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受験にも自己の向上にも役立つ作文 as/1000.html
森川林 2010/08/24 15:32 


 作文の勉強は、作文小論文の試験には直接役立ちます。会社のエントリー試験、大学入試の小論文、高校の推薦入試の小論文、そして、最近では公立中高一貫校の試験でも作文の課題が出されています。

 言葉の森の生徒の多くは、受験のために勉強を始めたのではなく、ただ面白そうな勉強だからという理由で作文の勉強を始めた人が多いようです。そして、受験する学年になって、結果として作文の勉強が役に立ったという人がかなりいます。

 そのため、何年も作文を書く練習をしているので、入試で書きにくい課題が出されても、自分には何とか書けるはずという自信があり、実際にどのようなテーマが出ても目標の字数まで書いてきます。

 また、言葉の森では、作文の勉強の前提として読む学習に力を入れています。小学校5年生以上は、題名課題よりも感想文課題の方が多くなります。また、暗唱の自習や問題集読書の自習なども行っているので、言葉の森の生徒は、長文を読む力がついてきます。これが、国語の読解力の成績向上にもつながっています。

 国語力は、問題を解かせて答えあわせをして解説を聞くという勉強では力がつきません。解説で点数が上がるというのは、もともと持っている実力までは上がるということです。実力自体を上げるのは、問題を解くことではなく、実際に読む学習を続けることによってです。


 言葉の森の作文には、このように受験にも役立つ面がありますが、言葉の森の生徒は、受験などを意識しない小学校低学年から作文を始めていることも多いのです。それは、多くの保護者の方が、目の前の成績を上げることよりも、本当に子供の成長にとって役立つ勉強をさせたいと思っているからだと思います。

 では、言葉の森の作文の勉強によって、どういう力がつくのでしょうか。

 一つは、読む経験です。毎週、長文を何度も音読したり、感想文の練習をする中で長文を読んだりしているので、読んだ内容が確実に自分の中に残ります。言葉の森の勉強で読んだ長文が、大学生や社会人になっても生きて使える実例や意見として残っています。

 もう一つは、当然ですが文章を書く力です。言葉の森の生徒は、大学生になってレポートを提出するときなども書くことが苦になりません。しかも、いきたりばったりに書くのではなく、構成を考えて書くという習慣がついているので、計画的に文章を書くことができるようです。

 OECDの学力調査によると、日本の学生の苦手な分野は、読解力や記述力など多様な答え方が可能な中で自分なりの考え方を述べる分野でした。

 社会に出てから出合う問題は、問題と答えが一対一で対応しているようなものはほとんどありません。多様な読み方ができる材料と、多様な答え方ができる対策の中で、自分なりにひとまとまりの考え方を述べることができるというのが本当の読む力と書く力です。言葉の森で勉強をすることによって、そういう社会に出てからも役立つ力がついているのだと思います。か

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未来の教育は、作文を軸に学力を育てるものに as/999.html
森川林 2010/08/23 11:49 



 何年か前、夏祭りの模擬店で焼き鳥屋さんをやり、煙を吸いすぎてひどい目にあったことがあります(笑)。ところで、そのときに感じたことは、夏祭りに来ている人たちで、いちばん生き生きとしているのが模擬店を開いている人で、その反対に、お客さんで買いに来ている人はそれなりに楽しそうだがお店の人ほど生き生きとしてはいないということでした。

 人間は、ただ消費するだけよりも、何かを創造しているときの方が生き生きとするのだと思います。「こんなことやらされて大変だ」と口では言うものの、それがそれなりに楽しいというのが人間がもともと持っている性質です。

 ところが、現代の社会における仕事は、そのような喜びに結びついたものではありません。どちらかといえば、給料のために苦しい仕事を我慢してやるというようなものになっています。なぜ、そういう仕事になったかといえば、現代の社会ではまだ豊かさが不足しているために、人よりもいい収入を得たければ人よりもいいポジションにつかなければならないという事情があったためです。

 このいい仕事につくための努力が、勉強においては、いい学校に入るための勉強、そして、そのためにいい点数をとるための勉強になっていました。そこで、逆に、みんなにいい点数をとらせずに差をつけてふるいわけをするために、間違えやすい問題を出しそれを解く訓練をするというような勉強が主流になってきたのです。

 これからの社会は、もっと豊かさが普遍的なものになる社会です。その豊かな社会で、人間が単に消費の中で喜びを見出そうとすれば、その社会は進歩のない停滞した社会になるでしょう。

 しかし、人間は、もともと喜びをもって仕事をしたいと思う存在です。未来の社会の勉強は、豊かな社会の中で自分らしい仕事を見つけるために学ぶというものになってくると思います。

 その未来の勉強は、三つの方向で考えられます。一つは、世の中の情勢を理解し把握するための勉強です。これは、これまでの学校教育で行われてきた英数国理社などの勉強とほぼ同じです。違う点は、差をつけるための勉強ではなく、自分にとって役立つための勉強になっている点です。

 もう一つは、自分らしい創造をするための勉強です。

 そして、三つめは、その自分らしい創造を表現し、ほかの人に伝えるための勉強です。

 創造の勉強は、音楽、絵画、工作など、いろいろな素材によって異なりますが、言語による創造というものが重要な位置を占めます。同様に、表現の勉強についても、音楽、絵画、工作などさまざまな手段がありますが、言語による表現が重要な方法になってきます。もちろん、理解と把握のための勉強も、これまでと同じように言語を通しての学習が中心です。

 この言語による創造と表現が、これからの作文に求められる目標です。したがって、未来の勉強は、人よりも早く難問を解くという勉強ではなく、自分なりに新しい何かを創造し表現する、そのためにさまざまな知識や技能を身につけるというものになってきます。言い換えれば、自分らしい章を書くために、幅広い教養を身につけるという形です。この作文を中心にした国語力と学力を育てることが、未来の教育の姿になってくると思います。

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