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表現力の基礎となる読解力を高めるための自習 as/1095.html
森川林 2010/12/09 11:58 



 国語力というと、普通、読解力と表現力と考えると思いますが、読解力で差がつくのは、レベルの低い間だけであって、ある程度のレベルまで達すると、もう読解力のテストでは差がつかなくなります。

 そのため、今の入試では、分量を多くして解くスピードを競わせたり、不必要な難問を解かせたりするという、昔の中国の科挙のような方向に向かっています。



 もちろん、実際に教室に来る生徒は、その読解力のレベルがまだ十分に高いとは言えない子も多いので、読解力を高める勉強をする必要はありますが、国語の勉強で本当に大事なのは、その子らしい創造的な思考や表現ができるかどうかということです。

 そこで、言葉の森では、作文を国語の勉強の中心的な目標にして、その作文力をつける土台として読解力をつけるという形で国語の勉強を考えています。その読解力をつける部分が自習になります。

 言葉の森は、どちらかというと、当初のスタートが、国語はできて当然、成績よりももっと別なものを目指す子供たち向けの勉強、と考えていたので、基礎的な自習内容の工夫が弱い面がありました。

 今後、できる子も、苦手な子も、両方同じように指導できるように、基礎の自習にセルフラーニング的な要素をもっと取り入れていきたいと思っています。



 でき太くんの算数クラブの教材の優れている点は、子供が自主的に勉強を進めていくためのセルフラーニングの理念が教材作りに反映されていることです。

 セルフラーニングという観点で考えると、言葉の森の教材は、まだ先生が工夫して教える要素が多いので、今後改良する余地がかなりあります。

 また、言葉の森の毎日の自習も、子供が自主的に進めるものではなく、毎日親が声をかけて続けるような内容ですので、これも今後改良する必要があると思っています。

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作文試験の採点に、構成作文と森リンを生かす as/1094.html
森川林 2010/12/08 20:29 


 公立中高一貫校の入試でも、高校の入試でも、作文や小論文の試験を課すところが増えています。

 しかし、その作文試験は、評価の基準があいまいで、どこまで厳密に評価されているのかわかりにくいという面があります。

 学校によっては、複数の課題を出してそれを受験生に選択させて文章書かせるところもあります。予備知識の有無によって点数に有利不利の差が出ないようにするという点から考えると、合理的な選択方式のように見えますが、異なる課題の文章力をどのようにして統一的な基準で評価するのかという問題が残ります。

 作文の出来は、着眼点や発想によってかなり左右されます。しかし、発想は、そのときの偶然の思いつきで決まる要素もかなりあります。

 これは、例えば、徒競走で、「スタート地点からどの方向に走ってもいいから、いちばん速かった人が1位」というような競争をすることと似ています。文章は自由に書くことができる点で創造的ですが、しかし、文章力の試験は自由に書かせたのではかえって平等な評価はしにくくなります。



 そこで、私は、作文試験に、構成作文の方法を取り入れるといいのではないかと思っています。

 それは、あらかじめ、書き方の方向を指定して、その枠内で自由に書いていくという方法です。

 例えば、次のように、各段落の構成を指示して、その中に生徒が自分なりの実例や表現を入れながら書くという形です。

 作文の課題が、「自然の中で生きる私たち」などという題名だったとします。

====

■第一段落(150-200字)

 現在、自然は、……。(現在の状況を書く)
 例えば、……。(具体例を書く)
 私たちは、……べきである。(自分の意見を書く)

■第二段落(150-200字)

 そのための方法は二つある。(展開の仕方を決める)
 第一の方法は、……。(方法を書く)
 例えば、私の体験で……。(体験実例を書く)
 まるで……。(比喩を使って説明する)

■第三段落(150-200字)

 第二の方法は、……。(もう一つの方法を書く)
 例えば、過去の歴史を見ても、……。(歴史的な実例を書く)

■第四段落(150-200字)

 確かに、……。(反対意見に対する理解も書く)
 しかし、……。(冒頭の意見に戻る)
 例えば、……。(意見に合った具体例を書く)
 自然とは、……ではなく、……である。(自分なりの切れ味のよい表現を書く)

====

 このように構成をあらかじめ指示して書けば、生徒も書きやすくるし、採点する側も読みやすくなります。

 また、枠が決まっているので、その中身を見れば、書き手の実力が一目でわかります。

 発想だけに左右されないので、その生徒の実力が正しく評価できます

 また、構成的に文章を考えるという姿勢が身につきます。



 しかし、ここで問題になるのは、枠の中に、表面的にただ言葉をあてはめるような書き方をする生徒も出てくるということです。そうすると、実力の高い生徒の場合は、その実力の差がわかりにくくなってきます。

 そこで、文章の内容の充実度を、作文の自動採点ソフトの森リンで測定するようにします。

 しかし、森リンは、テキスト化された原稿でないと採点できないので、作文の1次試験はまず手書きで書くようにし、1次試験に合格した人に対して、2次試験では、その作文を自分でテキスト化して入力するようにします。

 将来は、もっと簡単にひらがなで文章を書き直してもらい、それをOCRで読み取り、IMEで漢字変換をするというようなテキスト化も可能になるかもしれません。

 森リンは、大体の文章が正常な漢字かなまじり文で書かれていれば、多少の誤変換があっても、全体の採点にはほとんど影響しません。

 将来の作文試験は、このように、大体の評価は構成作文で行い、上位の作文の評価は森リンで行うという形になっていくと思います。

 こういう形で作文の試験がしやすくなれば、学校教育の中でも、もっと文章の表現力を指導をする機会が増えてくると思います。

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