ログイン ログアウト 登録
 地に足のついた勉強を―「進学塾不要論」を読んで Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 826番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
地に足のついた勉強を―「進学塾不要論」を読んで as/826.html
森川林 2010/03/16 04:58 



 「進学塾不要論」(水島酔著 ディスカヴァー)という本を読みました。以下は、その内容の紹介です。

 塾に通ってよくなる子は1割、残りの9割は何らかのかたちで悪くなる、と著者は述べています。大量の宿題によって、考えずに問題をこなすようになると、本来わかっていた勉強もわからなくなり、また、そのような間違った学習スタイルが身につくと、その後の勉強にも悪い影響を与えるというのです。

 なぜ塾が大量の難しい宿題を出すかというと、ひとつは、宿題についてはコストがかからないという営業上の理由からです。もうひとつは、大量の宿題と難問を出すことによって、生徒のふるい分けができるからです。

 なぜふるい分けをするかというと、成績のいい順に難関校を受験させて合格実績を上げるためです。このため、受験の直前になるまで過去問を解かせないという塾もかなりあります。本当に志望校の合格を考えるなら、早めに過去問をやるのが正解ですが、ふるい分けのための手段として考えるならば最後の仕上げとしてやることになるからです。

 そして、この合格実績というのも、結局、その塾に通うから合格するのではなく、もともと合格する力のある子を集めているだけというのが正直なところです。

 偏差値60までの受験は、学校の勉強がしっかりできていれば十分というのが著者の考えです。


 著者の水島氏は、自分でも学習塾を運営しているので、書かれている内容に説得力があります。著者のいう「よい塾」の条件は、「宣伝をしていない」「チェーン展開をしていない」「一科目でも受講が可能である」です。中でも、宣伝が多いか少ないかはわかりやすい指標になると思います。

 学習塾の実態にくわしい人は、このようなことを考えているのだということ前提にした上で、自分の子供にどういう教育をするかを考えていく必要があります。


 以上の予備知識をふまえた上で、学力別の勉強の仕方を説明します。

 まず、実力の高い子は、塾に行ってもとりあえず問題なく勉強を進めています。これらの子供たちは、大学合格を目標とするのではなく、合格後の将来の社会生活の目標を普段から考えさせていくとよいと思います。そのためには、ハングリー精神を持たせることです。将来、安定した高収入の仕事につけばいいというのではなく、日本のリーダーとなる気概を持って創造的な仕事をすることを子供のころから求めていくことです。

 次に、実力の普通な子は、学習塾のペースに乗せて勉強をあおらないことです。大量の宿題をやらせて考える力をなくすのではなく、読書の時間を確保して自分なりに考える習慣を育てていくことです。小中学生のころは、まだ人に言われてやる勉強ですが、いずれ必ず本人が自覚して勉強するようになる時期が来ます。その足固めのための学力をつけておくというのが、小中学校時代の勉強の位置づけです。成績を上げることにとらわれるのではなく、実力をつける勉強に取り組んでいってください。

 最後に、勉強の苦手な子は、塾には頼らず、家庭で力をつけていくのが基本になります。苦手な子についても、勉強の方法はシンプルです。国語については読書です。英語は、教科書の音読と暗唱です。算数数学は、1冊の問題集を100%できるようになるまで繰り返すことです。

 いずれの場合も大事なことは、学習塾の方針を鵜呑みにするのではなく、親が自分の目で見て子供を育てていくことです。これは、何度言っても言いすぎにならないことですが、子供がテストを持って帰ってきたとき、点数だけを見て一喜一憂する親が多すぎます。ほとんど子供と同じレベルです(笑)。点数を見たあとに、必ず問題の内容を見て、子供がどこができなかったのかを知ることが大事です。そして、できれば、お母さんやお父さんが一緒にその問題を解いてみて、子供がどうしてできなかったのかを理解することです。そうすれば、勉強は、もっと地に足のついたものになっていくと思います。



コメント欄

おはろ母 2010年3月16日 12時10分  
水島先生は次のようなことも述べておいでます。書くことや読書がきらいになる弊害をきたすくらいなら、子供に作文や読書感想文を強要しないほうがよい、読解力さえあれば高校生くらいになれば自然に書けるようになる、と。しかしたとえ小学生であっても、自分の体験したことを、下手でも記録に残すことは意味あるように思うのですが。無理強いしないことが大事ということでしょうか。

森川林 2010年3月16日 20時18分  
 方法論なしに作文や読書感想文を教えたら、作文も読書も嫌いになる可能性が高いです。だから、一般的にはそう言えます。特に、家庭で親が子に作文を教えるのは難しいと思います。

 言葉の森の場合は、長年の蓄積に基づいた方法論があるので、小1から高3まで続けても大丈夫です。
 ただし、読む力をつけないと作文がマンネリ化するので、暗唱+読書+作文ということでやっていくのが大事です。

コメントフォーム
地に足のついた勉強を―「進学塾不要論」を読んで 森川林 20100316 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ふへほま (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ふへほま」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
子育て(117) 勉強の仕方(119) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン