ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1094番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/29
作文試験の採点に、構成作文と森リンを生かす as/1094.html
森川林 2010/12/08 20:29 


 公立中高一貫校の入試でも、高校の入試でも、作文や小論文の試験を課すところが増えています。

 しかし、その作文試験は、評価の基準があいまいで、どこまで厳密に評価されているのかわかりにくいという面があります。

 学校によっては、複数の課題を出してそれを受験生に選択させて文章書かせるところもあります。予備知識の有無によって点数に有利不利の差が出ないようにするという点から考えると、合理的な選択方式のように見えますが、異なる課題の文章力をどのようにして統一的な基準で評価するのかという問題が残ります。

 作文の出来は、着眼点や発想によってかなり左右されます。しかし、発想は、そのときの偶然の思いつきで決まる要素もかなりあります。

 これは、例えば、徒競走で、「スタート地点からどの方向に走ってもいいから、いちばん速かった人が1位」というような競争をすることと似ています。文章は自由に書くことができる点で創造的ですが、しかし、文章力の試験は自由に書かせたのではかえって平等な評価はしにくくなります。



 そこで、私は、作文試験に、構成作文の方法を取り入れるといいのではないかと思っています。

 それは、あらかじめ、書き方の方向を指定して、その枠内で自由に書いていくという方法です。

 例えば、次のように、各段落の構成を指示して、その中に生徒が自分なりの実例や表現を入れながら書くという形です。

 作文の課題が、「自然の中で生きる私たち」などという題名だったとします。

====

■第一段落(150-200字)

 現在、自然は、……。(現在の状況を書く)
 例えば、……。(具体例を書く)
 私たちは、……べきである。(自分の意見を書く)

■第二段落(150-200字)

 そのための方法は二つある。(展開の仕方を決める)
 第一の方法は、……。(方法を書く)
 例えば、私の体験で……。(体験実例を書く)
 まるで……。(比喩を使って説明する)

■第三段落(150-200字)

 第二の方法は、……。(もう一つの方法を書く)
 例えば、過去の歴史を見ても、……。(歴史的な実例を書く)

■第四段落(150-200字)

 確かに、……。(反対意見に対する理解も書く)
 しかし、……。(冒頭の意見に戻る)
 例えば、……。(意見に合った具体例を書く)
 自然とは、……ではなく、……である。(自分なりの切れ味のよい表現を書く)

====

 このように構成をあらかじめ指示して書けば、生徒も書きやすくるし、採点する側も読みやすくなります。

 また、枠が決まっているので、その中身を見れば、書き手の実力が一目でわかります。

 発想だけに左右されないので、その生徒の実力が正しく評価できます

 また、構成的に文章を考えるという姿勢が身につきます。



 しかし、ここで問題になるのは、枠の中に、表面的にただ言葉をあてはめるような書き方をする生徒も出てくるということです。そうすると、実力の高い生徒の場合は、その実力の差がわかりにくくなってきます。

 そこで、文章の内容の充実度を、作文の自動採点ソフトの森リンで測定するようにします。

 しかし、森リンは、テキスト化された原稿でないと採点できないので、作文の1次試験はまず手書きで書くようにし、1次試験に合格した人に対して、2次試験では、その作文を自分でテキスト化して入力するようにします。

 将来は、もっと簡単にひらがなで文章を書き直してもらい、それをOCRで読み取り、IMEで漢字変換をするというようなテキスト化も可能になるかもしれません。

 森リンは、大体の文章が正常な漢字かなまじり文で書かれていれば、多少の誤変換があっても、全体の採点にはほとんど影響しません。

 将来の作文試験は、このように、大体の評価は構成作文で行い、上位の作文の評価は森リンで行うという形になっていくと思います。

 こういう形で作文の試験がしやすくなれば、学校教育の中でも、もっと文章の表現力を指導をする機会が増えてくると思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森リン(103) 受験作文小論文(89) 公立中高一貫校(63) 

記事 1093番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/29
意見文の書き方 as/1093.html
森川林 2010/12/07 16:40 


