自主学習とは、自分で決めた範囲の勉強をし、それを自分で採点し、間違ったところは答えを確認して理解し、あとで繰り返し学習できるようにし、答えを見ても理解しにくいところは親や先生などの身近など人に質問する、そういう形の勉強です。
ただし、小学校低中学年の生徒は、自分の意志だけでやるのは難しい場合があるので、先生がその子が行った学習内容についてチェックをします。
そのチェックによって、よく理解できていないことがわかったところを、あらためて先生が教えるという形の勉強です。
生徒の質問のほとんどは、お父さんやお母さんなど家族に聞くような形で進めます。
それは、第一に、家族であれば質問がしやすいからで、第二に、子供の質問に小さいころから答えているうちに、親自身の教育力がつくからです。
中学3年生までの勉強は、受験勉強も含めて、基本的に大人であれば誰でもある程度は教えられるものです。
しかし、勉強の内容は、小学校高学年から難しくなるので、子供に質問されたことをすぐにその場で答えることは難しくなり、親も、その問題の解法を見て、答えを理解した上で子供に教えるという形になります。
しかし、子供が自分で解法を見ても理解できない問題は、ほとんどないのが普通ですから、親は子供の質問にそれほど多くの時間を取られることはありません。
また、子供のできないことの多くは、その勉強に慣れていないことが原因で、理解できないということはまだその理解に慣れていないということですから、軽く何度も教えていく中で自然にできるようになります。
このようにして、子供がほとんどの勉強を自分のペースで行い、必要なときだけ親が子供の質問に答えるという形で学習を進めていくと、きわめて短時間で効率のよい学習ができるようになります。
そして、親もうまく教えられない問題や、親も理解しにくい受験用の難問などは、質問掲示板に書く形で教室に相談します。
それを教室が答えるという形で、子供のわからない問題を解決していきます。
自主学習方式の勉強を行うと、自分のよくわかるところは早く済ませ、よくわからないところだけを繰り返し勉強できるので、勉強の密度が上がり短時間で学力が向上します。
この自主学習方式と正反対なのが、先生の授業を聞く形で教えてもらう一斉指導方式の勉強法です。
小学校低中学年のころは、基本的な学習が中心ですから、一斉指導の方が効率のよい面があります。
しかし、学年が上がるにつれて生徒の学習進度の個人差が出てくるので、先生が一斉に教える一斉指導方式の授業は、一部の子供にしか合わないものになってきます。
一方、先生が一人ひとりに個別指導をするような形の学習を行うと、それは家庭教師と同じような学習形態になりますから、学習コストがかなり高くなります。
また、小中学生の子供たちの勉強は、同学年の友達と一緒に行うことによって学習意欲が出る面がありますから、家庭教師で個人指導を受ける形の勉強は、受験などの目的が明確に差し迫っているとき以外は、なかなか子供の意欲を持続させることができません。
明治時代からの学校教育は、教材も教室も先生も不足しているという条件のもとで、一斉指導方式の授業中心に行われてきました。
そのため、今でも子供たちや保護者の中には、先生が教えてくれる授業形式が本来の勉強の仕方のような感覚が残っています。
だから、予備校の人気講師のような授業が理想の授業のように思われているのです。
しかし、本当に学力がつくのは、子供が自分のペースで勉強し、それを先生が質問する形でチェックし、子供が答えを見てもわからないところだけ家族や先生に聞くという形の勉強法なのです。
自主学習で先生にとって大事なことは、勉強の中身を教えることではなく、勉強の内容をチェックすることと、わからないところはどう勉強したらいいかを教えることです。そして、必要に応じて保護者と連絡をとることです。
子供たちは、これまでの習慣から、教えてもらうのが勉強と思っています。
それを、自分の力で学び、どうしてもわからないところだけ教えてもらうという形の勉強に切り換えていくのです。