです。
そう考えると、この勉強法に、すぐに限界が来ることがわかります。
低学年の勉強で大事なことは、今の成績を上げることではなく、高学年になってからの勉強の土台を作ることです。
低学年のうちは、同じものを繰り返すことが勉強の基本だということを身につけることが最も大事なのです。
なるべく薄い問題集で、それを何度も繰り返し解くというような勉強をすれば、定着度が高まるとともに高学年になってからも同じ方法で勉強を続けることができます。
小学1、2年生は、親の言うことを何でも素直に聞く時期ですから、よい勉強のさせ方をすることを第一に考えていく必要があります。
今回、言葉の森が、公立中高一貫校や公立高校の受験対策の全教科自主学習クラスに力を入れるのも、そういう背景があるからです。
小学校低中学年のころの勉強は、どういうやり方をしても、時間をかければ誰でも成績は上がります。
しかし、勉強の仕方には、あとに続く勉強法と、あとに続かない勉強法とがあります。
公立中高一貫校の入試や、最近の公立高校の入試は、長い説明的な文章を読み取りそこから自分なりに考えることが要求されています。
こういう力は、単に問題集を解くような勉強からは出てきません。
例えば、発表学習クラスで自分なりの理科実験の結果を発表するというようなところで力がついてくるものです。
小学校低中学年のころから、同じものを繰り返すという勉強の基本を身につけ、それによって効率的になった勉強時間の余裕の部分を、発表学習のような思考力と創造力を必要とする勉強にあてるというのが、受験前の勉強の理想的なスタイルになると思います。