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言葉の森のビジョン(その1) as/1011.html
森川林 2010/09/06 17:38 



 言葉の森の今後のビジョンを絵で説明します。


 現代の日本の問題は、二つの面から考えることができます。
 ひとつは、社会的な面です。日本は、戦後、アメリカからずっとマネーの面でコントロールされてきました。
 しかし、今、アメリカの力が後退する中で、中国からの圧力が強まっています。中国の圧力の源泉は人口です。
 日本は、アメリカと中国のはざまで自立をしなければならないという状況に置かれています。
 日本は、国土の面積は世界第60位ですが、排他的経済水域も含めた領海の面積になると世界第6位になります。そして、日本の近海には多くの貴重な鉱物資源が眠っています。
 弱肉強食の国際社会の中で、核を持つ大国にはさまれて、軍備を持たないお人よしの日本が、豊かな土地で平和に暮らしている、というのが日本の置かれている状況です。
 この中で、日本の自立をどう守っていくのかというのがひとつの問題です。

 もうひとつは、歴史的な面です。現代の社会は大きな曲がり角に来ています。主な行き詰まりは経済の面に現れていますが、その根底にあるのは、もっと大きな文化的な変化です。
 しかし、その曲がり角の先にある新しい時代の展望がまだはっきりとは見えていないというのがもうひとつの問題です。



 まず、社会的な面から考えると、国際社会の中で日本の自立を守るということが大きな課題になります。
 日本は、隣国中国から人口の大きな圧力を受けています。また、日本自身がこれから国際社会で生きていくときに、ある程度の移民を好むと好まざるにかかわらず受け入れざるをえません。
 しかし、移民が日本の社会に同化せずに、移民独自の社会を日本の中で作るという方向に進むなら、その移民政策は日本の社会の安定と調和にとって大きな脅威となるでしょう。
 移民は受け入れるが、その移民を強力に同化するだけの経済的な豊かさと文化的な豊かさを持つことがこれからの日本に求められています。
 その要になるのは、日本語教育です。



 今、世界の共通語は英語です。それは、英語が国際的なコミュニケーションのツールとして、ほかのどの言語よりも大きな欠点が少なかったという消去法的な選択によるものです。
 しかし、いったん成立した世界共通語としての英語の役割は、今後も永続するでしょう。
 ところが、人類の歴史はツールの改良の歴史です。英語がコミュニケーションのツールであるかぎり、その役割は、時間はかかっても必ず機械が代替していくものになります。



 英語がツールとしての言語であるのに対して、日本語は文化としての言語になる可能性を秘めています。
 将来の世界の人々は、自国語と日本語を子供時代からの教育でバイリンガルとして学ぶようになるかもしれません。
 それは、日本語には、母語として学ぶ大きなメリットが3つあるからです。



 日本語の第一の特徴は、視覚的言語という点にあります。
 日本語は、漢字かな混じり文なので、見た感じで全体の印象をつかむことができます。そして、この見た感じが、文章の内容を理解するのを助けます。
 他の言語でも、書かれたものは視覚的に読まれますが、基本は音声を通して理解することに向いている言語です。日本語は聞いて理解するよりも、読んで理解することに向いている言語です。
 そして、この読んで理解しやすいという性質が、今後のインターネットの文字情報の世界では大きな利点となるのです。



 日本語の第二の特徴は、母音言語だという点にあります。
 英語や中国語など日本語以外の他の言語は、左脳で子音を処理し、右脳で母音、自然音、楽器音、雑音などを処理します。しかし、日本語は、左脳で子音、母音、自然音を処理し、右脳で楽器音、雑音を処理します。
 この結果、日本語では擬声語や擬態語が発達し、雨がザーザー降る、川がさらさらと流れる、星がきらきら光る、スズメがチュンチュン鳴く、などという表現が多用されるようになりました。
 これらの擬音語を使うとき、日本人は無意識のうちに、雨の音や川の様子や星の光やスズメの声を擬人化しています。つまり、雨や川や星やスズメの語る言葉としてこれらの擬音語を使っているのです。それは、自然の音が左脳の言語脳で処理されることから生じる自然な結果です。
 このため、日本人は、自然の事物や動植物に対して、人間に対するのと同じような一体感をごく普通に持つようになり、それが日本独特のアニミズム、八百万の神という発想、異なるものの共存を受け入れる調和の精神を生み出しました。
 そして、今日の世界が必要としているのは、まさしくこういう調和と共存の見方です。それを理性の力で実現させようとするのではなく、言葉を使う中で自然に育てることができるという点で日本語は大きな利点を持っています。
(つづく)

