子供の作文を読んでいて、「ちゃんと書けているけど、何かものたりない」という思いをすることがあると思います。
それは、語彙力の差なのです。
「ものたりない」というのは人間の主観ですが、それを数値で表現するのが、森リンの表現語彙の点数です。
人間がほんのわずかに感じる違いが、語彙の多様性の違いとして表れているのです。
語彙力のある子は、作文を書くときに、同じ言葉を使いたがりません。
同じことを表すときも、別の言葉で表そうとします。
「とてもたのしかったです。また行きたいと思います。」という書き方は、低学年の子は誰でもしますが、語彙力のある子は、ここで終わらずに、もうひとことつけ加えることができます。
みんなと同じ書き方では、満足しないところがあるのです。
中学生や高校生も同じです。
四段落構成で、最後の意見や感想を書くときに、その意見や感想を長く書ける子は語彙力があります。
意見や感想を書くには、抽象的な語彙が必要ですから、語彙力がなければ長く書けないのです。
では、どうしたらいいかというと、方法は2つあります。
まず、小学生の場合は、親子の対話を増やすことです。
お母さんが子供と話をするときに、豊富な語彙と長い文を使って楽しく話すのです。
最初は慣れなくても、繰り返していれば自然にできるようになります。
大事なことは、楽しく面白く話すことです。
これは、お母さんだけでなく、お父さんも参加してほしいところです。
ただし、豊富な語彙で話すためには、話の材料が必要です。
その材料のもとになるのは読書です。
お母さん、お父さんも、子供と同じように毎日本を読んでおくのです。
中学生、高校生の場合は、説明文、意見文の本を読むことです。
物語文の本は、娯楽としてよむものですから、それはそれでいいのですが、それとは別に説明文や意見文の本を読む時間を確保しておくことです。
説明文、意見文の本を読むと、感想や意見を書くときの語彙が増えます。
語彙が少ない子は、「やばい」とか「きもい」とか「えぐい」とか「ナウい」とかいう言葉をよく使います。
友達と話すときはそれでいいのですが、小論文の意見は、もっと別の言い回しが必要になるのです。