小菊
●動画:https://youtu.be/vS4kbpH5nno
子供たちが、学校の勉強の中で、何を頭に入れ、何を記憶に残していくかということは、よく考えなければなりません。
私(森川林)は、幼稚園と小学校1、2年生のころはよく覚えていますが、小学校3、4年生は、ほとんど全く記憶にありません。
たぶんその時期、自分は学校生活の中で生きていなかったのだと思います。
学校の生活が面白いかどうかということは、子供の成長に大きく影響しています。
学校の勉強で、子供たちの中に残るものは、授業の内容ではありません。
みんなの前で発表したこととか、友達と話をしたこととか、または先生の脱線した話とか、そういうものが残っています。
勉強は、もともと自分ひとりでやればいいものです。
昔の子は、塾にも予備校に行かずに、自分の家で勉強していました。
そして、その人たちが成長して、日本の発展を支えるようになりました。
今の子供たちは、確かに昔よりも成績は良くなっています。
しかし、考える力は、かえって低下しつつあるように思うときがあります。
子供たちの教育に何が必要かというと、まず、教育の目的を、大学入試のような近視眼的なところにではなく、社会に出て活躍するところに置くことです。
社会生活が、本当のゴールだと考えることです。
低学年から、何とか検定のように目標を持って勉強するのは、それなりに面白いことです。
しかし、そういう勉強に力を入れるよりも、もっと大事なことは、読書をすことと遊びに熱中することです。
読書は、考える力を育てます。
遊びは、生きる意欲を育てます。
思考力と意欲さえあれば、受験のための勉強は、必要になったときにすぐにできるようになります。
勉強は、早めに先に進んでいればいいというのではありません。
逆に、先に進ませようとしすぎて、子供が勉強に面白みを感じなくなってしまうことさえあります。
教育の基本は、家庭学習です。
そして、親子の対話です。
そして、読書の習慣です。
そして、子供が何かに熱中する時間があることです。
言葉の森のオンラインクラスは、授業の中で学習のチェックはしますが、先生が講義をするのではありません。
少人数のクラスで、ほかの生徒と一緒に勉強するところに意味があります。
みんなで一緒に勉強をするので、ひとりだけさぼるわけにいきません。
これが、少人数クラスのいいところです。
また、生徒どうしの交流を深めるために、読書紹介や一人一言という全員発表の時間を作っています。
そして、先生が時々脱線した話をします。
子供たちに勉強として残るのは、家庭学習です。
子供たちに人生の経験として残るのは、自分が発表したこと、他の生徒と話をしたこと、そして先生の雑談を聞いたことです。
だから、私は時々子供たちの発言の中で、気になることがあると、時間はかかっても、あえてその場で言うようにしています。
例えば、子供たちはよく先生の悪口を言うことがあります。
しかし、私たち大人は、長年生きているので、みんなそれなりに苦労しているということを知っています。
単純に悪い人というのは、世の中にはいません。
そういうことを子供たちに言っておく必要があります。
逆に、単純に言わなければならないこともあります。
例えば、戦争の悲惨さのような話をする子がいた場合、問題なのは、戦争の結果ではなく、その戦争を起こした人がいたことだということを言います。
言うべき内容に、マニュアルはありません。
ある子についてAと言ったことを、ほかの子についてはBと言うこともあります。
そのようなことを判断するのは、長年いろいろな経験をしてきたベテランの先生の直感です。
幸い、言葉の森の講師は、長年作文教育を続けてきた優れた先生が揃っています。
そういう先生の力がよりよく発揮できるような教室運営をしていきたいと思っています。