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作文で創造力、構成力、表現力をつける―頭をよくする作文の勉強(その5) as/1123.html
森川林 2011/01/14 17:06 



 作文の勉強をして、どういう力がつくのでしょうか。

 これまで書いてきたことは、作文を勉強する前の読む力をつけるための勉強でした。音読や暗唱や読書や対話によって、理解力と思考力が育ちます。では、作文を書くことによって独自に育つ力とは何なのでしょうか。

 その一つは、発想力、創造力です。言葉の森の作文の勉強は、高学年になると、ほとんど感想文になります。感想文のもとになる長文を読み、そこから自分なりに身近な例を考える練習をします。

 この、似た例を考える練習というのは、数学のように正解がひとつになる勉強ではありません。ここで自分なりの考え方を作り出す力が必要になります。

 学校の勉強は、正解が一つに決まっているものがほとんどですが、社会生活では、正解が幾通りものあるのがむしろ普通です。自分の発想に自身を持ち、それを表現する力は、社会に出ればますます必要になってきます。これが、これから求められる学力なのです。

 作文の勉強をして身につくもうひとつの学力は、物事を構成的に考える力です。特に、言葉の森の高学年の作文は、全体の構成を先に考える形で勉強しています。このため、言葉の森の生徒の作文は、読みやすくわかりやすいと言われています。行き当たりばったりで考えながら書くのではなく、全体の見通しをつけてから書く練習をしているので、受験の作文にもそのまま対応できるようになっています。

 作文によって身につくもう一つの力は、平凡なように見えますが、書きなれるということです。特に、速く書く力や長く書く力というのは、スポーツと同じで練習を繰り返すことによって実力になっていきます。いくら、理解力や思考力や創造力があるといっても、それだけでは必要な長さの文章を必要な時間内に書くことはできません。やはり普段から書く練習をすることによって、いつでも苦もなく長い字数の文章をすばやく書くことができるようになるのです。

 また、言葉の森では、森リンという自動採点ソフトによってパソコン入力の作文を採点するようにしています。この森リンの点数を目標とすることによって、語彙を工夫した作文を書く力が育ちます。語彙力の土台となるものは読書ですが、その語彙力を生かすには、その語彙を自分で実際に作文に使ってみることです。作文に書くことによって、自分の語彙をもっと豊かにしようという意識が育っていくのです。(おわり)

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毎日の自習で力をつける―頭をよくする作文の勉強(その4) as/1122.html
森川林 2011/01/13 18:24 



 言葉の森の毎日の自習には、暗唱のほかに、読書や問題集読書があります。これらは、いずれも本人が希望して取り組むことにしていますから、時間的に忙しくてできないという場合は、自習をしなくてもかまいません。毎週しっかり作文を書くというだけでもいいのです。

 実際、受験の1年前になると、子供たちには読書をする時間的余裕がなかなかとれなくなります。しかし、本当に本の好きな子は、そういうときでも空き時間を見つけては本を読みます。読書の量は大幅に少なくなりますが、読書をすることが自分の精神生活にとって欠かせないものになっているのです。こういう子は、受験のあとも確実に伸びる子です。ですから、読書については、本人の希望にかかわらずできるだけ続けるように言っています。

 問題集読書というのは、言葉の森で独自に行っている文章の読み方です。小学校高学年になると、その学年にふさわしい本がなかなか手に入らなくなります。それでも、物語文の本はそれなりに書店などにありますが、高学年の生徒が読んで知的な面白さを感じるような説明文の本が書店にはまずありません。中学生や高校生になると、岩波ジュニア新書のようなシリーズで説明的な文章に触れる機会も増えてきますが、それでも小学校高学年、中高生が読める説明文の本はかなり不足しています。

 ところが、入試問題集の文章には、この面白い説明文がかなりあります。出典となっている文章は、もともと大人向けに書かれたものが多いので、子供が普段の生活で本として読むような機会はまずありません。しかし、その本の中で、子供にも理解できる部分が問題文になっているので、問題文の文章自体がひとつのエッセイのようなものとして読めるのです。

 また、入試問題ですから、バランスを考えて、説明文と物語文が同じぐらいの割合で載っています。問題集で物語の一部を読むことは、本を一冊を読み終えたときに感じる読後感がないという点で読書の代用にはなりません。だから、読書は読書で独自に行っていく必要があります。しかし、問題集で読む物語の一部は、いわばその物語のクライマックスになっていることが多いので、感情の動きなどをかなり深く感じ取ることができるのです。

 この問題集読書で大事なことは、やはり繰り返し読むことです。全国の入試問題ですから、全体のページ数はかなりあります。それを1年間かけて毎日4-6ページずつ読んでいくという読み方ですから、毎日気長に読んでいけば、年間を通して1冊の問題集を3、4回繰り返して読むことができます。この繰り返しの回数が、読む力をつけるには重要なのです。

 言葉の森では、ただ読むだけではあとに残らないので、読んだ文章をもとに四行詩を書くようにしています。深く読んでいる子は、やはりいい四行詩を書いてきます。しかし、大事なのは、まず文章を読むことです。書くことは、その結果ですから、時間がないときは、読むだけでも十分です。この問題集読書を続けていると、文章を読む力が必ずついてきます。(つづく)

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