ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1272番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
受験作文小論文コースの作文の書き方 as/1272.html
森川林 2011/05/16 16:52 



 言葉の森では、作文小論文試験の5か月前から受験コースの作文課題を選択できるようにしています。中学受験、高校受験、大学受験とも同じです。ただし、受験コースは、定員があるので、現在在籍している生徒が優先です。

 受験コースは、志望校の過去問に合わせた問題で練習する形の作文指導で、指導の内容も、普段よりも少し難しくなります。例えば、通常の課題では、時間制限や字数制限などあまり厳しくは言いませんが、受験コースでは時間と字数は評価の重点になります。

 しかし、普段の作文の課題が普通にできていれば、受験コースの課題も同じようにできます。難度自体には、普段の課題も受験コースの課題も大きな差はありません。



 言葉の森の作文の課題は、通常の課題も受験コースの課題も、かなり難しいので、ヒントなしに書くことはなかなかできません。

 しかし、ヒントを見て書ける生徒は実力がある生徒ですから、ヒントのとおりに書ければ合格する力があると考えていいのです。ヒント以上の自分のオリジナルな内容を盛り込むことまでは要求しません。



 時間制限は、最初のうちは守ることができません。学校によっては、大人でも書けないようなスピードを要求するところもあります。それは、そのスピードと字数によって点数の差をつけることが目的ですから、まともに書けなくても心配することはありません。

 最初は、目標の字数まで埋めることを優先し、時間についてはどのぐらいかかったか記録だけしておきます。試験の1、2か月前になったら、時間制限の範囲で書くようにします。

 速く書くコツは、(1)途中で考えない、(2)途中で読み返さない、(3)途中で書き直さない、です。普段の練習でも、できるだけ消しゴムは使わずに、先へ先へと文章を進めるように書いていきます。

 そのためには、書きだす前に簡単に構成メモを書いておく必要があります。最初に構成メモを数行書いておき、作文を書き始めてから途中でどう書き進めていいかわからなくなったときに、構成メモを見直して書き続けるという形で書いていきます。

 文章は、最初と最後の大きな枠組みが合っていれば、途中の過程の筋道は、読み手にはあまり印象に残らないものです。細かいところでつじつまを合わせようとするよりも、大きな流れができていればよいと考えて書いていきます。



 作文を採点する試験官は、何編も同じような文章を見て頭が疲労しています。そのときに、構成のわかりやすい文章を見ると、ほっと安心します。構成のわかりやすい文章とは、結論が最初にある文章、構成を予測させる言葉のある文章、段落ごとの長さが同じぐらいで見た目のバランスがとれた文章です。

 例えば、「私は、……と思う。その理由は……」などと書いてあるのは、結論が先にあるので読みやすい文章です。逆に、「……は……である。だから……と思う。」となっているのは結論があとにあるので、読みにくい文章ということになります。

 構成を予測させる言葉とは、「……その方法は、三つある。第一に……」というような、「方法」「理由」「原因」「○つある」「第一に」「第二に」などの言葉です。自分が何を書こうとしているかを、早めに理解してもらうように書いていくのが、読みやすい文章を書くコツです。



 受験コースの練習の仕上げの時期になると、表現をもうひとひねり工夫する練習をしますが、ここであまり難しく考えると自信をなくしてしまいます。時間内に、必要な字数まで書ければ、とりあえず合格圏内には入っていると思っていればいいのです。

 言葉の森で作文の勉強をすると、構成のしっかりした文章を書くことができます。これは、受験に限らず将来どのような文章を書くときにも役に立ちます。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
受験作文小論文(89) 

記事 1271番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
facebook(フェイスブック)と日本語のコンテンツ―もうすぐ来る日本語の時代 as/1271.html
森川林 2011/05/14 21:50 


