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記事 117番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2025/1/1
受験直前の作文小論文 as/117.html
森川林 2007/01/23 09:42 
 今回は、受験直前の取り組みの説明です。
 まず、作文小論文の試験では、どういう課題が出るかわかりません。ここがいちばん不安なところです。この不安をなくすには、次のように考えることが大切です。「運がよければ、いい課題が出るだろう(笑)」。
 書きやすい課題が出れば自分の普段の心がけがよかったからだと考えます。しかし、書きにくい課題が出たときは、「こんなに書きにくいのだから、ほかの人もみんな苦労しているだろう。だから自分は自分のベストを尽くせばいいのだ。ラッキー」と思えばいいのです。
 さて、直前までの勉強の中心は、これまでに書いた自分の文章です。どんな参考書よりも自分の書いた文章がいちばんの財産です。書いたものを何度も読み直し、自分なりによく書けているところに赤ペンで線を引いていきます。それを試験の直前まで続けていってください。よく書けているところとは、切れ味のいい表現、感動のあるエピソード、味のある会話などのあるところです。
 試験の当日には、自分の書いた文章のファイルと1冊の本を持って出かけます。本は、空いている時間などに読みましょう。小説よりもノンフィクションの方がいいでしょうが、自分の好きなものでかまいません。これは、面接のときも同じです。何気なく手に持っていった本が、作文試験や面接のときに意外と使えることがあるります。
 試験の会場でも、時間があれば、これまで自分が書いた文章のいいところだけを読んでおきましょう。
 試験が始まったら、課題を見て、これまでに書いた文章の使えそうなところを簡単にメモします。作文に、その使えそうなところが三つも入れば大成功です。もちろん、使えそうなところが何もなくても大丈夫です。これまでに書いたものが頭に入っているので、書いている間に自然に続きが出てきます。
 書いたあとは、もちろん読み返し。1、2文字の訂正なら消しゴムで、それ以上の長い訂正は消しゴムを使うと汚くなるのでなるべく訂正をしないように工夫していきましょう。原則として消しゴムは使わないつもりで書いていきます。これは普段の練習のときも同じです。
 試験までにまだ時間があり、もう少し書く練習をしたいという場合は、自分がこれまでに書いたものと同じテーマで同じ内容を時間内に書く練習をしていってください。新しい課題に取り組む必要はありません。書く時間が取れないときは、頭の中で構成を考えるだけでも練習になります。
 それでは、試験まで、これまでに書いたものを何度も読み返してがんばってください。

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合否の先にあるもの as/116.html
森川林 2007/01/15 20:00 
 今、受験に取り組んでいる人は、目の前の試験で頭が一杯だと思います。しかし、当たり前のようですが、親は、合否の先にあるものを見ておく必要があります。
 受験が過酷であればあるほど、親はつい、「合格さえすれば、あとはどれだけ遊んだっていいんだから」というような励まし方をしてしまいます。しかし、たとえ言葉の上でであっても、こういう発想をしてしまうと、子供はそれを真に受けてしまいます。
 受験は、確かに人生の一大イベントですが、この先に、将来社会に出て活躍するというもっと大きなイベントが待っています。いい学校に合格するかどうかということは、登山口に差しかかったというところで、まだ本格的な登山はこれからです。
 親が長期的な視野でものごとをとらえて、折に触れてそういうことを話していれば、子供も自然にそういう長期的な視野を身につけます。
 先のことは合格してから考えればいいという人は、人間の心理の仕組みをよくわかっていません。貝原益軒は、「予め」ということを教育論の骨子にしていました。まだものごとが差し迫った課題になるずっと前から、予めそのものごとについての捉え方を考えておくと、実際にそのものごとが生じたときに、スムーズに対処していくことができるのです。
 例えば、禁煙教育などは、子供が中学生や高校生になってから始めても手遅れです。子供が遊び半分でタバコを吸い出したころに禁煙教育を始めても効果がないのです。タバコなどに全く縁のない小学生のうちに「予め」しておく必要があります。合格も同じです。合格後のことは、合格する前に考えておくか、少なくとも合格してすぐに考えることが大事です。
 子供は、よく冗談で、「合格したら、たっぷり遊ぶぞ」と言います。親も、微笑ましくうなずきます。しかし、実際に、たっぷり遊ぶのは二、三日もあれば十分です。それ以上、何週間も遊んでいると、だんだん精神が堕落してきます。遊ぶ喜びよりも、もっと深いものは、自分を向上させる喜びです。
 親は、いつも一歩先を見て行動しておく必要があります。それが、子供よりも年をとっている親の責任になると思います。

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創造性を育てる作文 as/115.html
森川林 2007/01/09 12:15 
 新年にあたって、勉強の方向を考えるために、今回はちょっと難しく作文の意義について書いてみます。
 書くことは、最初はただ自分の現実を表すことにすぎません。「今日の朝ごはんは納豆と玉子焼きでした」というような文です。
 しかし、多くの経験を積み、多くの本を読むことによって、自分の現実そのものが次第に豊かになってきます。また、自分の使える言葉も、次第に豊かになってきます。
 書くことと現実の間には、もともと小さな隙間があります。それは、作文は現実の一部分しか表すことができないからです。朝ごはんの納豆にはカラシやしょうゆもついていたはずです。しかし、その調子で細かく書いていくときりがありません。
 しかし、現実と表現の両方が豊かになるにつれて、やがて、作文と現実の間に新しい隙間ができてきます。それは、書くことによって、まだ現れていない現実を明らかにするような意味での隙間です。このとき、書くことは、現実を表すことから一歩進んで本質を表すことにつながっていきます。
 作文が創造的であるというのは、このような意味です。それは、表現の創造であるとともに、あるべき未来の創造でもあります。豊かな創造を生み出すためには、経験や読書という自分の現実そのものも豊かにしていく必要があります。その上で、書くことを通して、自分の現実をより一層豊かにする方向を見つけていくのです。
 今年も、大きな展望を持って言葉の森の勉強をがんばっていきましょう。

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