言葉の森のfacebookページに、「読書感想文」のグループがあります。感想文で困ったら、このページにおいでください。
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中学3年生の人から、人権作文という宿題の相談があった。
人権なんていう話題でどうして書かせるんだろうね(笑)。
中学生は、もっと自分の人生に切実な問題があるはず。それを自由に書いた方がずっといい勉強になる。
しかし、アドバイスをしておいた。
戦争や差別の話も確かに大きなテーマだけど、やはり自分の生活の中にある人権的な問題を考えていく方が自分らしさが出る。
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読書感想文というおおまかなくくりで宿題を出すので、ほとんどの子は、
1、ただあらすじを延々と書くか、
2、思ったことだけを繰り返し書くか、
というパターンになり、うまく書けないし、本人も書いていて面白くない、ということになります。
読書感想文を、いくつかの小さな勉強に分けることが、感想文を書きやすくするコツです。
例えば、
1、最初に要約を書く(ただし、これは中学生以上。小学生は要約がまだできないから)。
2、面白かったところを3つ選ぶ。
3、その1番目の面白かったところをもとに、自分の似た話を考える。(これが大事)
4、2番目、3番目も同様にする。
5、両親にその話を説明して、似た話を更にふくらませる。(これも大事)
6、1日で一挙に書こうとは思わずに、3-4日間の勉強とする。(これも大事)
7、1日目は、最初の1番目の話で400字だけ書く。(これなら1時間もかからない)
8、以下、2日目、3日目も同じように書く。(中高生であれば、1日で全部書いてもかまわない)
9、下書きはできるだけパソコンで書くようにすると修正しやすい。(小5以上はパソコンをフルに使うようにする)
10、ただし、清書と、書く前の構成メモは手書き。
以上のような書き方なら、小学生でも全く抵抗なく書くことができます。
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昔、言葉の森の生徒を対象に、夏休みに特別講座として読書感想文の指導を連続3日か4日しました。
おおまかな流れを説明して、それに合わせて子供が自分で似た話を考えて書いていくという、いつもの言葉の森の指導と同じようなパターン。
しかし、結びの部分は、子供の力ではなかなか書けません。特に小4以下の子は、学力的には優秀であっても、全体をまとめた感想を書くということがまだ年齢的に難しいようでした。
仕方ないので、「こんなふうにも書けるし、あんなふうにも書けるし」といくつか候補を説明しました。
9月に入って、その読書感想文講座で感想文を書かせた子供たちから、続々と、クラスや学校の代表作品に選ばれたという報告を聞き、かえって焦りました(笑)。
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読書感想文というわけのわからない宿題に、どう対処するか(笑)。
いちばんいいのは、そんな宿題は、出さないこと。
しかし、そういうわけにもいかない場合は、どうするか。
1、低学年なら、お母さんが書いてあげる。又は、全面的にアドバイスしてあげる。
2、小学校中学年から中学2年生ぐらいまでは、3日間に分けて、1日400字相当で書く。
3、中学3年生以上は、普通にがんばって書く。
4、裏ワザ:言葉の森で毎週作文の勉強をしている生徒は、普段の練習でよく書けた感想文をふくらませて提出する。
ポイントは、2の3日間に分けて書く。
これなら簡単に抵抗なく書ける。
2011年4月から、小学校5、6年生に英語の学習が必修として導入されました。これに合わせて、早めの英語学習を考えている家庭も多いと思います。
しかし、子供の学習は、大人の学習とは違う要素があります。それは、ただ何かの知識や技能を身につけるだけではなく、その身につけ方自体を身につけてしまう面があることです。
特に、言葉というものは、ものの見方や考え方の土台となるものですから、単に学ぶ対象としてだけ考えるわけにはいきません。
人間は、6歳から8歳にかけての3年間でどの言語を母語にするかを選択すると言われています。これは、日本語脳の研究者である角田博士が、日本人と外国人を含む多くのデータで明らかにしています。
また、子供が海外で暮らすようになり、バイリンガルになる適齢期は、9歳から11歳にかけてと言われています。11歳以降になると、2種類の言語を自由に扱うことが難しくなるのですが、逆に9歳以前に2種類の言語環境に置かれると、母語の形成に支障が生じるのだそうです。
だから、小学校5年生から英語学習を行うということは、ある意味で合理的なことです。しかし、それは、母語としての日本語の学習がしっかり行われていることが前提になります。
そして、もっと重要なことは、小学校5年生から英語が始まるからと言って、家庭でその準備のために小学校3年生以前で英語教育を行うべきではないということです。
小学校3年生よりも前の学習で最も大切なのは、家庭の対話や読書の中で行われる日本語の学習です。3年生までに日本語をしっかり身につけ、そのあと、5年生から英語を学んでいくという区別をはっきりさせておくことが大事だと思います。