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「より豊かに」から「よりよく」という生き方 as/1010.html
森川林 2010/09/02 21:34 


 これまでの教育は、耐久消費財の需要に対応した工業時代の教育というものでした。

 工業社会で、性能のいい歯車となり、高い所得を得、豊かな消費生活を送るという人生を目指す教育がこれまでの教育でした。それは、社会の側からの都合で学ぶことが決められ、そこで育てられる個人の能力はだれでも共通するものであるが故に、だれにとっても代替の可能なものでした。

 このような社会でいい仕事につくためには、いい学校に入り、いい成績をとる必要があります。しかし、その場合の「いい」という基準は、ある限られた枠で数値化され採点されるテストの形式で評価されるものでしたから、当然優劣が生じます。

 受験のための勝ち負けのある教育というものに、多くの生徒や保護者が疑問を感じつつも、しかし、負けるわけには行かないということで、競争にあおられながら勉強をしてきたのがこれまでの教育でした。

 しかし現在、これまでの工業社会に代わる新しい社会が台頭しつつあります。

 社会を動かす原動力は、人間の欲望です。これまでの多くの日本人の欲望の焦点は、豊かな消費財のある生活でした。例えば、いい家、いい車、いい服、いい食事などが、人間の生活の目標になっていました。

 しかし、このような消費財がいったんある程度手に入り、快適で便利な生活が送れるようになると、その欲望は、それ以上の充足は必要としなくなります。今は、いい家、いい車、いい服などにそれほどのワクワク感は持てなくなってきたのです。特に、お金を動かす力の大きい、資産や収入の多い人からのお金の流れが止まったことが、日本の社会の需要減少の背景となっています。

 では、魅力的な消費はどこに行ったのでしょうか。これからの人間がいちばんワクワクするものは、消費財よりも自己の向上のようなものになります。自分が、より美しく、より知的で、より創造的で、より社会に貢献できるような人間になりたいという欲望です。つまり、「より豊かに」から「よりよく」という欲望の変化が、これからの経済の動向を決めていくようになったのです。

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拍手喝采 20100903  
 森川林先生の教育論を拝読すると、いつも元気が出てきます。雑事に追われ、疑問を抱きながらも形式に惑わされて過ごす日々の向こうに、目指すべき目標が、見える様に思われます。
 我が子にも是非、より美しく、より知的で、より創造的で、より社会に貢献できるような人生を送ってほしいと思います。

 

森川林 20100903  
> 拍手喝采さま
 コメント、ありがとうございます。
 これからの世の中の変化は、意外に速いような気がしています。今は夢のようなことも、やがてみんなの常識になると思います。早くそういう世の中が来るようにがんばりましょう。ヽ(`▽´)/

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7月の森リン大賞(中1の部) as/1009.html
森川林 2010/09/01 15:50 
 7月の清書をもとにした森リン大賞です。

 全員の手書きの清書は、清書の谷に入っています。





7月の森リン大賞(中1の部89人中)

ダイアモンドの原石を磨く
闇の女帝

 私の学校では6月の初期に、初めての中間試験が行われた。結果は散々だったが、みな共通していっていたのは、「テストはやはりやりたくない」というワンフレーズであった。果たしてなぜそんなにテストは、人々に忌み嫌われる存在でなければならないのだろうか。私は、テストはいいものだと思っている。これから、その理由をのべる。

 まず、テストで自分の実力がはっきりわかるからだ。中間試験では、自分の点数と共に平均点や、学年順位も出る。つまり、自分の中間試験までの範囲の理解度が数値で示されて出てくるのだ。私はこの結果を受けて、一喜一憂するのではなく、この結果を果たしてどうやって期末試験に生かすかという、そのプロセスが大切なのだと考えている。その中で、授業態度やノートの取り方、小テストへの対策など、日頃の学習態度への反省と対策を立てて、自分に磨きをかけるのである。私たちは、ダイアモンドの原石である。最初はくすんでいても、毎日丹念に布で磨きあげれば、それは大きな輝きを持つ。同じように、テスト一つで悪い結果が出ても自分を責める必要はない。その結果を受けて、どんな対策をするのかによって、ダイアモンドの運命も変わってくるのである。

