6月10日の日本経済新聞に、「今後の主役、ハイブリッドより電気自動車」という記事が載っていました。
ハイブリッド車、つまりガソリンエンジンと電動モーターを併用する仕組みの車は、トヨタのプリウスに見られるように現在大きな人気を博しています。しかし、アメリカのテスラ・モーターズが発売した電気自動車のように、世界の大きな流れは、ガソリンから電気へと大きく変化しています。
ハイブリッド車は、過渡的なものは消滅するという法則のとおり、将来は自動車の歴史における木炭車と同じものになるでしょう。
自動車が電気自動車中心になると、その構造は、単純化され、自動車のコモディティー化が始まります。
これは、かつてのパソコンがたどった道と同じです。IBMのパソコンは、中国のレノボがそのブランドを引き継ぎました。パソコンはすでに、いくつかの部品を組合わせれば誰でも作れるものになっています。
やがて自動車も、モーターと電池の組合わせで、特別の技術や設備がなくても組み立てられるものになっていきます。
このような大きな変化は、インターネットの世界でも起こっています。しかし、これは、すでにいろいろところで言われているので省略します。
さて、話は大きく変わりますが、現在の世界では、軍事力の中心は核兵器です。しかし、
この核兵器は、かつての武田勝頼の騎馬軍団に相当するようになるのではないでしょうか。
信長の鉄砲隊が登場することによって、それまでの軍事力の概念は大きく変化しました。日本は現在、軍事力の質という点で周辺の諸国よりも後れを取っています。しかし、日本の安全は、従来の軍事力の延長で考えるのではなく、独自の科学技術やシステムを生かした道で考えていくべきです。この大きな方向を目指しているか否かということが、これからの日本の未来を大きく左右するはずです。
単に、
相手も核を持っているからこっちも核をという選択肢しか考えつかないのでは、平和の問題は袋小路に陥ります。
さて、話を元に戻して、ウェブでも今後大きな方向の変化があります。それは、一言で言えば、ファイルからデータベースへという流れです。
すでに10年以上前から、ローカルのパソコンの世界では、様々なアプリケーションがデータベースを中心にして動くという形に変化していました。
一時、年賀状ソフトが人気のあるアプリケーションだった時代がありましたが、年賀状ソフトの限界は、データベースを年賀状ソフト用に構築しなければならなかったことです。
言葉の森によく売り込みに来た顧客管理システムも同じです。顧客管理システムに合わせてデータベースを構築すると、ひとつの会社の中でデータベースが複数作られてしまいます。
これからのアプリケーションは、ある一つのデータベースを中心に、そこからワンストップで情報を引っ張って加工するという形が中心になります。
さらに言えば、ローカルのパソコンにデータベースがあるのではなく、インターネット上にデータベースがあり、その情報を自宅からも外出先からもレジャー先からもアクセスできるということが求められるようになります。
マイクロソフトのモデルであったオフィスソフトのセット販売という時代から、グーグルなどが目指しているウェブ上でのアプリケーション利用の時代に今IT環境は大きく変わろうとしているのです。
インターネットのホームページにこの変化を当てはめてみると、やはりファイルからデータベースへという流れが、当面の最も目立つ変化になります。
これは、このことによって、ブログの役割がこれからますます大きくなってくるということでもあります。
ブログにも、静的なファイルを生成するブログと、データベースから動的なページをそのつど生成するブログがあります。また、動的に生成したファイルを静的なファイルに見せる仕組みのブログもあります。これらは将来、編集のしやすさという点から、多くが動的なページになっていくと思われます。
SEO対策の面からは、今はまだ静的なページの方が検索されやすいという点で有利なようですが、これも将来は検索エンジンの仕組み自体が動的なページ中心に改良されていくと思います。
今、SNSとブログは、相互に乗り入れする形で互いにSNS的なブログとプログ的なSNSになりつつあります。しかし、
ウェブ上の表現力の点から見れば、ブログからスタートしたSNS的ブログの方に分があるようです。例えば、mixiとアメブロでは、mixiで自分の日記を公開するよりも、アメブロで公開している日記で他の人とコミュニケーションも図るという形が多くなっていくと思います。
今後、企業のホームページも、ページ自体がブログ化する形で進んでいきます。
ブログ化したホームページの優位性は四つ考えられます。
第一は更新頻度が高いことです。ブログはFTPのような設備がなくても、会社からでも自宅からでも外出先からでもどこからでも必要なときに更新できます。
第二はデータベースから情報を引っ張っているので、個々のページの加工がきわめて容易だということです。
第三は、静的なページではなく、動的なページで常にコミュニケーションが図れるということです。
第四はRSSで記事の更新がすぐに全世界に通知できるという点です
言葉の森では現在、HTMLで作っている静的なページをすべてデータベースから生成する動的なページに作りかえていく予定です。
さて、
この「ファイルらデータベースへ」という流れの本質は、「物から情報へ」という流れです。
このことを、これからの職業にあてはめてみると、次のようなことが言えます。
P・ドラッカーは、企業の寿命は30年ほどだと述べました。人間の生きている時間はそれよりももっと長いという点から考えると、
企業に就職するという時代はすでに終わりつつあり、今後は自分の知識や技能を生かせる職種に就くという形の就職が中心になってきます。
このことはまた、教育の変化についても、大きな示唆を与えています。
それは、ひとことで言うと、
教科書や教科や学部や学校という外側の枠組みに結びついた知識ではなく、その人の生きる中身に結びついた知識がこれから重要になってくるということです。
昔は、ある学部に入ることや、ある学歴を持つことや、ある資格を持つことが、ある職業につくための条件だった時代がありました。特定の企業や組織に就職すれば一生その構成員でいられる時代にはそれでよかったのです。
しかし、これからはそうではありません。どこに放り出されてもひとりで自分を売り込める中身がなければ、変化の大きい社会では生きていけません。
それは、ある意味で多くの可能性を秘めた社会です。これまでは、偏差値に見られるように、特定の勉強の出来不出来で序列化が可能な社会でした。これからは、自分の得意分野を頂点にして、世の中にある無数の勉強を自分なりに組み立てて勝負していく社会です。
勉強をすることは、昔も今もその必要性は変わりませんが、昔のように勉強の側に主体があるのではなく、自分の人生の方に主体がある社会になっていくのです。
(この文章は、構成図をもとにICレコーダーに録音した原稿を音声入力ソフトでテキスト化し編集したものです)
マインドマップ風構成図
記事のもととなった構成図です。
(急いで書いたのでうまくありません)