ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1247番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
作文の勉強における意欲 as/1247.html
森川林 2011/04/26 19:45 



 日本における作文教室の現状を見ると、満足できるところはほとんどないと言ってもいいと思います。

 なぜ現在の作文教室のほとんどがダメなのかというと、ひとつは指導する方法が確立していないからです。もうひとつは、評価する方法がやはり確立していないからです。



 まず第一は、指導する方法ですが、作文は書く学習を重ねるだけでは上達しません。作文の力をつけるためには、その前提となる読む力をつけていく必要があります。

 言葉の森では、読む力をつけるための学習として、長文暗唱、問題集読書などを取り入れています。これは、徹底させることが難しいので、子供によっては作文の勉強が負担になるというひとつの要因にもなっています。しかし、何とか時間の都合をつけてこの自習に毎日取り組んでいる生徒は、確実に力をつけています。今のところ、作文力を確実につけるには、この自習の方法しかないのではないかと思っています。



 読む力がつかないまま書く学習に力を入れようとすると、書きやすい練習を優先させることになります。穴埋め方式の作文や、短文だけの作文や、物語の続きを書かせたり、四コマ漫画を見せて書かせたり、というのは、子供の意欲を引き出す工夫にはなっていますが、実力をつける工夫にはなっていません。

 実力をつけるには、その学年に応じた歯ごたえのある課題の作文や感想文で練習する必要があります。しかし、その練習は、読む力の進歩に応じてしかできないのです。



 第二に、評価する方法ですが、作文にはひとつの解答というものがありません。だから、個々の作文を人間が読んで、その読んだ人の判断で評価することになります。ところが、こういう評価は、子供たちにとっては、賽(さい)の河原の石積みのように、先に進むあてのない感じがするものなのです。



 ひとつの解答があり、そこにいかに近づいたかという評価であれば、いい評価であれ悪い評価であれ自分なりの達成感がありますが、人間が主観的的に判断して下す評価はそのような確実性が感じられません。そこで、ほとんどの教室では、解答のかわりにコンクールや優秀作品の選定ということを行います。

 しかし、このようなコンクールは、選ばれた子だけがうれしいもので、選ばれなかった子はその優秀作品を目標にしてがんばろうとは思わないものです。また、賞に選ばれた子であっても、なぜ選ばれたかがわからないので、次の努力や向上に結びつける手立てがありません。



 小学校低中学年のころは、表記ミスの指導も多いので、人間による評価でも客観的な採点ができますが、子供たちが小学校高学年になり、中学生、高校生になると、もう表記のミスはほとんどなくなります。

 そこで、高学年の評価の中心になってくるのが、多様な語彙でいかに論理的な文章を書いたかという、森リン(自動採点ソフト)による文章力の評価になります。言葉の森の学習が、中高生になっても充実して続けられるのは、人間の評価に加えてこの評価の方法があるからです。



 以上のように、指導と評価の両方の面における方法論の不在が、現在の作文教室のほとんどに見られます。しかし、言葉の森の指導にも、もちろん多くの弱点があります。それでも、今のところは、言葉の森でできていないことは、他の教室でもやはりできていないという段階だと思います。



 言葉の森で、今何が最も不十分かというと、それは子供たちの意欲を確実に引き出す指導です。しかし、私たちは、賞や罰の外面的なもので子供たちの勉強の意欲づけをしようとは思いません。もっと意欲というものの本質を考えた取り組みをしたいと思っています。



 勉強の意欲付けということで参考になるのは、セルフラーニングで子供たちの勉強の意欲化に成功している算数教室の「でき太くん」の取り組みです。



 次回は、でき太くんの勉強法と言葉の森の勉強法を比較しながら、言葉の森が、作文の学習における意欲というものを今後どのように育てていこうと考えているかを書こうと思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
言葉の森の特徴(83) 

記事 1246番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
3月の森リン大賞に学年のずれがありました(生徒父母連絡) as/1246.html
森川林 2011/04/25 13:53 
 3月の森リン大賞を、4.4週の「山のたより」で発表しましたが、掲載されている森リン大賞の学年が1学年前のものではなく2学年前のものになっていました。そのため、点数が高いのに森リン大賞ベストテンに入っていなかった人がいると思います。
 ちょうど3月から4月にかけての学年のかわりめだったので、プログラム上のミスがあったようです。「学年がかわるから1学年前にしないと」と思って、かえって間違えたのだと思います。ミスをしたのは私(森川林)です。(^^ゞ
 どうも申し訳ありませんでした。
 3月の森リン大賞は、改めて「山のたより」に掲載します。急いで見たいという方は、「森リンの丘」のページでごらんください。
https://www.mori7.net/oka/moririn_seisyo.php

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
生徒父母連絡(78) 
コメント11~20件
……前のコメント
総合学力クラス 森川林
子供は、暇そうにしているのがいちばんです。 年がら年中がん 6/22
記事 5107番
さまざまな勉強 森川林
勉強は、作文と読書と算数数学と歴史を中心にやることです。 6/21
記事 5106番
作文力がこれか 森川林
作文力をつけるために必要なのは読書と対話。 出力の前に入力 6/19
記事 5105番
作文を書くとき 森川林
 接続語と助動詞は、実は重要です。  中学生や高校生で、文 6/18
記事 5104番
国語は、読む力 森川林
国語の力をつけるための音読は、1冊の問題集を繰り返し読むのが 6/16
記事 5103番
国語力は、テク 森川林
国語力をテクニックで身につけようという考えそのものがあさはか 6/14
記事 5100番
本当の勉強は、 森川林
子供は、自然に成長していれば、みんな時期が来ればそれぞれにが 6/12
記事 5098番
これから大学生 森川林
MMさん、ありがとうございます。 これは、10年以上前の記 6/12
記事 820番
これから大学生 MM
先生の書かれていることは今読んでもそのまま通じます。 10 6/11
記事 820番
毎週作文を書く 森川林
作文の勉強というのは、負担の大きい勉強です。 だからこそ、 6/11
記事 5097番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習