 2007年2月の調査で、世界中のブログで使われている言語のうち日本語が37パーセントで、英語の36パーセントよりも多いという結果が出ていました。

 その後、ブログの言語別人口で同じような調査が行われていないのは、日本語の割合が更に増えているだけなので、調査に興味がなくなったためだと思われます。



 twitter(ツイッター)でも同じような調査が行われ、2010年2月の時点で、日本語が14パーセント、英語が50パーセントという結果が出ていました。しかし、2010年1月の時点で、世界のツイッターユーザーに占める日本人の割合は1パーセントわずかに上回る程度でしたから、おおまかに言うと、日本語は、英語など他の言語に比べて14倍も情報発信力があるということだと思います。



 facebook(フェイスブック)では、まだ日本人の割合が少ないし、同様の調査がないようなので、どうなるかはわかりませんが、私はたぶん、ブログやツイッター以上に日本語の占める割合が大きくなるのではないかと思っています。その理由は、ブログの利用は、自分で何かの情報を発信したいという人に限られていただけですし、ツイッターの利用は、ある程度時間の余裕のある人に限られていたと思いますが、facebook(フェイスブック)は多くの人にとって日常生活に必要なプラットフォーム(土台)になっていくと思われるからです。



 なぜ日本語にこういう情報発信適性のようなものがあるかというと、ひとつには、日本語が英語など他の言語と比べると、1文字あたりに盛り込める情報量が多いからです。ツイッターの利用者の中に、日本語と英語で同じ内容を別々にツイートしている人がいます。日本語は日本人の知人向け、英語は英語圏の知人向けと使い分けているようです。その日本語と英語の140字以内の文章を見ると(ツイッターの文字制限は140字)、ざっと見て、英語では日本語の半分の内容しか盛り込めていません。つまり、日本語を使えば140字の内容が書けることを、英語を使うと日本語の70字ぐらいの内容のものしか書けないということです。

 もし、日本語のツイッターが70字という文字数制限になったとしたら、利用の度合いはもっと減るでしょう。70文字だと、何かを論じるというよりも、文字どおり「つぶやく」とか「さえずる」とかいう程度のことしかできなくなるからです。

 しかし、70字という文字数制限であったとしても、日本には31文字の和歌の文化がありますから、日本人は意外にもその文字数に適応してしまうかもしれません。文字の持つ情報量の面だけでなく、どうやら文化の面からも日本語は情報発信適性があるようなのです。



 facebook(フェイスブック)で、先日、会員数が多いと言われるコカコーラの会員になってみました。すると、コカコーラのfacebook(フェイスブック)ページから、ときどき宣伝用の投稿が入ってきます。そして、その投稿のコメントが世界中から瞬く間に1000件ぐらい入ります。

 私もコカコーラの投稿記事にコメントを書いてきましたが、日本語で書いてある投稿はほかになく、すべて英語など欧米の言語によるコメントでした。しかし、それらのコメントの内容は大部分が、叫び声のような感じを受けたのです。日本人が普通コメントという言葉で連想するような味のある内容はあまりありませんでした。しかし、それも、文字の持つ情報力が日本語の2分の1だと考えると、納得できるような気がします。



 インターネットというインフラは、アメリカが中心になって世界中に広がりました。アメリカは、このほかにも、民主主義の政治体制と市場主義という経済体制を世界中に広げることを自分の使命としていたようです。私は、このアメリカの役割を、織田信長の天下布武と同じような性格を持つものだと思いました。天下に共通のレールを敷く、そのために、抵抗する既存の旧勢力は有無を言わさず排除していく、そういう役割だと思ったのです。



 では、アメリカが世界中に共通のインフラというレールを敷き終えたあと、そのレールの上を走るものは何なのでしょうか。そのレールの上を走る中身こそ、文化というコンテンツで、その文化を運ぶ列車にあたるものが言語です。

 こう考えると、日本語の持つ情報発信力は、同時に文化発信力でもあると言えるのです。



 言葉の森のfacebook(フェイスブック)ページの中で、今、毎日、作文の勉強会を開いています。(これは、だれでも自由に参加できます。facebook(フェイスブック)で「教育の丘コミュ」というグループを検索して参加ボタンを押してください)