 次に自分の弱点発見につながるからだ。毎日、私たちは受け身の状態で勉強しがちなので、弱点を見分けるのが大変困難な作業になる。しかし、年に4回定期的に大きなテストが行われることによって、自分の弱点を見分けることができる。更に、あまりにも弱点が多かった場合、当然点数にも反映されてくるわけで、すると、補習でそれを克服することが可能になる。テストの点が悪かったことに、重きを置くのではなく、どこの問題をどう間違えて点数が悪くなったのかというところに、着目すべきなのである。

 更に、試験へ向けての目標や、日程をたてたりする、先を見通す力が身に付くからである。中間試験は、科目が多いだけに、小学校の頃のように、一夜漬けでは済まされない。そこで、一か月前ぐらいから、少しずつ自分のペースに合わせた予定を考えなければいけない。しかも、勉強は、目的がなければ大変つまらないものになる。だから、「英語は5位以内を目指そう」「平均が90になるようにしよう」という少し高い目標を掲げて、試験に取り組むことが大切になってくるのではないだろうか。

 確かに、筆記試験や実技試験では分からない実力もあるだろう。また、試験に緊張しすぎたり、体調が悪かったりして本当の力を発揮することが出来なかったりすることもあるだろう。しかし、テストはあくまでも自分の勉強の成果と自分の位置を知る手掛かりなのであり、そう重く捉えることはないのであろうか。「悪いことそのものがあるわけではない。時と場合によって悪いことがあるのである」ように、試験の利点を効果的に使うべきなのだ。実力の明確、弱点の発見、目標を立てる力がつくことを理由に、私はテストはいいものだと思っている。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1ダイアモンドの原石を磨く闇の女帝88122164809586
2真似しないけどそのアイデアもらった!ことのは87124863677490
3それぞれの象徴カモミール83127256588186
4テストの意味さおりん83121854698080
5文化を学ぼうおたまちゃん8399856737892
6親子関係ロールケーキ82104952607484
7日本文化はるかぜ81110652828989
8ハリアイを持って頑張れかゆと8195952657789
9親の主張リザードン8191452697393
10私のテストポセイドン8091656627283

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受験作文は、練習しないと書けないか as/1008.html
森川林 2010/08/31 10:31 


 公立中高一貫校の入試は、学習塾に頼らないでもできるような勉強で受験生の実力を見るということが前提になっています。そのため、詰め込みの知識を見る問題ではなく、考えて解くような問題を出すという工夫がなされています。

 そういう考える問題を毎回作るのは、かなり大変です。しかし、教科の問題作成よりももっと大変なのが作文の問題作成です。

 最初のころの中高一貫校の作文課題は、受験生の実力を軽く見る程度の身近な課題が中心でした。しかし、すぐに受験生がそういう課題に対策を立てるようになると、作文の評価に差がつかなくなりました。

 受験用のテストは差をつけることが目的なので、作文の課題は年々難しくなっていきました。まだ入試が始まってから4、5回しかたっていないのに、今の中高一貫校の入試の作文の課題は、普段の実力だけで準備なしで書ける子はまずいないというぐらい難度の高いものになっています。

 それは、課題が難しいこともありますが、課題のわりに時間がかなり短いことも大きな理由になっています。学校の中には、30分で800字の作文を書くような課題を出すところもあります。大人でも、このスピードで書ける人は限られていると思います。

 そういう無理な試験をするよりも、作文自動採点ソフト「森リン」を使った作文検定を参考にする方がずっと生徒の実力を無理なく正しく評価できると思います。我田引水ですが、「森リン」はこの9月に正式に特許を取得することになりました。

 それはともかく、現状では、作文課題が難しくなっているのはやむをえない面もあります。実力のある子は、練習すればすぐに書けるようになるが、実力のない子は練習してもなかなか書けるようにはならないという差があるからです。

