公立中高一貫校の入試は、学習塾に頼らないでもできるような勉強で受験生の実力を見るということが前提になっています。そのため、詰め込みの知識を見る問題ではなく、考えて解くような問題を出すという工夫がなされています。
そういう考える問題を毎回作るのは、かなり大変です。しかし、教科の問題作成よりももっと大変なのが作文の問題作成です。
最初のころの中高一貫校の作文課題は、受験生の実力を軽く見る程度の身近な課題が中心でした。しかし、すぐに受験生がそういう課題に対策を立てるようになると、作文の評価に差がつかなくなりました。
受験用のテストは差をつけることが目的なので、作文の課題は年々難しくなっていきました。まだ入試が始まってから4、5回しかたっていないのに、今の中高一貫校の入試の作文の課題は、普段の実力だけで準備なしで書ける子はまずいないというぐらい難度の高いものになっています。
それは、課題が難しいこともありますが、課題のわりに時間がかなり短いことも大きな理由になっています。学校の中には、30分で800字の作文を書くような課題を出すところもあります。大人でも、このスピードで書ける人は限られていると思います。
そういう無理な試験をするよりも、作文自動採点ソフト「森リン」を使った作文検定を参考にする方がずっと生徒の実力を無理なく正しく評価できると思います。我田引水ですが、「森リン」はこの9月に正式に特許を取得することになりました。
それはともかく、現状では、作文課題が難しくなっているのはやむをえない面もあります。実力のある子は、練習すればすぐに書けるようになるが、実力のない子は練習してもなかなか書けるようにはならないという差があるからです。
では、実力のある子は、受験作文のスピードに対応するためにどうしたらよいのでしょうか。それは、スピードを上げる練習をすることではありません。まずは、じっくり充実した作文を書く力をつけることです。中身がしっかり書けるようになったあとに、受験の1、2ヶ月前あたりからスピードを上げる練習をしていくのです。
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30分で800字とは、大人でも難しいと思います。日ごろから内容を充実させるための日々の習慣、構成を決めて一気に書き上げる訓練が必要とされますね。
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例年、「受験生は、夏休み前までに過去問を」と、もう何十年も言い続けているのに(笑)、あいかわらず秋から過去問に取り組むという人がかなりいます。
受験勉強は、情報戦です。旧日本軍と同じように、情報戦で戦略的に既に大きく後れをとっているのに、個々の戦闘でだけがんばるという勉強の仕方をする人が多いのです。
夏休み中に、自分流の勉強をした人と、ただ漫然と塾や予備校の夏期講習に通った人とでは、大きな差が出ます。夏休み中に自分流の勉強をするために、夏休み前の過去問分析が欠かせないのです。
夏休み前までの模試はあてになりませんが、夏休み後に行われる模試は、ほぼ正確に実力を反映します。
受験を左右するのは、偏差値ではなく総合点です。まだ過去問に取り組んでいない人は、過去問を、答えを書き込みながらでもいいので、全教科解いてみて、どの教科でどのぐらい得点するかという作戦を考えていきましょう。
塾や予備校でも、過去問は仕上げにやると言っているところが多いようですが、それは、生徒が早い時期に過去問に取り組むと対応しきれなくなるという教える側の都合によるものです。
受験に全責任を負っているのは、本人と保護者だけです。他人に頼らずに自分の判断で勉強に取り組んでいきましょう。
国語の成績を上げるコツは、ある意味で簡単です。一つは問題文を読む練習をすることです。もう一つは、選択問題の解き方のコツを学ぶことです。選択問題の解き方は、1、2時間もあればすぐに理解できます。
https://www.mori7.com/index.php?e=769
さて、人生で大事なのは、受験に勝つことでありません。受験が終わったあと、どういう勉強をして、どういう人間になるかということです。
受験に合格することを目的にしてしまうと、合格したあとに勉強が途絶えてしまいます。
合格することが目的なのではなく、合格後、又はたとえ第一志望に合格しなかったとしてもその後、社会に出て立派な社会人になり、世の中に貢献していくことが本当の目的なのだと今から話しておくといいと思います。
