言葉の森の作文の勉強は、暗唱の自習を取り入れるようになってから、これまで以上に軌道に乗ってきました。
これも、毎週の電話指導で、暗唱の状況を先生がチェックできるためだと思います。先生が聞いて褒めてくれるので、子供たちもやりがいがあるのです。
今、この毎日の暗唱や読書や音読に加えて、家庭での予習の対話に力を入れていくようにしています。
作文の勉強は、学年が上がり課題が難しくなると、書けなくなる子が出てきます。易しい課題で楽しい作文を書いているだけでは、途中から上達しなくなる時期があるのです。
そのときに助けになるのが、難しい課題の長文を子供の理解できる話に結びつけてくれるような実例のヒントです。そして、そのヒントというのは、一般的な解説集のようなものよりも、身近なお父さんやお母さんとの対話の方がずっと役に立つのです。
そこで、言葉の森では、子供たちの長文の音読と、お父さんやお母さんとの対話を結びつける仕組みを今作ろうとしています。
そのためのひとつのツールがfacebookで、facebookの学年別予習室グループが、対話の準備をする場になればいいと思っています。
■低学年の自習は、暗唱中心に、できれば音読も
低学年は、暗唱が得意です。
毎日一定の時間を確保することも比較的楽なので、ほとんどの子が完璧に長文を暗唱してきます。中には、2、3回読んだだけですぐ暗唱できるからものたりないという子もいるようです。
低学年でまだ暗唱の自習に取り組んでいない方は、1.3週と1.4週の言葉の森新聞で紹介した動画や、「学習の手引」の記事など参考に、ぜひ暗唱に取り組んでみてください。
▽学習の手引
https://www.mori7.net/mori/gate.php
暗唱がすっかり定着したという方は、暗唱に加えて、無理のない範囲で長文の音読にも取り組ませてください。
長文には、毎週の課題の長文と読解マラソンの長文とがあります。小学校低学年では、まだ課題の長文で感想文を書く練習はしませんから、読解マラソンの長文の音読の方が、読解問題を解くときの役に立つと思います。
音読にかかる時間は、2、3分です。
低学年のうちに、暗唱と音読の両方の自習をしておけば、学年が上がって暗唱を続けるのが難しくなったときも、音読だけは続けていけると思います。
そして、その音読をもとに、親子で対話をしてくださるといいと思います。
■小学校中高学年の自習は、音読と対話を中心に、できれば暗唱も続けて
小学校中高学年になると、低学年のときに暗唱がすらすらできていた子が、なかなかできなくなるというケースが多いようです。
これは、学年が上がったことによって、単純に音読を繰り返すという方法ではなく、覚えようとする意識が先行してくるという理由があるようです。
もうひとつの理由は、毎日10分程度の時間を確保することが難しくなるからだと思います。短い時間の自習は、朝ご飯の前など、確実に毎日時間が確保できるときにやるようにしてください。
音読は暗唱よりも更に短い2、3分の自習ですから、ただ読ませているだけでは張り合いがなくなります。その音読をもとに、毎週1回、教室の授業がある前に、子供に音読している長文の内容を説明させ、それをもとに親子で対話をしていくようにするといいと思います。
特に感想文の課題の週は、長文の内容を子供に説明させて、その話をもとに親子でお喋りをするようにすると感想文の似た例が充実して書きやすくなります。
その対話のヒントは、facebookの予習室で見ることができます。facebookに登録されている方は、言葉の森の学年別予習室グループにぜひご参加ください。
■中高生の自習は、問題集読書と、音読・対話を中心に
中学生、高校生は、入試問題の国語の問題文を読む練習をしていきましょう。1.3週と1.4週の言葉の森新聞での動画の説明などを参考に、問題集を分冊にして、毎日5ページぐらい傍線を引きながら読むという練習をしていってください。
国語の成績を上げるためのテストの解き方のコツは、すぐに身につけることができます。しかし、その前提になるのは、難しい文章を読みこなす力です。
▽国語の勉強法(成績を上げるコツと実力をつけるコツ)
https://www.mori7.com/bennkyou.html
