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横書きの長文についての意見 as/111.html
森川林 2006/11/02 05:08 
 今学期から、長文集が横書きになったことについて、数件のご意見がありました。内容は、「横書きよりも縦書きの方が読みやすかった」というものです。
 縦書きの方が読みやすいというのは、私(森川林)も同じです。日本人は、縦書きの方が目が早く動くようになっているようです。これは、もちろんふだん接する文章に縦書きが多いからでしょう。
 では、なぜ長文集を横書きにしたかというと、それは「父母の広場」にも書きましたが、次の理由からです。
(1)縦書きは、普段の生活で十分に接している
(2)入試の作文小論文の課題では、横書きの課題文が多くなっている
(3)現在のインターネット技術で、縦書きルビふりを枠内に収めることは不可能
 いちばん大きいのは、(3)の技術的な問題ですが、考え方の土台として、縦書きか横書きかは好みの問題で、読みやすさはそれほど大きくは変わらないということをが今回の横書き化の前提となっています。つまり、縦書きか横書きかは、それほど大きな問題ではないという考えです。

 さて、ここで問題にしたいのは、縦書きがいいか横書きがいいかということではなく、そういうことにこだわる親の姿勢です。
 言葉の森の長文については、これまで、次のような苦情を受けてきました。
「縦書きと横書きが同じ課題フォルダの中に混ざっていて読みにくい」
「縦書きの長文の行間が狭いので読みにくい」
「長文の内容に興味がわかないので読みにくい」
「長文にふりがながふっていないので読みにくい」
「長文の字が小さくて読みにくい」
「長文が内容が難しくて読みにくい」
「長文の漢字が多くて読みにくい」
 そのとおりです。こういう批判は、技術的・時間的に可能なかぎり対応してきました。
 しかし、私が問題にしたいのは、このような苦情を言うお母さんが、自分の子供が長文を音読するときにいつもにこにこ、「よくできたね」と褒めているでしょうか、ということです。「長文が読みにくい」とわざわざこちらに言ってくるお母さんは、自分の子供が長文を音読しているときにも同じように、「どうしてもう少しすらすら読めないの」などと言っていると思います。
 つまり、問題は、読みにくい長文という外側にあるのではなく、そのお母さんの物事を見る姿勢という内側にあるのです。
 大変失礼な言い方になっていると思いますが、子供の教育を考えるときに、長文が読みやすいか読みにくいかということは枝葉末節のことです。肝心の幹となる部分は、親が子供のいいところを見て、明るく前向きに接しているかどうかということです。
 批判の多いお母さんの子供は、小学校中学年のころまでは素直にいい成績を取っています。しかし、高学年になるとだんだん親に反発し親の言うことを聞かなくなってきます。これは当然です。人間は短所を直して成長するのではなく長所を伸ばして成長するからです。
 そして、もっと大きい問題は、批判を受けて育った子供は、親に反発しながらも、やがて自分が大きくなったときに自然に周囲を批判するような大人になっていくということです。親や先生が教える勉強の中身は限りがあります。勉強の中身よりももっと大きく影響を与えるものは、子供が勉強を教わることを通して学ぶ、親や先生の生き方です。子供が幸福な人生を歩めるように教育をするのであれば、教える中身よりも教え方にこそ注意を向ける必要があります。
 いろいろなお母さんと接していて思うのは、欠点を見つけて悪いところを直そうとする方があまりにも多いということです。言葉の森の指導と運営に対する批判は大いに歓迎しますが、その際に、同じような批判を子供に対してもしていないかということをぜひふりかえっていただきたいと思います。