 では、実力のある子は、受験作文のスピードに対応するためにどうしたらよいのでしょうか。それは、スピードを上げる練習をすることではありません。まずは、じっくり充実した作文を書く力をつけることです。中身がしっかり書けるようになったあとに、受験の1、2ヶ月前あたりからスピードを上げる練習をしていくのです。

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sizuku 20160909 51 
30分で800字とは、大人でも難しいと思います。日ごろから内容を充実させるための日々の習慣、構成を決めて一気に書き上げる訓練が必要とされますね。


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受験作文小論文(89) 公立中高一貫校(63) 

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受験に勝つために―そして、受験後にも as/1007.html
森川林 2010/08/30 14:36 


 例年、「受験生は、夏休み前までに過去問を」と、もう何十年も言い続けているのに(笑)、あいかわらず秋から過去問に取り組むという人がかなりいます。

 受験勉強は、情報戦です。旧日本軍と同じように、情報戦で戦略的に既に大きく後れをとっているのに、個々の戦闘でだけがんばるという勉強の仕方をする人が多いのです。

 夏休み中に、自分流の勉強をした人と、ただ漫然と塾や予備校の夏期講習に通った人とでは、大きな差が出ます。夏休み中に自分流の勉強をするために、夏休み前の過去問分析が欠かせないのです。

 夏休み前までの模試はあてになりませんが、夏休み後に行われる模試は、ほぼ正確に実力を反映します。

 受験を左右するのは、偏差値ではなく総合点です。まだ過去問に取り組んでいない人は、過去問を、答えを書き込みながらでもいいので、全教科解いてみて、どの教科でどのぐらい得点するかという作戦を考えていきましょう。

 塾や予備校でも、過去問は仕上げにやると言っているところが多いようですが、それは、生徒が早い時期に過去問に取り組むと対応しきれなくなるという教える側の都合によるものです。

 受験に全責任を負っているのは、本人と保護者だけです。他人に頼らずに自分の判断で勉強に取り組んでいきましょう。


 国語の成績を上げるコツは、ある意味で簡単です。一つは問題文を読む練習をすることです。もう一つは、選択問題の解き方のコツを学ぶことです。選択問題の解き方は、1、2時間もあればすぐに理解できます。

https://www.mori7.com/index.php?e=769


 さて、人生で大事なのは、受験に勝つことでありません。受験が終わったあと、どういう勉強をして、どういう人間になるかということです。

 受験に合格することを目的にしてしまうと、合格したあとに勉強が途絶えてしまいます。

 合格することが目的なのではなく、合格後、又はたとえ第一志望に合格しなかったとしてもその後、社会に出て立派な社会人になり、世の中に貢献していくことが本当の目的なのだと今から話しておくといいと思います。

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勉強の仕方(119) 

記事 1006番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
低学年で勉強しすぎ、中学年でくたびれてしまう子 as/1006.html
森川林 2010/08/29 19:14 



 低学年で勉強をしすぎ、中学年でくたびれてしまう子がいます。

 中学年で勉強をしすぎて、高学年でくたびれてしまうということもありますが、小学校中学年ごろからは、本人も反発する力ができてくるので、それほど大きなマイナスにはなりません。しかし、強制力がある形で勉強させると、やはり反動も大きくなります。

 やりすぎたためにやる気がなくなった子は、いったん無気力な状態を過ごしたあとに、やがて時間がたってから再び普通の状態に戻ります。それぐらいなら、最初からのんびり遊ばせておけばよかったということです。

 大事なのは、バランスのよい生き方です。人間はやはり、自然に成長するのに近い状態で育てるのがいちばんいいのです。

 人間が自覚して勉強を始めるのは、中学生の終わりごろからです。この自覚した時期からあとに、心ゆくまで勉強した親は、子供が小さいときに無理な勉強はさせません。勉強というものは、いずれやる気になったときにやればいいのだと思っているからです。

 本当に勉強のできる人は、早くやらないと間に合わないというようなことは思いません。しかし、家庭での知的な環境には気を配っています。知的な環境とは、読書をする、テレビは制限して見る、親子でいろいろな対話をするなどということです。

