ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1060番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/30
暗唱をすると頭が良くなる(その2) as/1060.html
森川林 2010/10/31 11:38 



 では、なぜ暗唱をすると頭が良くなるのでしょうか。それは、頭脳が扱う短期記憶の入れ物が大きくなるからだと思います。

 人間が普通に一度聞いただけで記憶できる分量は、7つまでと言われています。それが短期記憶の容量です。このため、文章で言うと、7文節ぐらいまでなら一度で覚えられますが、それ以上になると一度では覚えられません。新しい文節の単位が一つ入るごとに、古い文節の単位が一つ出ていくからです。

 しかし、暗唱の場合はそうではありません。一つの文節ではなく、いくつかの文節が集まった一つの文自体が記憶の単位になっています。これは、百人一首の短歌を覚えている場合を考えてみるとよくわかります。「ひさかたの」という最初の言葉を聞いた時点で、すぐに全部の「ひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ」までが思い出されます。この場合は35文字が一つのまとまった単位になっているということです。

 文章を理解するということは、ちょうどバケツリレーで、ひとつひとつのバケツに理解できる最小単位の文節が入っていて、それを次々と運んでいくような作業です。理解する単位が大きくなると、バケツリレーという作業自体は変わりませんが、ひとつのバケツのサイズが何倍にも大きくなるのです。

 このため、暗唱をして短期記憶のバケツを大きくしておくと、発想力も理解力も増すのだと思います。

 これは、ちょうど速読の仕組みと似ています。初めて文字が読めるようになった子供は、最初は1文字ずつ文字を読んでいきます。声に出しながら1文字ずつ読んでいき、その自分の声のつながり具合から何を書いてあったのか理解します。

 読むのが速くなると、声に出す必要はなくなり、文字のつながりをひとまとまりに理解しながら読み進めていきます。

 速読の場合は、この理解するひとまとまりが、5文字、10文字と増えていきます。フォトリーディングなど、更に速い読み方では、ひとまとまりの単位がもっと大きくなります。

 速読の場合は、読む単位を広げることですが、暗唱の場合は、理解する単位を広げる練習をしていることになるのだと思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 

記事 1059番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/30
暗唱をすると頭が良くなる(その1) as/1059.html
森川林 2010/10/30 10:19 


 タイトルの「暗唱をすると頭が良くなる」というのは私の実感です。実感とは言っても、データの裏づけのある実感です。

 昔から、言葉の森では音読の自習をしていました。しかし、その音読をもっと徹底させたいと思っていました。

 音読は、国語力をつける効果はありますが、続けにくいということと、そして、たまに嫌々やるぐらいでは効果がないことが弱点でした。

 五分でもいいので、毎日同じ文章を繰り返して読むことが大事なのですが、そのやりかたを実行している子は、なかなかいませんでした。

 また、言葉の森で音読をしていると、同じことをほかのところでもやるようになってきました。

 音読を勧める本が出たり、学校の宿題として取り組むところが出てきたりすると、逆に音読のマイナス面も目立つようになってきました。

 それは、「子供が音読を嫌がるので、どうしたら楽に音読を続けさせられるか」というような、音読の意義よりも音読の方法を目的にしたもので、親も子もただ苦労するだけの学習になっていったのです。そのようなやり方では当然大した効果はありません。

 そこで、言葉の森では、音読の意義をさらに徹底させるために、暗唱という学習に取り組むことにしました。

 まず、自分で暗唱をしてみる必要があるので、半年ほど毎日10分の暗唱に取り組みました。

 私はもともと記憶力というものに自信がなく、聞いたことはメモをとらなければどんどん忘れていきます。たぶん、記憶力テストのようなものがあれば、学校のクラスで下から1、2位を争うぐらいだと思っていました。だから、自分にできることなら誰にもできるだろうと思ったのです。

 暗唱の練習をしてしばらくすると、新しい発想が次々とわいてくるようになりました。

 暗唱の時期と前後して、構成図で文章を書く方法や、付箋をつけながら読書をする方法もやるようになっていたので、それらが暗唱と相乗効果を発揮したのかもしれません。何しろ、急にいろいろなことを思いつくようになってきたのです。

 私は、中学生のころから日記をつける習慣があり、大人になってからは、A4サイズのルーズリーフ用紙にナンバーリングでページを入れて日記をつけていました。日記といっても、その日にあった出来事などは書かず、思いついたことをメモのように書くものです。

 毎年、年末になってページ数を見ると、1000ページ弱というのがこれまでのペースでした。しかし、暗唱を始めるようになったときから日記の量が増え、今は年間2000ページ、1日に直すと約5ページ以上も、書く内容が頭からわきでてくるようになったのです。

 また、読書の量もかなり増えたという実感があります。これは冊数を数えていないのでデータの裏づけはありませんが、読むスピードが速くなった感じです。

 たぶん今、毎日の自習をしている生徒の皆さんは、似たような感覚を持っていると思います。物事の理解が早くなり、それに関連して発想が豊かになるという感覚です。つまり、暗唱を始めて半年ぐらいたつと頭が良くなってきたという実感がわいてくるのです。

 しかし、学校の成績というものはもっと直接的なもので、テストの前にどれだけ勉強したかということに左右されます。ですから、暗唱をして急に成績が上がったというようなことはあまりないと思います。

 成績は測定できますが、頭の良さというものは測定するものがないので、目だった結果はまだないかもしれません。しかし、日記の量や読書のスピードに見られるように、発想力や理解力は増大しています。それが、長い期間の中で成績にも反映してくると思います。

 では、なぜ暗唱をすると頭が良くなるのでしょうか、ということはまた明日。(つづく)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
暗唱(121) 
コメント171~180件
……前のコメント
あきえ
本日参加させて頂きたいです。 1/16
記事 4464番
中学生の子供の 森川林
 母親は真面目なので、小さなことでもきちんとやりたがります。 1/14
記事 4615番
子供の頭をよく 森川林
 読書と対話が、子供を成長させます。  しかし、くだらない 1/13
記事 4614番
作文自動採点ソ 森川林
あ君へ  人間には個性がある。  その個性を活かすことが 1/10
記事 89番
作文自動採点ソ
今、僕が重要な悩みを抱えているのは、誰でもあるかもしれないが 1/10
記事 89番
意見文の書き方 じゃばじ
参考になりました 1/7
記事 1093番
低学年の勉強習 森川林
 お返事遅くなって失礼しました。  思索的な深い会話をする 1/5
記事 4605番
作文の書き方— 森川林
 お返事遅くなってごめんね。 「私の頑張りたいことは3つあ 1/5
記事 532番
低学年の勉強習 匿名
思索的な深い会話とは、どのような会話をすればよいのか参考に教 1/3
記事 4605番
作文の書き方—
小6です。作文で、今年頑張りたいことについて描きたいんですけ 1/1
記事 532番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習