ウメ
いちいち引用するのも何だと思いますが、今日も、朝日小学生新聞に、作文通信教育講座のブンブンどりむが、カラーの広告を載せていました。
こういう広告を見て、勘違いした作文学習を始める人がいるのは、長期的にはその子にとってはマイナスになるとと思うので、あえて書くことにしました。
今後も、こういう広告が出るたびに、同じようなことを書く予定です。
ただし、私は、人を批判するのは好きでないし、批判は何も生み出さないと思っているので、こちらの創造的な話も入れて書くようにします。
何度も書きますが、ブンブンどりむの監修者である齋藤孝さんは、作文教育についてはほとんど素人です。
それは、自分で、小学生の作文指導をした経験がないからだと思います。
そこで、誰もが思いつく作文指導らしい方法である穴埋め作文を提案しています。
それは、斉藤さんの最近の著書である「こども文章力」の内容を見ればわかります。
この穴埋め作文で、指導らしいことができるのは、小学校2、3年生までです。
高学年になると、子供は、こういう回りくどい勉強の仕方を嫌がるようになります。
それよりも、自分で考えながら書いた方がずっと楽しいからです。
作文の勉強が、本当に意味あるものになるのは、小学5年生以降の考える作文になってからです。
小学5、6年生で、説明文の感想文を書くときに、両親に取材して話を聞くと、子供たちの思考力、語彙力が大きく育ちます。
作文には、年齢的な発達段階があるので、小学4年生までは、こういう考える作文の指導はまだできないのです。
中学生、高校生になれば、その学年に応じた新しい指導があります。
小学2、3年生で作文の力がついたと言っても、それは本格的なレースに入るまえの準備体操のようなものです。
体操服に着替えるぐらいまでのところかしれません。
しかし、小学1年生で作文を始めた子は、書くことが毎週の習慣になるので、課題が難しくなっても、続けることができます。
小学校高学年から、受験のために作文の勉強を始めた子の中には、中学生になり課題が難しくなると、くじけてしまう子もいます。
作文は、勉強の中で、最も負担の大きい勉強です。
だから、小学校低学年から始めておくことが大切なのです。
ブンブンどりむで穴埋め作文というかたちで作文の勉強を始めた子には、たぶん高学年以降の作文学習の展望がありません。
まして、中学生、高校生になっても、作文の勉強を続けるということはできません。
小学生の2、3年生の段階で、作文の勉強が終わってしまような仕組みに問題があるのです。
また、作文の勉強で大事なことは、友達との交流です。
通信教育には、こういう交流はありません。
読書紹介や、作文の発表会や、質問感想の交流があることが、向上心を持つために必要です。
小学校低学年から、友達との交流に慣れておけば、それはいろいろな場面で生きてきます。
受験について言えば、面接とか集団討論とかいうやりとりのある試験は、普段から発表に慣れている子にとっては、得意な分野です。
集団指導の学校や塾でも、一人ひとりの発表の機会はほとんどありません。
多くは、先生の話を、黙って真面目に聞くだけの授業です。
これからの社会では、自分で発表することが大事になりますが、今までの教育で、発表力やコミュニケーション力を育てるのは難しいのです。
さて、齋藤孝さんの著書については、
作文だけでなく、
国語読解も、
音読暗唱も、ほとんど内容のないものです。
保護者の方は、広告や肩書の表面だけでなく、中身を見ていくことが大事になると思います。
さて、他人の批判だけでこの記事が終わらないように、思考力についての話を書きます。
作文の力が読む力に比例しているように、思考力も読む力に比例しています。
それも、難しい説明文や意見文を読む力に比例しているのです。
人間は、言葉を通して考えます。
その言葉の範囲が広ければ、考えの範囲も広がります。
思考力とは、語彙力に支えられているのです。
私は、易しい本を10冊読むよりも、難しい本を1冊読む方が、人間の読む力は伸びると思っています。
しかし、そういう難しい説明文、意見文の本を読む力がつくためには、それなりの年齢が必要です。
子供の考える力が本格的に育つのは、18歳ごろからですから、大学生になって本格的に難しい本を読むようにするといいのです。
わかりやすい例で言うと、岩波文庫の青帯や白帯のような本です。
そのためには、高校生、中学生、小学校高学年のころから、その学年に合った説明文、意見文の本を読んでおく必要があります。
小学校低中学年のころは、本のジャンルは物語文でいいので、何しろたくさんの本を読んでおくことが必要です。
好きな本が見つかり、同じ本を何度も読むようになるというところまでいけば、小学校低中学年の読書は成功しています。
そのために、親のできることは、本を読んでいることを認めて褒めてあげることです。
それは、「本を読むのが好きなんだね」「同じ本をよく読んでいるね」という声かけだけでいいのです。