 勉強にくたびれた子供たちに共通しているのは、長い時間をかけて勉強することです。なぜかというと、早くてきぱきと仕上げると、追加の勉強が待っているという環境でこれまで勉強してきたので、いつの間にかそういう環境に適応してしまうのです。

 勉強は、時間をかけてやるものではありません。分量を決めてやっていくことが大事です。そして、決めた分量が予想よりもかなり早く終わったとしても、決してそこで追加の勉強をさせることはせずに、明るく褒めておしまいにすることです。

 そして、そのように早く終わりすぎる状態が継続的に続くようでしたら、そこで初めて分量を再度決めなおすようにすればいいのです。

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小学校4年生での上手さと高校生での上手さとの違い as/1005.html
森川林 2010/08/28 09:27 



 小学校4年生前後は、小学生のうちで作文がいちばん上手に書ける時期にあたります。

 小学校2年生のころまでは、まだはっきりと他人にどう見られるかという意識が出ていません。小学校低学年の子供たちは自分の書きたいことを書くだけで満足しています。他人の目という意識がまだありません。

 小学校6年生以上になると、作文の課題が難しくなり感想も一般化した大きい感想が要求されるようになります。そのころになると、文章を書いて他人から見られるということに逆に抵抗を感じるようになります。

 そういう意味で、小学校4年生前後が自由に生き生きと生活作文を書ける時期になるのです。

 小学校4年生のころは、他人がどう見るかという一種のサービス精神も出てきます。そこで、作文を面白く書く工夫をするようになり、家族や身近な人の面白い場面をわざと取り上げて書こうとします。

 小学校4年生で作文コンクールなどによく選ばれる子は、上手に書くコツというものを知っています。しかし、ここであまり上手に書くことを追求しすぎないことが大事です。なぜなら、小学校中学年の作文で上手に書くことを目的にしてしまうと、かえってその後に行き詰まることがあるからです。

 小学生のころの作文の上手さは、題材(実例)の表現の上手さです。つまり、出来事に依拠した表現の上手さです。社会に出てから書く文章の上手さは、主題(感想)の表現の上手さです。つまり、考え方に依拠した表現の上手さです。

 高校生の後半になって優れた小論文を書ける子供たちを見ていると、その子たちも小学生や中学生のころは特に上手に書いていたわけではありません。ただし、書く実力はあったので、しっかりまともな文章を書いていたという印象です。

 生活作文を上手に書ける小学校4年生のころの作文の目標は、まともに書くこと、つまり正しい表記と読みやすい表現で安定した文章が書けることです。サービス精神のある子は、これに加えて面白い文章を書くことを目指していくとよいでしょう。そして、作文を書く練習と並行して読む力をしっかりつけることです。

 小学校低学年の作文の目標は、毎週楽しく書くことと、やはり読む力をつけることです。

 そのためには、できるだけいいところを見て褒めることと、毎日の暗唱と読書を欠かさないことの二つが大事です。その反対に、避けなければならないのは、書いた作文の欠点を注意することと、勉強に追われて暗唱や読書を後回しにすることです。

 高校生になって優れた文章を書けるようになることを目標に、本質的なことに力を入れた勉強をしていってください。

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作文教育(134) 

記事 1004番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
7月の森リン大賞(小学生の部) as/1004.html
森川林 2010/08/27 19:49 

 7月の清書をもとにした森リン大賞です。

 代表作品は、小5以上の生徒から1位の作品だけを1編掲載していますが、掲載されていない作品にも力作がたくさんあります。





7月の森リン大賞(小1の部46人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1Iまつりのじゅんびをしたことあじさい6257047496280
2おいしかったきゅうしょくなりと6122444435786
3びよういん清良61232384350108
4シビッツきよれ6015938445495
5おとうばんのこときゆけ5931442435279
6おとうさんがいたりあにいったことあおの みき5939139435096
7びょういんひろは5710837504880
8すなばであそんだことこやり5710937504880
9プールくきあ5510337504973



7月の森リン大賞(小2の部102人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1ピタゴラ・スイッチキューピー6737446476589
2すごく速いターンを見せるぞ!とらたいがくん6646342507292
3ポケモンカードゲームきむち6639239496786
4あつい毎日しゅうちゃん6639947446386
5誕生日ケーキ作りみるく6670841486292
6また会えるといいねみやま6652239476286
7よいちに行ったよひゆあ6557744466379
8みいちゃんのおまつりちびこ6477244447179
9せみとくわがたトム6471239436689
10ザリガニつりはたくさんつれたきなは6464138446595



