ハギ
2016年に発行された「小学校最初の3年間で本当にさせたい『勉強』」が第9刷になりました。
また、2020年に発行された「小学校最後の3年間で本当に教えたいこと、させておきたいこと」が第6刷になりました。
みなさん、ありがとうございました。
いずれの本も、今見ても内容的に古いところはありません。
子育ての基本は、昔から変わっていません。
さかのぼれば、貝原益軒の「和俗童子訓」のころから、子育ての基本は共通しています。
「
中学生になる前に、勉強に取り組む姿勢を作る」
(2015/11/04の記事)より引用
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貝原益軒が81歳のときに著した教育論「和俗童子訓」では、「予(あらかじ)め」という考え方が中心になっています。問題が生まれてから対策を考えるのではなく、問題が生まれる前に対策を立てて実行しておくという考えです。
これは、中学生の勉強にもあてはまります。
中学生になる前、つまり小学生のまだ親の言うことをよく聞く時期に、親が指図して勉強をさせることだけに力を入れるのではなく、子供の自覚を促す勉強の仕方に力を入れるのです。
小中学生の勉強は、難しいと言ってもたかが知れています。特に小4までの勉強は、やれば誰でもできるようになる簡単な勉強です。この時期の勉強でよい点を取るようなことはどうでもいいことです。
だから、よい点を取ることに力を入れるのではなく、何のために勉強するのかという勉強に取り組む姿勢を伝えることに力を入れていくのです。
そのためには,例えばテストなどでも、点数を見るのではなく、その点数の中身を見ることです。
ひとつの例として言えば、次のようなことです。
子供がテストを見せて、「このテストの最後の方は、時間がないから適当に選んだら○になって百点になった」などと言ったとき(まれな例ですが)、親は、「それは、よかったね」などと言うのではなく、穏やかに次のように言うのです。
「勉強は、自分自身を向上させるためにやるのだから、時間がなかったりわからなかったりしたら、答えを適当に書かずに、ちゃんと×にしてもらうんだよ。悪い点数を取った方が自分のためになるんだからね」
こういう一言が、子供が中学生になったときに生きてくるのです。
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今、言葉の森は、オンライン小人数クラスという新しい教育に取り組んでいます。
これが、言葉の森の「予め」の教育です。
オンライン小人数クラスの教育の中身は、作文、創造発表、プログラミングという、従来の教育では見落とされていた主体的・創造的な学力を伸ばす学習が中心です。
国語読解、算数数学、英語の教育は、自主学習の力を伸ばす教育です。
最近、探究学習という言葉が盛んになりましたが、言葉の森が昔から作文教育や創造発表教育で行っていたことは、その探究学習の先取りだったと言ってもいいと思います。
しかし、言葉の森の教育は、単なる探究学習ではありません。
オンライン少人数クラスの教育は、対面式の集団指導教育とも、単なる個別指導教育とも、動画配信の教育とも違います。
これからの教育で大事なことは、少人数の友達や先生とのコミュニティの中で学ぶということです。
だから、オンラインクラスでは、発表と対話の時間を授業の中に取り入れています。
こういう教育は、5人以内の少人数のクラスでなければできません。
単に知識を能率よく詰め込む教育ではなく、また、単に思考力と創造力を伸ばすだけの教育ではなく、そこにもうひとつ共感力を育てる教育ということが大事になってきます。
それは、なぜかというと、人間の生きる目的は、幸福、向上、創造、貢献だからです。
教育も、大きくは、その人間の生きる目的に沿ったものとして考えていく必要があるのです。