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笑いのある対話と勉強を as/1121.html
森川林 2011/01/12 22:27 



 今、日本では、2、3歳で、言葉が出ない、表情が少ない、反応があまりないという子が増えているそうです。そういう子供たちが成長して学校に行くようになると、さまざまな形の学習障害を引き起こす可能性が高いと言われています。

 その原因ははっきりしていませんが、0-2歳でテレビ・ビデオの音声が長時間流れている環境にあることと大きな関係があるのではないかと疑われています。

 しかし、これらの子供たちも、2歳のころまでに、テレビを消して、親が語りかける時間を増やすと、多くの子が普通の正常な成長に戻るそうです。ところが、年齢が3歳になると治る可能性は五分五分になり、4歳以上になると治る可能性は低くなると言われています。

 乳幼児期は、人間の成長の土台を形成する時期です。この時期に、不自然な人工的環境に置かれることがいかに大きな問題になるかということがよくわかります。乳幼児がいる家庭では、テレビやビデオはヘッドホンで聞くというような配慮が必要です(本当はテレビなど家庭に置かないのがいちばんいいと思いますが)。また、CDなどの音声教材も、幼児期に利用することは避けた方が無難です。幼児期からの英語教育なども、かなり不自然な環境を子供に強いることになります。

 いちばんいいのは、人間の親と自然の音を中心とした日本語の環境で過ごすことです。

 ところで、この2歳で言葉が出ない、表情が少ない、反応がないという子を元に戻すときの親の対応のポイントは、子供に話しかけて子供を笑わせることなのだそうです。お母さんの話しかけることによって子供が笑うようになると、子供は劇的に改善するそうです。

 これは、乳幼児期に限らず、子育て全体に言えることのように思います。小学生の子供との家庭での対話も、親が子供をときどき笑わせるような形で進めていくと、子供の知力は発達します。勉強も同じです。笑いのある勉強が、子供の学力を高めていくのです。

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頭をよくする作文の勉強(その3) as/1120.html
森川林 2011/01/11 18:58 



 言葉の森の作文の勉強が、書く力だけでなく読む力をつけるというのは、暗唱という読む勉強があるということ以外にもさまざまな理由があります。

 例えば、感想文の課題が小学校3年生からあるというのもそうです。

 一般に、感想文がしっかりした内容で書けるのは、小学校5年生になってからです。5年生になると、物事を構成的に考える力がついてくるとともに、感想も単なる個人的な感想から、より大きくとらえた感想が書けるようになります。だから、感想文の指導は、小学校高学年になってから始めた方がいいのです。

 しかし、現実に、学校では小学校低学年から感想文の宿題を出すところがあります。夏休みの感想文にも、低学年の部があります。

 こういう状況で、子供たちが感想文の書き方に困らないように、言葉の森でも、小学校3年生から感想文の書き方の形を教えています。その感想文を書く際のもとになる文章は、1000字程度の長文です。この長文を読んで感想文を書くためには、長文を読んで自分なりに似た話を見つけることが重要になります。

 文章を読んで自分なりの似た話を見つけるというのが、文章の深い読み方につながります。

 ところで、子供は、似た話というのをなかなか見つけることができません。それは、ひとつには、似た話を見つけるという発想力を問うような勉強を普段していないからです。また、もうひとつには、子供自身が人生の経験が少ないので、似た話を自分の体験からなかなか見つけられないという事情もあります。

 ここで、登場するのが、お父さんやお母さんの似た例です。

 言葉の森では、子供たちの作文の題材を立体的にするために、自分の体験だけでなく、親に取材した話も書くように勧めています。感想文の場合は、特にこれが重要で、長文の似た例を親が話してあげると、感想文の内容がぐっと豊かになります。

 このように、似た例を通して文章を読む力がつくとともに、両親と対話をすることによって考える力がついてきます。子供の思考力は、大人との対話によってつくのです。

 思考力のある子は、作文を書いたときに、感想の部分を自分なりに詳しく書く傾向があります。逆に、思考力の乏しい子は、作文を書いたときの感想が、「楽しかった」「面白かった」のような単純なものになる傾向があります。

 作文を書く前の取材でお父さんやお母さんと対話をすることによってこの思考力をついてくるのです。(つづく)

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頭をよくする作文の勉強(その2) as/1119.html
森川林 2011/01/10 21:42 



 言葉の森の作文の勉強は、読む力と書く力を結びつけた形で行っています。

 そのひとつは、例えば、暗唱の自習です。この自習はオプション(無料)ですから、時間的に忙しい受験生などはしなくてももちろんかまいません。しかし、この自習にかかる時間は毎日10分程度ですから、できるだけ多くの人が行うように勧めています。

 暗唱といっても、ただ覚えさせるというやり方ではなく、手順をおって毎日やることを決めているので、そのとおりにやればだれでも例外なく長文の暗唱ができるようになります。

 文章を読む力書く力をつける上で最も大切なことは、同じ文章を繰り返し読むことです。現在、学校などでも音読の宿題を出すところが増えましたが、これらの音読の弱点は、繰り返し読む回数が不足していることです。ただ次々に新しい文章を声を出して読むだけでは、読む力はつきません。大事なのは、声を出して読むことではなく、繰り返し読むことなのです。

 この暗唱の練習をすることによって、読む力をつける以外の別の効果もあります。そのひとつは、親子の対話のきっかけが生まれることです。小学校1、2年生のころは、特に暗唱力が伸びる時期なので、子供は長い文章もすらすら暗唱します。その暗唱の長文をお父さんやお母さんが聞いて、その内容に合わせた話をしてあげるのです。

 親子の対話というと、普通は、学校のこと、友達のこと、勉強のことという身近なことしかありません。しかし、長文の暗唱をもとに話をすると、普段なかなかできないような知的な話題を親子で共有することができるようになります。このちょっと知的な話を日常的に行うことができるというのが、子供の考える力を大きく伸ばします。

 暗唱によって得られる成果のもうひとつは、子供の意欲を育てる教育を行うことができるということです。子供が成長していく中でいちばん大事なのは、物事に意欲的に取り組む力です。しかし、子供たちの中には、何でも自然にがんばる子と、何でもすぐにあきらめてしまう子の差があります。この差がどこから生まれてくるかというと、子供時代に、意欲を育てる生活習慣があったかどうかによるのです。

 意欲は、賞や罰によっては育ちません。ちょっと面倒なことを毎日欠かさずにやるという生活習慣があると、その習慣が意欲を育てます。

 昔の日本人は、今よりも勤勉な人が多かったと思います。それは、家庭の中で、毎日行う手伝いの習慣があったからです。寒い日も、眠い日も、毎日同じように玄関の掃除をしなければならないなどという生活をしていれば、自然に意欲の力は育ちます。

 しかし、現代では、そのように毎日のちょっとした苦労の機会はほとんどなくなってしまいました。多くの子供は、快適で気ままな生活を楽しんでいます。しかし、気の向いたときにはやるが、面倒だったらしなくてもよいという生活を送っていると、物事に意欲的に取り組む力が衰退していきます。

 この意欲を育てる生活習慣作りに、毎日10分の暗唱の練習を生かすことができるのです。(つづく)

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