ニチニチソウとアゲハチョウ
●動画:https://youtu.be/CnDsgUYOlCo
国語読解の成績が上がる生徒は、読書傾向が違います。それがはっきりわかったのは、夏期講習の国語読解ディスカッションクラスの授業のときです。
ある文章を読んで、その文章について、自分の感想や意見を順に言ってもらうのですが、そのときに、読み間違いのある生徒が多いのです。
それは、もちろんやむを得ないことです。日常生活では見たり聞いたり話したりしたことのない語彙が、問題集の説明文では、次々と出てくるからです。
物語文は、難しい文章と言っても、日常生活の延長の語彙で書かれています。読む力の差が出てくるのは、物語文ではなく、説明文なのです。
ところが、説明文の読みで、読み間違いのほとんどない生徒もいました。
その生徒は、日常の読書生活の中で、そういう説明文の語彙のある文章を読んだ経験があるからです。これが読書力の差です。
国語の成績を上げるコツは二つあります。一つは、読解問題の理詰めの分析です。この理詰めに解くという方法がわかるだけで、国語の成績が急上昇する生徒が毎年何人もいます。
しかし、もう一つのコツは、問題の分析以前の文章を読む力で、この文章を読む力という前提が不十分だと解き方のこつを理解していても、成績は途中までしか伸びないのです。
だから、優しい文章では、高得点を取れるのに、難しい文章では得点が低くなる生徒というのは、解き方のコツ以前の、文章を読み取る力がまだないということなのです。
文章を読み取る力をつける一番の方法は、問題集読書を続けることです。
しかし、問題集読書を続けるというのは、実はあんまり張り合いのある勉強ではありません。もともと、読む力のある生徒は、問題集の1500字ぐらいの文章を楽しく読めるのですが、読む力のない生徒は、1500字程度の難しい文章を読むのに、飽きてしまうことが多いのです。
そこで、言葉の森のオンラインクラスが毎週行っている読書紹介で、中学生の場合は、毎週説明文の本も必ず読むことということを提案しました。
物語文の方はもちろん、いくら読んでもいいのです。物語文を通して、感動する気持ちを育て、感受性を豊かにすることがあるからです。
読書は、楽しい知的な娯楽ですから、物語文を読むということ自体はもちろんよいことです。
しかし、物語文しか読まず、説明文の本を読んでいないと、読書を通しての考える力がつかないのです。
説明文の本の選び方は簡単です。
一つは、図書館の児童書のノンフィクションコーナーに行って、自分の関心のある本を見つけてくることです。
しかし、図書館が近くにないと利用しにくいものです。
学校の図書室で、説明的な文章の本を選ぶ、ということもありますが、学校の図書室では、数が多いと言っても、読みたい本は限られています。
そこで、もう一つは、今のネット環境を利用するのです。
Amazonなどのネット書店で、説明文の中学生高校生向けの本を探すことです。
今のところ、ちくまプリマー新書や、岩波ジュニア新書というシリーズが、中学生高校生向けの本として出版されています。
これらの本を検索して、自分の関心のある分野の本を読むと、本の傾向に応じてさらにおすすめの本を探していくことができます。
読書については、かかる費用はもったいないと思わないことが大事です。
読書によって得た影響は、その読書が終わったあともずっと残ります。
だから、勉強のために費やす費用と時間以上に、読書のために費やす時間と費用を惜しまないことが大事です。
中学生、高校生の説明文読書は、今かなり効果を生み出しています。
言葉の森の
読書記録のページに行くと、同じ学年の生徒が読んでいる本のリストが出てきます。
その中で、自分も読んでみたい本があったら、それを購入して手に入れて、ぜひ読んでみてください。
読書を通して、みんなの思考力、読解力、作文力が向上していくことを期待しています。