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月下花 20061109  
 初めての投稿です。言葉の森の受講者でもなく、長文の表示方法についてどちらが良いなどと意見できる立場ではないのですが、森川林先生の記事を読み、まさに私が今感じていることについて、ご指摘があったので思わずキーをたたいています。(ペンをとりました、と書きたいところですが・・・)
 私は3人の子供を持つ母です。PTA活動などを通じて、いろいろなお母さん方と接していますが、みなさんの関心が先生や学校に対する批判や苦情に集中しがちなことをとても残念に思っています。私たちの学校では、子供たちを親と教師がどう支え導いていけるかを模索する場として、トーク集会を時おり企画するのですが、普段先生や学校に言えない不満や疑問をぶつけ合うだけで終わってしまうことがよくあります。もちろん、我が子が1日の大半を過ごす場所ですから、心配や要望があることは私自身もよくわかります。ただ、マイナスの面ばかりに気をとられて、プラスの面を大事にし、さらにふくらませていくことになかなか目がいかないことは、本当にもったいないと思うのです。「**先生の宮沢賢治についての授業のこと、卒業して3年になる子供は今でも話題にしますよ。」、「**先生が今日教えてくださった昔の言い伝え、家に帰るとすぐ、私に教えてくれましたよ。私も知りませんでした。」私はこんなことも話したいのです。
 森川林先生のご指摘に、批判を受けて育った子供は大きくなったときにやはり周囲を批判する大人になる、とありました。これも本当にそのとおり、と思います。大人になるまでもなく、子供のころからも、友達の欠点ばかりに目がいくようになるのではないでしょうか。私達家族は、主人の仕事に伴い海外で生活した経験がありますが、海外で子供達がお世話になった学校では、まさに、良いところをどんどんほめる教育がされていました。そのおかげで子供達がどれほど自信をつけ伸びていったか、私はそれを目の当たりにしていますので、森川林先生のお話には心から共感します。自分の長所、頑張りを認められた子供達はまた友達の長所、頑張りを認めることができるのです。私の子供達も、友達からどれだけ「頑張ったね。」、「おめでとう。」の声をかけられたことでしょう。今日本の学校に欠けていることは、そういうことかもしれません。子供達が互いの良いところを認め合い、良い意味での競争でそれを高め合っていければ、これほどすばらしことはありません。そしてそれは、そんなに難しいことではないと思うのです。
 私達親はつい、子供の欠点に目が行きがちです。学校へ出す書類などによく、子供の長所、短所を記入する欄がありますが、私はこれにどうも抵抗があり、いつも「子供の性格」と書き直して記入しています。いわゆる長所がマイナスに、短所がプラスにはたらくこともありますし、短所といわれるものは必ずしも直さないといけないものとも思わないからです。
 長々とえらそうな事を書いてきましたが、我が家の現実はというと、子供への小言も日常的・・・なかなか理想どおりにはいきません。ただ、何事も悪い面に気をとられ、それにいつまでもひっかかっているのではなく、いいこと、楽しい事を見つけてどんどんやってみましょう、という姿勢で毎日を過ごしています。子供の勉強についても、よくできたところをほめ、もっと伸ばしていけるように手助けする、伸びていけない理由があるのなら、ちょっと立ち止まって一緒に考えてあげられる親をめざしています。小さな欠点にとらわれるより、よい面をどんどん大きくしていきましょう、森川林先生がおっしゃっているのはそういうことですよね。私も日々反省して前進します!
ちょうど同じような事を考えていたところに、この記事を目にしたので投稿しました。横書き長文についてのコメントではありませんが、読んで下さってありがとうございました。(このHPはとても面白いので時々拝見しています。)

森川林 20061111  
 貴重なご意見ありがとうございました。
 人間は、心地よいことよりも、心地悪いことの方に敏感なので、つい欠点を直すという方向に目が向きやすいのでしょうね。
 私のうちの子供も、子供時代にはそれなりにいい面を見て褒めて明るく育ててきたつもりですが、今考えると、もっと優しくしてやればよかったと思うこともあります。優しい親に育てられた子は、人生に対する幸福感を持てるようです。
 私の場合は、仕事が暇だったので^^;子供と接する時間がかなりありましたが、普通の家庭では、母親の役割が最も重要だと思います。
 礼儀やしつけについては厳しくてもいいと思いますが、勉強や成績については細かいことを言う必要はありません。勉強のことで、親も子も暗くなっている家庭があまりにも多いと思います。しかも、その場合の勉強というのは、ほとんどがテストの成績に現れた数値だけです。
 よく保護者から、「テストの成績が悪くて」などと相談を受けますが、その保護者が実際にそのテストの中身を把握していることはまずありません。実際に保護者が自分で解いてみれば、そんなに暗くならなくてもいいということがよくわかるはずです。親が見て子供がまともに育っていれば、他人につけられた点数など気にする必要はないと思います。

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国語の得意な子、苦手な子 as/110.html
森川林 2006/11/02 05:08 
 国語の得意な子と苦手な子を分けるものは、読み取る速さの違いです。あっけないほど簡単な話で拍子抜けすると思いますが、これが真実です。
 昔、小学6年生の子のお父さんが、「国語があまりできないんです」と、模試の答案を持ってきたことがありました。中身を見てみると、最初の方の問題はそれなりにできていますが、最後の方になると×が多くなっています。これは、最初の方に時間をかけすぎて、最後の方の時間がなくなってしまったためです。どうして、最初の方に時間をかけたかというと、読み取るスピードが遅かったからです。この子に、最後の方の×の問題を聞いてみると、時間をかければできていたことがわかります。結局、読み取るのに時間がかかっていたために、全体の点数が低くなっていたのです。
 入試問題には、こういうスタイルの問題がかなりあります。慶応義塾大学文学部の2003年度小論文の課題文の分量は、12,000字もありました。本で言うと約20ページ分です。これだけの量の課題文を読んで、1000字の小論文を書くのに、与えられた時間は全部で90分です。読むのが好きな生徒はばりばり読めますが、読むことに慣れていない生徒は、読むだけで息切れしてしまいます。
 では、この読み取る力はどのようにして育つのでしょうか。速く読む力ですから速読力と思うかもしれませんがそうではありません。速読の練習をすれば、練習をしないときよりも速く読むことができるようになります。しかし、それだけではすぐに限界が出てきます。大事なことは、読む力ではなく、読み取る力だからです。文章を読み取るというのは、ただ文字を読むことではありません。書かれている内容を理解するということです。では、どのようにして人は文章に書かれていることを理解するかというと、そこに書かれている内容を、自分のこれまでに持っている知識や体験と関連づけて理解していくのです。つまり、文章を読むということは、自分の知識体系の中に、その文章を位置づけていくということなのです。頭の中に、たくさんの引き出しがあり、その引き出しの中に、読んだ内容を次々に納めていきます。まだ引き出しの準備ができていないために、引き出しに入りきらないものは、仮に積んでおくしかありません。引き出しの豊富な人の頭の中は、何を読んでもきれいに整理されていきますが、引き出しの数が少ない人の頭の中は、読んだものがどんどん積まれていくだけです。
 ですから、初めてのジャンルの文章は、読むのに時間がかかります。また、読んでいるとすぐに眠くなってきます。試みに、経済学の勉強をしていない人が初めて経済学の本を読んだとします。ものの数分もたたないうちに眠気が襲ってくるはずです。プログラミングが初めての人が、プログラミングの本を読んだとします。どんなに易しく書かれている本であっても、これもすぐに眠気が襲ってきます。以上は、私自身の体験です(笑)。哲学の本ももちろんそうです。しかし、哲学の本を読みなれてくると、逆に、哲学の難解な言葉が出てくる文章を読むと、目がらんらんと輝くようになってきます。頭の中に引き出しがある文章は、読んでいて楽しいのです。
 中学生や高校生で国語の得意な生徒は、どんなに勉強が忙しくても、勉強の合間に本を読んでいます。受験期間中であっても、受験勉強で疲れた頭を休めるために好きな本を読むという休息の仕方をしています。サッカーの好きな子が、勉強で疲れた頭を休めるためにボールを蹴るとか、バスケットの好きな子が、勉強で疲れた頭を休めるためにボールをつくとかいうことと同じです。その子たちが、どうしてサッカーやバスケットをそれほど好きになったのでしょうか。たくさん練習したからです。読書も同じです。たくさん読むから好きになり、好きになったからますます読むようになっていったのです。
 小学校低学年のころによく本を読んでいた生徒が、勉強が忙しくなるにつれてだんだん読書から遠ざかるという傾向があります。これは、大人の責任です。勉強という目先の成果に追われて、読書という肝心の根を育てることを後回しにしてしまうからです。どんなに忙しいときでも読書の時間を確保するということが、大人の心がけねばならないことだと思います。

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要約の仕方 as/109.html
森川林 2006/11/02 03:34 
 文章の要約ができるのは、小学5年生ごろからです。小学4年生までは、物事を構成的に考える力がまだ十分に育っていないので、要約の練習をするには無理があります。しかし、小学5・6年生ごろの要約は、かなり長くなってしまうのが普通です。中学生になると、次第に楽に要約できるようになってきます。
 以下は、中学生や高校生の人が要約する場合の方法です。
 まず、対象となる文章を(1)すばやく最後まで読みながら、(2)線を引いていきます。
 (1)で大事なことは、じっくり読むのではなく、最後まで読むということです。文章は、全体像がわかって初めて細部がわかります。細部をきちんと読んで全体がわかるのではありません。これが文章を読みなれていない人の陥りがちな点ですからよく気をつけてください。特に、大学の入試問題のような種類の文章では、最後の数行を読んで初めて全体がわかるという仕組みになっているものがかなりあります。逆に最初の数行はだれが読んでもちんぷんかんぷんのようなことが書いてある場合があります。読みなれていない人は、この最初の数行でつまずいてしまうことが多いのです。
 (2)の線を引く箇所は、「大事そうなところ」「わかったところ」「おもしろいところ」です。しかし、ここで大事なことは、「大事そうなところ」を中心に線を引くのではなく、むしろ「わかったところ」「おもしろいところ」を中心に線を引くということです。というのは、最初に読んでいるときは、何が大事なのかよくわからないからです。文章の内容とはあまり関係がないかもしれないが、自分なりによくわかったところ、又は、自分なりにおもしろいと感じたところを中心に線を引いていきます。
 次に、線を引いたところだけを数回読み直します。線を引いたところというのは、文章全体の数パーセントですから、ざっと眺める感じですぐに数回読み直しできます。すると、不思議なことに、文章の全体像が頭に入ってくるのです。線を引いたのは、「わかったところ」「おもしろいところ」が中心です。しかし、その線を引いた箇所だけをとびとびに読んでいると、線を引いていない箇所も含めて全体のイメージがつかめてくるのです。
 ここで、今度は、本当に「大事なところ」に改めて線を引き直します。ここで要約の字数が問題になってきます。1文を約50字と計算すると、150字の要約では3文、200字の要約では4文です。150字に要約する問題でしたら、線を引きなおす「大事なところ」は3ヶ所ぐらいです。
 最後に、その「大事なところ」をつなげて文章にします。
 要約の問題は、実力がついてくると、すばやく書いてもじっくり書いても、点数にあまり差が出ません。要約を書くのに時間をかけるのはもったいないので、すばやく要約して、肝心の作文・小論文の方にじっくり時間をかけましょう。

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