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低学年で勉強をしすぎ、中学年でくたびれてしまう子がいます。
中学年で勉強をしすぎて、高学年でくたびれてしまうということもありますが、小学校中学年ごろからは、本人も反発する力ができてくるので、それほど大きなマイナスにはなりません。しかし、強制力がある形で勉強させると、やはり反動も大きくなります。
やりすぎたためにやる気がなくなった子は、いったん無気力な状態を過ごしたあとに、やがて時間がたってから再び普通の状態に戻ります。それぐらいなら、最初からのんびり遊ばせておけばよかったということです。
大事なのは、バランスのよい生き方です。人間はやはり、自然に成長するのに近い状態で育てるのがいちばんいいのです。
人間が自覚して勉強を始めるのは、中学生の終わりごろからです。この自覚した時期からあとに、心ゆくまで勉強した親は、子供が小さいときに無理な勉強はさせません。勉強というものは、いずれやる気になったときにやればいいのだと思っているからです。
本当に勉強のできる人は、早くやらないと間に合わないというようなことは思いません。しかし、家庭での知的な環境には気を配っています。知的な環境とは、読書をする、テレビは制限して見る、親子でいろいろな対話をするなどということです。
勉強にくたびれた子供たちに共通しているのは、長い時間をかけて勉強することです。なぜかというと、早くてきぱきと仕上げると、追加の勉強が待っているという環境でこれまで勉強してきたので、いつの間にかそういう環境に適応してしまうのです。
勉強は、時間をかけてやるものではありません。分量を決めてやっていくことが大事です。そして、決めた分量が予想よりもかなり早く終わったとしても、決してそこで追加の勉強をさせることはせずに、明るく褒めておしまいにすることです。
そして、そのように早く終わりすぎる状態が継続的に続くようでしたら、そこで初めて分量を再度決めなおすようにすればいいのです。
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小学校4年生前後は、小学生のうちで作文がいちばん上手に書ける時期にあたります。
小学校2年生のころまでは、まだはっきりと他人にどう見られるかという意識が出ていません。小学校低学年の子供たちは自分の書きたいことを書くだけで満足しています。他人の目という意識がまだありません。
小学校6年生以上になると、作文の課題が難しくなり感想も一般化した大きい感想が要求されるようになります。そのころになると、文章を書いて他人から見られるということに逆に抵抗を感じるようになります。
そういう意味で、小学校4年生前後が自由に生き生きと生活作文を書ける時期になるのです。
小学校4年生のころは、他人がどう見るかという一種のサービス精神も出てきます。そこで、作文を面白く書く工夫をするようになり、家族や身近な人の面白い場面をわざと取り上げて書こうとします。
小学校4年生で作文コンクールなどによく選ばれる子は、上手に書くコツというものを知っています。しかし、ここであまり上手に書くことを追求しすぎないことが大事です。なぜなら、小学校中学年の作文で上手に書くことを目的にしてしまうと、かえってその後に行き詰まることがあるからです。
小学生のころの作文の上手さは、題材(実例)の表現の上手さです。つまり、出来事に依拠した表現の上手さです。社会に出てから書く文章の上手さは、主題(感想)の表現の上手さです。つまり、考え方に依拠した表現の上手さです。
高校生の後半になって優れた小論文を書ける子供たちを見ていると、その子たちも小学生や中学生のころは特に上手に書いていたわけではありません。ただし、書く実力はあったので、しっかりまともな文章を書いていたという印象です。
生活作文を上手に書ける小学校4年生のころの作文の目標は、まともに書くこと、つまり正しい表記と読みやすい表現で安定した文章が書けることです。サービス精神のある子は、これに加えて面白い文章を書くことを目指していくとよいでしょう。そして、作文を書く練習と並行して読む力をしっかりつけることです。
小学校低学年の作文の目標は、毎週楽しく書くことと、やはり読む力をつけることです。
そのためには、できるだけいいところを見て褒めることと、毎日の暗唱と読書を欠かさないことの二つが大事です。その反対に、避けなければならないのは、書いた作文の欠点を注意することと、勉強に追われて暗唱や読書を後回しにすることです。