7月の森リン大賞(小3の部145人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1一番すきな遊びパルキア7468249617286
2一番好きなあそびかなろ7167946577080
3わたしの好きな遊びレモネード7187844516489
4雨の日のずぶずぶ野球イナズマ7057349497581
5目標は一番上のよこぼうにのることすももちゃん7066148446289
6ラテン人になりたいふうこ7080649476084
7おふろのいろいろりすっぴ7094946486092
8理解と愛情とユーモア(清書)ゆまちゃん6962543456787
9いちばん好きな遊びローズマリー6968744436086
10一番好きな遊びきやも6849143537084



7月の森リン大賞(小4の部134人中)

順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1推理小説~臨海学舎の生活~原作 XYZMANCHESTER U78893399710160
2私達の逃走中みゃお7780646508689
3がんばればいい事がスヌーピー7781342617890
4友遊(ゆうゆう)遊んだめがね74389441018876
5ママの子どものころって・・・まめっち7488147557783
6ぼくのお父さんりんご7465548627583
7ジャングルおには、楽しいなまあやん72116648487289
8大好きなたかたかおにとこおりおになっち7277942476480
9古くせえもなぁ。でも大事にピカピカ7270652516183
10なわとび最高!ショコラ7299851465881



7月の森リン大賞(小5の部138人中)

私の両親と母の両親は正反対
ひんこ

 二人とも長いかげを体にひっつけていました。
「楽しかったね。」
太陽はとてもまぶしくて目を大きく開けるのがむずかしい日でした。
「また来週遊ぼうね。」
とても暑かったので、あせがダラダラ流れていました。

 私の父は、いつもアドバイスをくれて、私がなにか上手になるのを手助けしてくれます。父が私と遊んでくれる時、父は、子供にもどったようにワイワイギャアギャア遊んでくれます。一方、私の母の父は、母をいろいろな所へつれて行ってくれましたが、私の父のようには遊ばなかったようです。いつも母のことを見守っていたそうです。たとえば、大人は天皇で、子供は家来だとしたら、父は天皇側で私は家来側です。でも父は、そんな事は関係なく家来と遊んでいるようなかんじです。母の父は、いつでも天皇だぞ、というような人だったそうです。家来にいいことをしますが、家来のように低い位には行きたくな人です。私は、母の父が不思議に思えます。なぜかと言うと、私の周りには、母の父のような人がめったにいないからです。それは、今の時代だからかも知れません。今の人は、みんなで大人子供関係なく遊んでいます。もしかしたら、母の時代の大人は、みんな母の父のようだったかも知れません。

 私は、父と毎週週末スケートボードで遊びます。父は、
「パパも乗らせて~!」
と叫んで手を大きくふります。
「いいよ~。」
と私は笑いながら動きを止め、スケートボードを父の方へ向けてけります。父は、私のおりることのできる階段をおりるのに挑戦しています。階段の前まで来ると急に方向を変えてしまいます。きっと、こわいからだと思います。やっとおりたと思ってもガンゴンガーン。こけてしまいます。階段おりのコツを教えてくれたのは父なのに、父自身ができないのが不思議でたまりません。私が父に、父が教えてくれたコツをアドバイスした時、その直後にはできるのに、ちょっと休けいした後に乗ったらいつの間にかできなくなっています。そうやって父自身が必死に練習しています。

 母は、朝、昼、晩、とご飯を作ってくれます。私にお手伝いさせてくれます。母は、
「ちょっと勉強しよう。」
と声もかけてくれます。母は、時々一緒に遊んでもくれます。もっと遠くにボールを投げるアドバイスなども沢山くれます。
 母の母もまたまた正反対です。自分の用事でしょっちゅう出かけたらしいですが、子育てや、子供自身に興味がなかったようです。