 中学生の生徒から、長文を読んでの意見文の書き方についての質問がありました。

 一つは、要約の仕方がよくわからないというもので、もう一つは実例に何を書いていいのかわからないというものでした。



 要約の仕方は簡単です。

1、長文を読みながら、よくわかったところ、面白いところに線を引く

2、その線を引いたところを中心に何度か繰り返し読む

3、そうすると、文章の全体像が頭に入るので、大事なところを三つ選ぶ

4、その三つの文をつなげてまとめれば150字程度の要約になる

という方法です

 よく、「最後の方に大事なことが書いてあるから、最後の結論を中心にまとめる」という要約の仕方をする人がいますが、それは、要点をまとめたことにはなりますが、要約とは少し違います。



 意見文の実例は、次のように考えます。

 まず、長文を読んで直接に実例を考えようとは思わないことです。そうすると、実例の範囲が狭くなってしまうので、かえって書けなくなるからです。

 多くの長文は、もともと説明文になっています。今回、質問があった長文の場合は、「ミミズが生態系の中で重要な役割を果たしている」という文章でした。その説明文から直接実例や似た例を探そうと思うと、実例はやはりミミズの話になってしまいます。そういう直接的な探し方ではなく、まずこの説明文を意見文化していことです。

 説明文のままでは、感想は書けないので、この説明文を意見文に変換して考えます。つまり、「○○である」という文書を、筆者の背後の考えにまでさかのぼって、「だから、○○べきだ」というような形にて変換して考えるのです。この場合は、「ミミズの役割を見直すべきだ」などとなるでしょう。

 「○○べきだ」というような意見が見つかれば、それに対する自分の意見も、賛成又は反対という形で自然に見つかります。

 ところで、筆者の意見が見つかったら、それを、「ミミズの役割を見直すべきだ」という狭い意見のまま考えるのではなく、より大きく一般化して考えることが大事です。例えば、「一見、小さくて役に立たないように見えるものにも重要な役割がある」というような形に広げて考えていくのです。

 次に、この一般化した意見を展開するための構成を考えます。

 文章の展開の仕方には、「理由を書く」「方法を書く」「原因を書く」「対策を書く」「単に実例を書く」など、さまざまな書き方があります。

 もし、理由を書くのであれば、「なぜなら、直接には役に立っているように見えないものでも、実は生態系の中で重要な役割を果たしていることがあるからだ」などというように書いていきます。

 この理由を考えたあとに、その理由の裏づけとなる実例を考えます。

 例えば、「山に生えている木も、二酸化炭素を吸収して酸素を出したり、山が崩れないようにつなぎとめたり、小動物の棲みかを提供したり、さまざまな役割を果たしている」というような例です。

 長文の実例に対して、直接同じような実例を考えるのではなく、長文の意見を一般化したものに対して実例を考えるというようにすると、幅広く実例を考えることができます。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

匿名 20121110  
おもしろいです

森川林 20121111  
ありがとう。ヽ(`◇´)/

トッピーくん 20150711  
よく分かった

yuri 20160817  
すごいです♪ ありがとうございます!

森川林 20160820  
はーい。

じゃばじゃば 20230107  
参考になりました

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 要約の仕方(0) 
コメント81~90件
……前のコメント
森川林
 塾が忙しくなると、これまでの習い事はいったんやめて、と考え 1/8
記事 番
森川林
 塾が忙しくなると、これまでの習い事はいったんやめて、と考え 1/8
記事 番
森川林
これまでの人生では、お金を儲けることとか、他人から評価される 1/7
記事 番
森川林
ブンブンどりむ、相変わらず。 齋藤孝さんも、有名だけど、ほ 1/6
記事 番
森川林
 勉強は、家庭で自分のペースでやっていれば十分なのですが、小 1/4
記事 番
「頭のいい人ほ 森川林
 語彙力をつける本などを読んでも語彙力はつきません。  大 1/1
記事 4900番
「英語を生かそ 森川林
 日本語における風の吹き方。 ====ChatGPT さ 12/23
記事 4893番
「英語を生かそ 森川林
 英語を過度に学ぶ必要はありませんが、他の言語を学ぶという意 12/23
記事 4893番
「会話の書き出 森川林
「パターン化された手紙の書き方をするな」と批判する人はいませ 12/16
記事 4886番
言葉の森がオン 森川林
工業製品に関しては国境がなくていいのですが、教育や文化に関し 12/11
記事 4881番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習