高校生になって優れた文章を書けるようになることを目標に、本質的なことに力を入れた勉強をしていってください。
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7月の清書をもとにした森リン大賞です。
代表作品は、小5以上の生徒から1位の作品だけを1編掲載していますが、掲載されていない作品にも力作がたくさんあります。
7月の森リン大賞(小1の部46人中)
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●Iまつりのじゅんびをしたこと | あじさい | 62 | 570 | 47 | 49 | 62 | 80 |
2位 | ●おいしかったきゅうしょく | なりと | 61 | 224 | 44 | 43 | 57 | 86 |
3位 | ●びよういん | 清良 | 61 | 232 | 38 | 43 | 50 | 108 |
4位 | ●シビッツ | きよれ | 60 | 159 | 38 | 44 | 54 | 95 |
5位 | ●おとうばんのこと | きゆけ | 59 | 314 | 42 | 43 | 52 | 79 |
6位 | ●おとうさんがいたりあにいったこと | あおの みき | 59 | 391 | 39 | 43 | 50 | 96 |
7位 | ●びょういん | ひろは | 57 | 108 | 37 | 50 | 48 | 80 |
8位 | ●すなばであそんだこと | こやり | 57 | 109 | 37 | 50 | 48 | 80 |
9位 | ●プール | くきあ | 55 | 103 | 37 | 50 | 49 | 73 |
7月の森リン大賞(小2の部102人中)
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●ピタゴラ・スイッチ | キューピー | 67 | 374 | 46 | 47 | 65 | 89 |
2位 | ●すごく速いターンを見せるぞ! | とらたいがくん | 66 | 463 | 42 | 50 | 72 | 92 |
3位 | ●ポケモンカードゲーム | きむち | 66 | 392 | 39 | 49 | 67 | 86 |
4位 | ●あつい毎日 | しゅうちゃん | 66 | 399 | 47 | 44 | 63 | 86 |
5位 | ●誕生日ケーキ作り | みるく | 66 | 708 | 41 | 48 | 62 | 92 |
6位 | ●また会えるといいね | みやま | 66 | 522 | 39 | 47 | 62 | 86 |
7位 | ●よいちに行ったよ | ひゆあ | 65 | 577 | 44 | 46 | 63 | 79 |
8位 | ●みいちゃんのおまつり | ちびこ | 64 | 772 | 44 | 44 | 71 | 79 |
9位 | ●せみとくわがた | トム | 64 | 712 | 39 | 43 | 66 | 89 |
10位 | ●ザリガニつりはたくさんつれた | きなは | 64 | 641 | 38 | 44 | 65 | 95 |
7月の森リン大賞(小3の部145人中)
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●一番すきな遊び | パルキア | 74 | 682 | 49 | 61 | 72 | 86 |
2位 | ●一番好きなあそび | かなろ | 71 | 679 | 46 | 57 | 70 | 80 |
3位 | ●わたしの好きな遊び | レモネード | 71 | 878 | 44 | 51 | 64 | 89 |
4位 | ●雨の日のずぶずぶ野球 | イナズマ | 70 | 573 | 49 | 49 | 75 | 81 |
5位 | ●目標は一番上のよこぼうにのること | すももちゃん | 70 | 661 | 48 | 44 | 62 | 89 |
6位 | ●ラテン人になりたい | ふうこ | 70 | 806 | 49 | 47 | 60 | 84 |
7位 | ●おふろのいろいろ | りすっぴ | 70 | 949 | 46 | 48 | 60 | 92 |
8位 | ●理解と愛情とユーモア(清書) | ゆまちゃん | 69 | 625 | 43 | 45 | 67 | 87 |
9位 | ●いちばん好きな遊び | ローズマリー | 69 | 687 | 44 | 43 | 60 | 86 |
10位 | ●一番好きな遊び | きやも | 68 | 491 | 43 | 53 | 70 | 84 |
7月の森リン大賞(小4の部134人中)
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●推理小説~臨海学舎の生活~原作 XYZ | MANCHESTER U | 78 | 893 | 39 | 97 | 101 | 60 |
2位 | ●私達の逃走中 | みゃお | 77 | 806 | 46 | 50 | 86 | 89 |
3位 | ●がんばればいい事が | スヌーピー | 77 | 813 | 42 | 61 | 78 | 90 |
4位 | ●友遊(ゆうゆう)遊んだ | めがね | 74 | 389 | 44 | 101 | 88 | 76 |
5位 | ●ママの子どものころって・・・ | まめっち | 74 | 881 | 47 | 55 | 77 | 83 |
6位 | ●ぼくのお父さん | りんご | 74 | 655 | 48 | 62 | 75 | 83 |
7位 | ●ジャングルおには、楽しいな | まあやん | 72 | 1166 | 48 | 48 | 72 | 89 |
8位 | ●大好きなたかたかおにとこおりおに | なっち | 72 | 779 | 42 | 47 | 64 | 80 |
9位 | ●古くせえもなぁ。でも大事に | ピカピカ | 72 | 706 | 52 | 51 | 61 | 83 |
10位 | ●なわとび最高! | ショコラ | 72 | 998 | 51 | 46 | 58 | 81 |
7月の森リン大賞(小5の部138人中)
私の両親と母の両親は正反対
ひんこ
二人とも長いかげを体にひっつけていました。
「楽しかったね。」
太陽はとてもまぶしくて目を大きく開けるのがむずかしい日でした。
「また来週遊ぼうね。」
とても暑かったので、あせがダラダラ流れていました。
私の父は、いつもアドバイスをくれて、私がなにか上手になるのを手助けしてくれます。父が私と遊んでくれる時、父は、子供にもどったようにワイワイギャアギャア遊んでくれます。一方、私の母の父は、母をいろいろな所へつれて行ってくれましたが、私の父のようには遊ばなかったようです。いつも母のことを見守っていたそうです。たとえば、大人は天皇で、子供は家来だとしたら、父は天皇側で私は家来側です。でも父は、そんな事は関係なく家来と遊んでいるようなかんじです。母の父は、いつでも天皇だぞ、というような人だったそうです。家来にいいことをしますが、家来のように低い位には行きたくな人です。私は、母の父が不思議に思えます。なぜかと言うと、私の周りには、母の父のような人がめったにいないからです。それは、今の時代だからかも知れません。今の人は、みんなで大人子供関係なく遊んでいます。もしかしたら、母の時代の大人は、みんな母の父のようだったかも知れません。
私は、父と毎週週末スケートボードで遊びます。父は、
「パパも乗らせて~!」
と叫んで手を大きくふります。
「いいよ~。」
と私は笑いながら動きを止め、スケートボードを父の方へ向けてけります。父は、私のおりることのできる階段をおりるのに挑戦しています。階段の前まで来ると急に方向を変えてしまいます。きっと、こわいからだと思います。やっとおりたと思ってもガンゴンガーン。こけてしまいます。階段おりのコツを教えてくれたのは父なのに、父自身ができないのが不思議でたまりません。私が父に、父が教えてくれたコツをアドバイスした時、その直後にはできるのに、ちょっと休けいした後に乗ったらいつの間にかできなくなっています。そうやって父自身が必死に練習しています。
母は、朝、昼、晩、とご飯を作ってくれます。私にお手伝いさせてくれます。母は、
「ちょっと勉強しよう。」
と声もかけてくれます。母は、時々一緒に遊んでもくれます。もっと遠くにボールを投げるアドバイスなども沢山くれます。
母の母もまたまた正反対です。自分の用事でしょっちゅう出かけたらしいですが、子育てや、子供自身に興味がなかったようです。
私の両親と母の両親は、正反対だという事がわかりました。私は想像してみました。私の両親の時代の大人は、子供大人関係なく遊ぶ人達。母の両親の時代の大人は、子供と大人の差をきちんと区別できる人達なのかもしれない。
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●私の両親と母の両親は正反対 | ひんこ | 84 | 1134 | 56 | 78 | 81 | 89 |
2位 | ●あいまい文化と日本人 | まーりん | 80 | 1062 | 48 | 54 | 68 | 92 |
3位 | ●砲撃開始 | シャーロック・ホームズ | 79 | 1472 | 38 | 68 | 96 | 83 |
4位 | ●成長するってすごいネ | ミント | 79 | 1078 | 53 | 57 | 82 | 86 |
5位 | ●断れない日本人 | リラックマ | 79 | 949 | 47 | 61 | 77 | 86 |
6位 | ●間の大切さ | トゥインクル | 78 | 954 | 44 | 64 | 95 | 80 |
7位 | ●kuro is my faborite pet☆ | みっくまっく | 78 | 1908 | 46 | 68 | 93 | 83 |
8位 | ●僚太からのプレゼント | ピッピ | 78 | 1071 | 41 | 66 | 92 | 84 |
9位 | ●幼中と成虫はありときりぎりす | がいあ | 78 | 1149 | 47 | 57 | 90 | 84 |
10位 | ●犬や猫ではないペット | 四葉のクローバー | 78 | 1067 | 42 | 48 | 82 | 83 |
★1位の作文は優れた内容でしたが、要約の部分が多かったので、代表作品としては表示しませんでした。次回から、清書の場合、要約は省略するか、自分なりの説明に書き換えておいてください。
7月の森リン大賞(小6の部141人中)
サンタさんからのプレゼント
クローバー
「あった~。やった~。かわいい~。」
一昨年のクリスマス、プレゼントを見つけた時、私は、喜びに満ち溢れてとび跳ねた。その時の嬉しさは、今までのプレゼントのなかで、一番嬉しかった。ほかのプレゼントもとっても素敵なものばかりだが、特にこの時にもらった、レオタード二着などのことを書くことにする。
明け方、ふと目が覚めた時、いつもプレゼントが置いてある枕元を見ると、プレゼントが置かれていなかった。そして、
「プレゼントがないよ~。」
と、一人でしくしく泣いた。でも、
「朝早いからまだサンタさんが来ていないのかも知れないよね。」
と自分で自分に言い聞かせてもう一度気を取り直して寝た。そして、また六時に起きるとまだプレゼントがなかったので、また私は泣いた。すると、父が来た。そして笑いながら
「しょうがないよ。あきらめな。」
と言ってリビングに行った。私は肩をがくんと落として、父の後について行った。ふとクリスマスツリーに目をやると、そこにある大きな靴下の中からプレゼントが顔を出していた。私は、「あれ?」と思った。「生まれた時から一度もプレゼントが入っていたことがなかったのに。あれは私の書いた手紙かな?」とも思った。でもそのあとすぐ、それがプレゼントだと分かった時、私は涙が一瞬で満面の笑みに変わった。その時のほっとした感じは今でも忘れられない。そこに入っていたのは黒にピンク色のリボンがついているフリルなしのレオタードと、水色とピンクのフリル付きのレオタードだった。とてもかわいかった。
昔もらったクリスマスプレゼントの中で、レオタード以外に特に嬉しかったものは、魚釣りゲームだ。私が幼稚園生のときにもらったもので、ずっと欲しかったものだった。それは、上を向いた魚がぐるぐる回りながら口を開いたり閉じたりする。中には磁石がついていて、つりざおにも磁石がついているから、魚が口を開いている時につりざおをたらせば、魚が釣れるというものだ。もう、とってもとっても嬉しくて、何度も何度も遊んだ。こわれたものが久しぶりに出てきて、母が捨てようとした時、とても名残惜しくて悲しかったが、しょうがなくしぶしぶ
「分かった。」
と言って捨ててもらった。でもそのときは、まるでやっと出てきた宝物と別れるような思いだった。
人間にとってプレゼントは、人の心を温かくするものだ。子供は、サンタさんから欲しいものをもらうと、素敵な気持ちになる。私は、サンタさんがいなかったとしても、ずっとサンタさんのことを信じていたい。それは、伝説のあの優しい子供にプレゼントを配るサンタさんが好きだからだ。私が大きくなって、子供のお友達ができたら、その子が素直に喜べるものをプレゼントしてあげたい。
順位 | 題名 | ペンネーム | 得点 | 字数 | 思考 | 知識 | 表現 | 文体 |
---|
1位 | ●上品な食べ方 | しもん | 80 | 885 | 46 | 68 | 80 | 90 |
2位 | ●サンタさんからのプレゼント | クローバー | 80 | 1135 | 39 | 55 | 74 | 87 |
3位 | ●使いやすく心のこもった贈り物 | まかじろう | 79 | 1207 | 49 | 100 | 118 | 84 |
4位 | ●手作りのプレゼント | かふた | 79 | 987 | 43 | 60 | 75 | 83 |
5位 | ●愛犬「クレア」 | トリウム | 78 | 1090 | 46 | 63 | 101 | 89 |
6位 | ●私は改めて自分の部屋に | ひたえ | 78 | 879 | 42 | 64 | 80 | 83 |
7位 | ●悪魔の引き出し | きろや | 78 | 1009 | 42 | 51 | 78 | 89 |
8位 | ●私達が守る十二所の森 | ドレミ | 78 | 874 | 46 | 60 | 77 | 87 |
9位 | ●エベレスト盛り | あんこ | 78 | 1069 | 43 | 48 | 75 | 83 |
10位 | ●日本文化 | コレルリ | 77 | 810 | 42 | 62 | 80 | 84 |
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昨日の「江戸時代の模倣という方法を現在の作文の勉強にも生かすことができる」という話のつづきです。
文章を模倣する練習というのは、家庭や学校のような場所でなければなかなかできません。民間の学習塾などが文章指導と銘打って、ただよい文章を書き写す練習をしていたのでは、人が集まらないでしょう。
しかし、そういうことを言ってもいられません。言葉の森では、現在、約千字の文章を暗唱する練習をしていますが、これを今後、暗唱から暗写へという形の練習に発展させていきたいと思っています。
文章の暗唱の成果というものは、すぐに出てくるわけではありません。その文章を暗唱したことを忘れたころに、暗唱した文章の雰囲気が作文の中に表れてきます。
先日、小学校5年生の生徒たちの「痛かったこと」という作文の課題で、子供たちが構成図を書いたあとに、その痛かった場面の描写を特に詳しく書くようにアドバイスしました。
ちょうど1年ほど前に、水泳の文章の暗唱で、ごく短い時間の話を詳しく描写するような文章を暗唱する練習をしていましたが、その文章の雰囲気と同じような盛り上がりのある描写が、今回の「痛かったこと」の作文の中に自然に書けていました。書く対象が違うので、表現する言葉は全く違いますが、そのピークに向かって盛り上がるという雰囲気がとてもよく似ていたのです。
暗唱の成果というものは、このように文章の雰囲気が似ているという形で表れてきます。ですから、暗唱の成果がすぐに出るのではなく、それがすっかり自分の中に消化されて、その文章を暗唱したことなど忘れたころに、自分の書く文章の中に暗唱の経験が生きてくるのです。
本の好きな子は、その本の文体と似た文章を自然に書くようになります。読む練習は、書く練習と深く結びついているのです。
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江戸時代の寺子屋の教育は、一斉指導でも個別指導でもありませんでした。それは、子供たちの自学自習をもとにして成立していました。
勉強の方法は、先生が何かを教えるという面は少なく、子供たちがある手本を真似することによって自ら学ぶという形でした。
真似をする学習というものは、その真似がすっかり自分のものになるまではあまり面白い勉強とは言えません。しかし、完璧に真似ができるようになると、その真似を表現することが楽しくなってきます。
徹底した真似は、初歩的な個性発揮よりもはるかに程度の高いものです。
欧米が個性と才能と天才の文化だったとすれば、日本の文化は、模倣と技能と熟練の文化だったと言ってもよいでしょう。
この模倣という方法を学校での作文の勉強にも生かすことができます。
日本の学校教育における作文指導は、二つの問題点を持っているように思います。
