サクラ
子育ては、幼児期から始まります。
この時期に大切なことは、愛情と対話と自然です。
今は、使いやすいデジタル機器が豊富ですが、幼児期に接するものは、できるだけ自然にもとづいたものであることが必要です。
例えば、PCモニターの色数が1677万色あり、見た目にはほとんど自然の色と変わらないように見えても、自然の色の無限さに比べれば、やはり限界があります。
縦縞の環境で育てられた子猫は、横縞を認識しにくいという実験があります。
幼児期には、限界のある人工の環境をできるだけ避け、自然に近い環境で育てていくことが大切です。
これは、音については、特に重要です。
自然の環境では、音は事実に結びついています。
例えば、母親の優しい声は、そのときの母親の笑顔と結びついています。
しかし、テレビやビデオから流れてくる音声は、事実と結びついていません。
感情を伴わない音声を聞き続けることによって、音声と感情との結びつきが弱くなることが考えられるのです。
小学123年生は、母語が形成される時期です。
外国人の子でも、小学123年生の時期に日本にいると、日本語が母語になります。
日本語が母語になると、例えば、虫の声や鳥の声を、左脳で認識するようになるのです。
反対に、日本人の子供でも、小学123年生の時期に海外で暮らすと、その現地の言葉が母語になります。
これは、東京医科歯科大学名誉教授の角田忠信さんが、多くの調査結果で明らかにしています。
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しかし、外国語の習得は、中学生からだと遅い面があります。
音声をそのまま吸収できるのは、小学4年生ごろからです。
中学生になってから外国語を学ぼうとすると、音声よりも文法的な知識の習得が先に来るようになるからです。
小学123年生で、大切なのは、勉強よりも読書です。
勉強の多くは、知識の習得です。
確かに、この時期は、知識の力が伸びる時期で、ゲームのキャラクターの名前を覚えるようなことに喜びを感じるものです。
しかし、それを勉強にあてはめて知識の習得を先行させると、確かに成績はよくなりますが、その分考えることが後回しになります。
考える力の基本は、日本語で考える力です。
もちろん、図形で考えたり、数字で考えたりすることもありますが、日常生活のほとんどは日本語の力で考えています。
その考える力である日本語力のもとになるものが、読書と対話です。
小学123年生で、学校の成績は同じぐらいであっても、読書力が違うことがあります。
学年が上がるにつれて学力が伸びるのは、読書力のある子です。
だから、ひとことで言えば、小学123年生の時期は、勉強よりも読書を優先するぐらいでいいのです。
読書のほかには、お父さんお母さんとの知的な対話、暗唱の練習、生き物を飼うことなどが、子供の成長に役立ちます。
特に、犬や小鳥など、人間とコミュニケーションのとれる生き物が家族の一員になると、子供の幸福感が育ちます。
ただし、生き物を飼うときは、親がその生き物の買い方をよく研究しておくことが大切です。
犬はかわいい動物ですが、幼児期のしつけがうまくできないと、かえって困ることがあります。
住宅環境によって、生き物が飼えないときは、自然の生き物と接する機会を作ることです。
ベランダに、ミカンを輪切りにしておいておけば、やがてメジロがやってきます。
パンくずやご飯の残りを置いておけば、すぐにスズメが来るようになります。
カラスやハトが一緒に来る場合は、スズメだけが入れる大きさの金網を上に置いておけば、スズメだけがのんびり餌を食べることができます。
1年たって、子スズメの世代になれば、スズメたちは人間が近くに来ても逃げないようになります。
スズメ用の巣箱を作ってやれば、ほとんどペットと同じ感じになります。
家庭生活は、できるだけ笑顔で過ごすことです。
その役割の大きな部分は、やはりお母さんです。
人間の生きる目的のひとつは、幸福に生きることです。
そのためには、お母さんが怖いお母さんにならないことが最も大切なのです(笑)。