自ら学び、
創造し、
実力をつけ、
社会に貢献する。教育の本質は、このあたりまえに見えること。
昨日の記事「創造的な教育文化が日本を発展させる」の続きです。
https://www.mori7.com/index.php?e=3893
■自主学習力
自主学習力とは、自分で学ぶ力です。
これまでの教育は、先生が、教科書を使って授業を通して知識や技能を教えてくれる教育でした。
それは、教材が限られていて先生が限られていて教室という場所が限られているという状態を前提にしたもので、決して教育の本質的な方法ではなく、社会の諸条件によってやむを得ず作られてきた方法だったと考えることが大切です。
人間が学ぶ最も効率のよい方法は、自分に合った教材を選び、自分の計画で勉強することです。
そこに、教材と自主学習だけではわからなかったことをすぐに質問できる体制があればよいのです。
現実の生活に必要な学習は、本人の興味や関心に基づいたものではなく、生活に必要な前提として学ばなければならないものなので、もともとそれほど面白いものではありません。
だから、それを共に学び合う仲間がいれば、意欲を持ち続けやすくなります。
これが今の自主学習クラスの目指しているものです。
優れた教材は、出版物という形でも、ネット情報という形でも、容易に手に入るようになっています。
生徒の質問に答えるのは、身近なお母さんやお父さんが第一ですが、家庭でカバーしにくい部分は先生が教えることができます。
また、オンラインで友達が一緒に勉強している姿を見れば、勉強における孤独感はなくなります。
大事なことは、勉強とは本来自分で行うもので、わかるところはそれ以上学ぶ必要がなく、わからないところをわかるようにするのが学習の本質だということを理解することです。
子供たちの多くは、人に見せるための勉強をしています。
勉強に対する考え方を、人に見せるためではなく自分で理解するための勉強と変えていくことが最も重要です。
その勉強の本質を理解して学ぶ人は、短時間できわめて高い学習効果をあげています。
この自主学習クラスを、最も能率のよい学習法として広げていきたいと思っています。
■創造発表力
創造発表クラスは、自分の興味や関心のあることを自由に研究し、そこに自分なりの創造性を加えて、他の人の前で発表し質問や感想を受けるという教育です。
人間は誰でも、自分の好きなものや興味関心のあるものを持っています。
これまでの社会では、そのような個性は、義務教育として必要な教育を学んだあとの余録のようなものとして考えられてきました。
しかし、これからの社会では、各人の個性を生かした自由な学習こそが教育の第一の目標となってきます。
その個性と創造の学習を補強するものとして、現在の主要5教科のような必要とされる教育があるという関係になってくるのです。
個性と創造の教育をひとりよがりのものにしないための条件が、他の人の前で発表し他の人からの質問や感想を受けることです。
個性や創造性というものは、年齢がある程度以上にならないとはっきりした形では出てきませんから、低学年のうちはまずその姿勢を持つことが大事になります。
人に言われたことをただ義務感としてやるような勉強スタイルではなく、自分の好きなことを自由に個性的に学び発表することが勉強の本来の形だと実感することが小学校低学年からの創造発表クラスの取り組みになります。
この個性的な勉強の分野は、主に理科の実験・観察、社会の研究・調査のようなものになります。
もちろんこのほかに、教科の分類には属さない創造的な研究発表もあります。
個性的を通して、創造力を伸ばすとともに、学ぶことの喜びを知るのが創造発表クラスの目的です。
■作文読解力
作文読解クラスは、作文を書くとともに、課題の長文をもとにした感想文を書くクラスです。
感想文を書くことに適した年齢は、物事を構造的に見る力がつき抽象的な語彙が使えるようになる小学5年生からです。
小学3、4年生は、その前段階として感想文を書く形を中心に学習するようにしています。
感想文を書く年齢にまだ達しない小学1、2年生は、長文の音読や暗唱を通して読む力の基礎を作っていきます。
小学校高学年から中学生、高校生の課題は、文章を読みその文章に対する感想文を書くことが中心になります。
その勉強によって、深く読み取る力と、主題に合わせて書く力がついてきます。
また、読む力には、素早く概略を読み取る力と、緻密に細部を読み取る力の両方が必要になるので、読解検定を通して厳密に文章を読む力つけていきます。
作文読解クラスは、形の上では書く勉強と読む勉強が中心になっていますが、その根底にあるのは考える勉強です。
この読み、書き、考える勉強というものが、自主学習による現実的な学力と、創造発表による創造的な学力を現実の社会に生かす力となります。
つまり、読み書き考える力があってはじめて自分が学習したことや自分が創造したことを現実の社会に適応することができるようになるのです。
■経験と実行
自主学習、創造発表、作文読解の学習を支える土台となるものが、学習そのものではなく多様な経験です。
例えば、理科では教科書に書いてある知識を覚えるだけでなく、その知識の前提となる実際の自然を経験しておくことが知識の理解を助ける土台となります。
この現実のさまざまな経験の中には、自然との触れ合い、他の人間との触れ合い、社会との触れ合いなとがあります。
この多様な経験をするということも、未来の教育の一つの重要な柱となってきます。
経験と学習で培われた実力を発揮することが実行です。
人間は、実行することによって初めて知識や経験の枠組みを超えることができるようになります。
実行は、教育の分野というよりも人間の生き方の分野とも言えるものですが、学習と経験を実行に発展させることが教育の最終的な目的だとも言えるのです。