子供たちには、いろいろな個性があり、長所があり、また短所があります。
成績がいいときもあるし、悪いときもあります。
うまく行くことも、失敗することもあります。
身近に子供たちを見ていると、つい今のその姿しか見えません。
そのため、教育に携わる人の多くは、子供たちを成績という面からだけ見てしまいがちです。
よくできる子、あまりできない子、というような一面からだけの評価です。
しかし、子供たちは成長します。
お父さん、お母さん方も、次のような経験があると思います。
小学校や中学校のころ、こんな子だった子が、社会に出たらいつのまにかあんな子になっていた、ということです。
「こんな」や「あんな」には、いろいろな言葉が入ります。
小学校、中学校、高校のころには予想もできなかったような成長を、どの子も遂げるのです。
だから、私は子供たちを見るときは、その子の今の姿ではなく、その先にある姿、つまり、社会人になったらどういう活躍をするのだろうという目で見ています。
すると、どの子も、文字どおり予測を超えた無限の可能性があるのです。
そう考えると、おのずから子育ての重点がわかってきます。
目の前のテストの成績は、もちろん大切ですが、それよりも大切なのは、子供たちが人間として成長することです。
受験勉強に邁進しているときは、こういうことは頭ではわかっても、心から納得するところまでは行きません。
しかし、時がたつと、心から納得するときが来ます。
ごく身近な話で言えば、中学生、高校生はあまり本を読みません。
言葉の森のオンラインクラスでは、毎週の読書紹介があり、中高生には説明文読書を勧めていることもあり、それなりにみんな本を読んでいますが、全体に日本の中学生高校生の読書量は多くありません。
定期テストの2週間前や、中3生高3生の受検期間中は、読書はいったん休んでもかまいません。
もちろん、そういう時期でも、折に触れて読書をする子はいますが、とりあえず読書より勉強でいいのです。
しかし、テスト勉強と読書を比べた場合、ひとまとめに言うことはできませんが、テスト勉強はあとに残りません。
しかし、読書は、あとに残ります。
例えば、中学生の数学の因数分解は、頭脳のパズルというぐらいの意味しかありません。
面白い因数分解の問題はたくさんありますが、それらができたとしても、社会人になったとき何かに役立つということはありません。
二次方程式の解を求めたいなら、解の公式にあてはめれば十分だからです。
また、解の公式も、理屈がわかれば、暗記しなくても自分で作ることができます。
中学生、高校生のみなさんは、また、そのお父さんやお母さんは、目の前のいろいろな課題に流されず、人間として成長することが大事だという原則を持ち続けていってくださるといいと思います。