ひとつは、小学校低学年で作文指導をしすぎるという問題です。読む力がまだ不十分で、作文の書き方(表記)の基礎を身につけていないのに、自由に作文を書かせて間違いを直すというようなところに力が入れられすぎています。小学校低学年のころは、よい文章を繰り返し読んで、読む力をつけることによって書く力の土台を作ることが大事で、書くことをそのものを追求するのは、多くの子供にとって先取りしすぎた指導になっています。
問題点の第二は、小学校低学年での作文指導のしすぎとは反対に、小学校高学年から中学生高校生にかけての作文指導の不足です。この原因は、作文という生徒の個性を発揮する学習に対して、先生の評価や講評が追いつかないという理由によるものです。この場合も、生徒が模範となる文章を模倣して書き写すという練習を中心にしていけば、文章を書く機会は今よりももっと飛躍的に増やすことができます。
この手本の模倣というのが、江戸時代の寺子屋教育の中心で、この方法によって日本では当時の世界最高の識字率と手紙普及率が育っていったのです。(つづく)
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昨日、突然、高校3年生の子が慶応大学文学部の推薦小論文入試の書き方を教えてもらいたいというのでやってきました。
そこで、持ってきた過去問の課題を見て、書き方を説明しました。その際に、「結びの意見には、『反対意見に対する理解』を入れていくのがコツだよ」という話をしました。その子は、「何でそんなものを入れるのか」と納得できないような顔をしていましたが、その後実際に書いたものを見てみると、反対意見に対する理解が文章の印象をよくするのにかなり役立っていました。
受験の作文小論文のコツは、文章をよく見せるだけでなく、書いている自分自身をよく見せることです。ただ自分の考えを述べていればいいというのではなく、こんなに深く考えて述べているということもアピールする必要があるのです。
もちろん、こういうコツは、ある程度書く力があることを前提としていますから、実力がまだ伴っていない生徒の場合は、実力をつけることをまず最初に優先しなければなりません。
受験生をおおまかに分けると、まず実力のある子と実力のない子がいます。更に、実力のある子の中に、上手に書ける子と上手に書けない子がいるということになります。
日本では、中学高校での作文小論文の指導はほとんどありませんが、そのわりには、かなりの子が一定の文章力を持っています。
話は少し変わりますが、 フランスの調査会社が2010年2月にツイッターで使われている言語を調査した結果によると、英語が50パーセントで第1位で、日本語がそれについで14パーセントで第2位だったそうです。
日本人がいかに文章を書くことが好きな民族であるかがわかると思います。この原因は、日本語が漢字かな混じり文という視覚的な言語であることが大きな理由になっているように思います。日本語は、喋るよりも書いてみたときの感覚が美しくて楽しいという気持ちを持ちやすいのです。
この日本語を書く人口が多いということは、これからの日本の社会の可能性を大きく広げています。
近代の社会では、マスコミが情報を作り出し、一般大衆はそれを受け入れるだけという構造で運営されてきました。ところが、インターネットの普及によって、日本の場合は一般の人が情報を作り出す力があるということが次第に明らかになってきました。
これまでの工業社会は、今後次第に創造社会に移行すると思われます。このときに、国民ひとりひとりが自ら情報を作り出すことができる日本と日本語は、新しい時代を作るうえで世界の中で最も有利な位置にいると思います。
さて、言葉の森では、受験作文小論文コースは入試の5ヶ月前からということにしているので、9月から受験作文コースに切り換える生徒が多くいます。
作文の実力はこれまでの練習の中でつけているので、この受験コースは仕上げという位置づけの勉強になります。つまり、今ある実力の中でどれだけ上手に書くかということを中心にした指導です。このため、講師は生徒に対して、普通の練習では注意していないようなところまで注意します。
これまでの作文の練習では、生徒の努力を評価していましたが、受験作文小論文の指導では、努力よりも結果を評価します。例えば、いい表現を入れようとして書いているだけでは不十分で、実際にいい表現になっていないとだめだということです。教える方は簡単ですが、書く子供の方は大変です。(^^ゞ
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