 作文の勉強会と言っても、ちょっとした言葉遊びのようなもので、比喩の練習とか、名言の練習とかいうものを、半分以上お笑いネタでやりとりしていくものです。

 私は、この言葉遊びをしながら、わずか数語か十数語で読み手をうならせるような味のあることが書ける文化というものは、日本以外にはほとんどないのではないかと思いました。



 facebook(フェイスブック)の利用者に日本人が増えてくると、こういう文化のコンテンツがますます広がっていきます。facebook(フェイスブック)における日本語の占める割合は、ブログやツイッター以上のものになるでしょう。

 世界中に流れる情報のかなりの部分(たぶん英語と匹敵するぐらいの部分)が日本語になり、しかも、その日本語の情報の中身が単なる伝達や連絡のようなものだけではなく、文化的な創造を伴ったものだということになると、どうなるでしょうか。

 まず、世界中のエリートから、「これからは、子供に日本語を学ばせておかないと、世界の新しい文化に乗りおくれることになる」という意識が生まれてくると思います。ビジネスにおける打ち合わせは、世界共通の英語で行うとしても、文化的な創造を伴うものは、日本語を学んでいないと遅れをとるということが次第に世界中の知識人の共通認識となっていくのです。



 しかし、それは同時に日本語の危機になる可能性もあるのです。

 先にも書いたように、アメリカの文化は、標準化の文化です。アメリカ文化が生んだ自動車、コンピュータ、インターネットなどは、いずれも入れ物や通路というインフラでした。また、コカコーラ、マクドナルド、ケンタッキーフライドチキンなども、その本質は売られている商品の中身というよりも、売り方のシステムでした。つまり、アメリカの文化は、大量生産化、ブランド化、フランチャイズ化、マニュアル化というビジネスモデルや方法の文化だったのです。

 この標準化が、言語に関しても行われるようになると、日本語は情報発信性のある言語だから世界中の人がもっと使いやすいように標準化しようという動きが出てくる可能性があります。例えば、日本語50音表のうち、タチツテトの部分は、タティトゥテトとツァチツツェツォに分けた方が合理性があるとか、ワ行は新たにワウィウゥウェヲという言葉にしようとかいう案です。

 この標準化の圧力に対して、言語の持つ文化性を保つ力はどこにあるかというと、文化性を主張する中にあるのではありません。標準化の主張と文化性の主張が対立して議論した場合、その議論そのものがすでに標準化の発想の枠内にあるからです。



 文化性は、言語の持つ芸術性の中にあります。日本には、万葉集や古今和歌集などに見られるような大衆的な言語芸術の伝統があります。

 しかし、現代日本語には、まだそのような大衆性のある芸術は生まれていません。

 日本語が世界言語となる時代に大事なことは、日本人が現代日本語による新しい大衆性のある芸術を作り出していくことなのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

touko 20170310 77 
日本語(日本人)情報発信力は、すごいですね!

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
インターネット(25) 
コメント31~40件
……前のコメント
優しい母が減っ 森川林
 娘さんの友達から怖がられているというお母さん、コメントあり 5/8
記事 979番
優しい母が減っ 娘の友達
娘は中3。私は自称甘い母親です。世の中の厳しい先輩ママたちか 5/7
記事 979番
学習グラフのペ 森川林
言葉の森の今後の方針は、デジタルなデータをアナログで送信する 5/6
記事 5058番
森リンベストの 森川林
じすけ君、ありがとう。 統合失調症のような、また似たような 4/21
記事 4657番
森リンベストの じすけ
こわばんは 今日は元気一杯、体験発表をさせて頂きます。 4/20
記事 4657番
国語読解問題の 森川林
 あるとき、高3の元生徒から、「国語の成績が悪いのでどうした 3/28
記事 5034番
今日は読書3冊 森川林
苫米地さんの「日本転生」は必読書。 3/25
記事 5030番
共感力とは何か 森川林
言葉の森のライバルというのはない。 森林プロジェクトで 3/23
記事 5028番
3月保護者懇談 森川林
 いろいろ盛りだくさんの内容ですが、いちばんのポイントは、中 3/22
記事 5027番
中学生、高校生 森川林
 意見文の書き方で、もうひとつあった。  それは、複数の意 3/14
記事 5018番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習