 私の両親と母の両親は、正反対だという事がわかりました。私は想像してみました。私の両親の時代の大人は、子供大人関係なく遊ぶ人達。母の両親の時代の大人は、子供と大人の差をきちんと区別できる人達なのかもしれない。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1私の両親と母の両親は正反対ひんこ84113456788189
2あいまい文化と日本人まーりん80106248546892
3砲撃開始シャーロック・ホームズ79147238689683
4成長するってすごいネミント79107853578286
5断れない日本人リラックマ7994947617786
6間の大切さトゥインクル7895444649580
7kuro is my faborite pet☆みっくまっく78190846689383
8僚太からのプレゼントピッピ78107141669284
9幼中と成虫はありときりぎりすがいあ78114947579084
10犬や猫ではないペット四葉のクローバー78106742488283





★1位の作文は優れた内容でしたが、要約の部分が多かったので、代表作品としては表示しませんでした。次回から、清書の場合、要約は省略するか、自分なりの説明に書き換えておいてください。


7月の森リン大賞(小6の部141人中)

サンタさんからのプレゼント
クローバー

 「あった~。やった~。かわいい~。」
一昨年のクリスマス、プレゼントを見つけた時、私は、喜びに満ち溢れてとび跳ねた。その時の嬉しさは、今までのプレゼントのなかで、一番嬉しかった。ほかのプレゼントもとっても素敵なものばかりだが、特にこの時にもらった、レオタード二着などのことを書くことにする。

 明け方、ふと目が覚めた時、いつもプレゼントが置いてある枕元を見ると、プレゼントが置かれていなかった。そして、
「プレゼントがないよ~。」
と、一人でしくしく泣いた。でも、
「朝早いからまだサンタさんが来ていないのかも知れないよね。」
と自分で自分に言い聞かせてもう一度気を取り直して寝た。そして、また六時に起きるとまだプレゼントがなかったので、また私は泣いた。すると、父が来た。そして笑いながら
「しょうがないよ。あきらめな。」
と言ってリビングに行った。私は肩をがくんと落として、父の後について行った。ふとクリスマスツリーに目をやると、そこにある大きな靴下の中からプレゼントが顔を出していた。私は、「あれ?」と思った。「生まれた時から一度もプレゼントが入っていたことがなかったのに。あれは私の書いた手紙かな?」とも思った。でもそのあとすぐ、それがプレゼントだと分かった時、私は涙が一瞬で満面の笑みに変わった。その時のほっとした感じは今でも忘れられない。そこに入っていたのは黒にピンク色のリボンがついているフリルなしのレオタードと、水色とピンクのフリル付きのレオタードだった。とてもかわいかった。

 昔もらったクリスマスプレゼントの中で、レオタード以外に特に嬉しかったものは、魚釣りゲームだ。私が幼稚園生のときにもらったもので、ずっと欲しかったものだった。それは、上を向いた魚がぐるぐる回りながら口を開いたり閉じたりする。中には磁石がついていて、つりざおにも磁石がついているから、魚が口を開いている時につりざおをたらせば、魚が釣れるというものだ。もう、とってもとっても嬉しくて、何度も何度も遊んだ。こわれたものが久しぶりに出てきて、母が捨てようとした時、とても名残惜しくて悲しかったが、しょうがなくしぶしぶ
「分かった。」
と言って捨ててもらった。でもそのときは、まるでやっと出てきた宝物と別れるような思いだった。

 人間にとってプレゼントは、人の心を温かくするものだ。子供は、サンタさんから欲しいものをもらうと、素敵な気持ちになる。私は、サンタさんがいなかったとしても、ずっとサンタさんのことを信じていたい。それは、伝説のあの優しい子供にプレゼントを配るサンタさんが好きだからだ。私が大きくなって、子供のお友達ができたら、その子が素直に喜べるものをプレゼントしてあげたい。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1上品な食べ方しもん8088546688090
2サンタさんからのプレゼントクローバー80113539557487
3使いやすく心のこもった贈り物まかじろう7912074910011884
4手作りのプレゼントかふた7998743607583
5愛犬「クレア」トリウム781090466310189
6私は改めて自分の部屋にひたえ7887942648083
7悪魔の引き出しきろや78100942517889
8私達が守る十二所の森ドレミ7887446607787
9エベレスト盛りあんこ78106943487583
10日本文化コレルリ7781042628084


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