難しい文章を読みこなすためのいちばんの教材が、最近の全国入試問題集です。
新聞のコラムである「天声人語」などは、文章が易しすぎてあまり勉強にはなりません。また、学習塾や市販の問題集は、古い年度の問題文が収録されていることが多いので、現代の時代の傾向と合っていない面があります。最も手に入りやすくて効果のあるのが最近の全国入試問題集です。
難しい文章を精読するというときの精読とは、ゆっくり読むことではありません。同じ文章を何度も繰り返し読むことです。普通の読書で多読力と速読力をつけておき、問題集読書で精読力をつけていくのが、読む力を高めるための車の両輪になります。
同じ文章を繰り返し読むためには、音読をするか、又は傍線を引きながら読むという動作的なことが必要になります。どちらか、自分に向いている方法で繰り返し読む練習をしていくといいでしょう。
中学生、高校生の場合は、勉強に対する自覚ができつつある年齢ですが、それでもただ読むだけの勉強では張り合いがなく途中で挫折してしまうことも多いようです。そこで、家庭では、お父さんやお母さんが子供に、その週に読んだ文章の中から印象に残ったものを説明させ、それをもとに親子で対話をしていくといいと思います。
■facebookの予習室
言葉の森のfacebookには、毎週の課題に関するお父さんやお母さんのための予習室のグループがあります。
しかし、これは予習といっても、知識を準備するような予習ではなく、子供と雑談をする際のきっかけを広げるためのグループです。
ほかの人の雑談を参考にすると、自分ひとりでは思いつかなかった話題をすぐに思いつくようになります。
現在、facebookの予習室は、主に言葉の森のスタッフが手分けをして書いていますが、できれば、お父さんやお母さん自身が、「うちではこんな話をした」というような例を載せてくださるといいと思います。
言葉の森予習室小1
http://www.facebook.com/groups/yosyuus1/
言葉の森予習室小2
http://www.facebook.com/groups/yosyuus2/
言葉の森予習室小3
http://www.facebook.com/groups/yosyuus3/
言葉の森予習室小4
http://www.facebook.com/groups/yosyuus4/
言葉の森予習室小5
http://www.facebook.com/groups/yosyuus5/
言葉の森予習室小6
http://www.facebook.com/groups/yosyuus6/
中学生、高校生の保護者のための予習室もあります。
●例えば、小の1.3週の予習室の記事(かん先生)
1.3週は感想文です。
前の学期はアインシュタインの伝記でしたが、今学期はパスツール。アインシュタインに比べると知名度が低いですが、wikipediaでは次のように解説されていました。
ルイ・パスツール(Louis Pasteur, 1822年12月27日 - 1895年9月28日、パストゥールとも)は、フランスの生化学者、細菌学者。「科学には国境はないが、科学者には祖国がある」という言葉でも知られる。
ロベルト・コッホとともに、「近代細菌学の開祖」とされる。
... 分子の光学異性体を発見。牛乳、ワイン、ビールの腐敗を防ぐ低温での殺菌法(パスチャライゼーション・低温殺菌法とも)を開発。またワクチンの予防接種という方法を開発し、狂犬病ワクチン、ニワトリコレラワクチンを発明している。
今回は、腐敗したものの異臭の原因が微生物にあったことをつきとめたお話です。
感想文の書き方のおおまかな流れは次のとおりです。
1 このお話を読んでいちばん~は・・・です。(中心を決める)
2 わたしにもにた話があります。それは~~~。(似た話)
3 お母さんに聞いてみました。~~~。(聞いた話、もしくは、ふたつめの似た話)
4 このお話を読んで~~~と思いました。(まとめ)
似た話の例としては……
★腐ったものを見たときや、匂いをかいだときのこと
★冷蔵庫の中に腐ったものを見つけて驚いたこと
★みかんの箱の中に腐ったものがあってショックだったこと
★納豆や味噌、キムチ、ヨーグルトなどの発酵食品のこと
などなど、長文の内容と少しでも似ているなと思ったことならなんでも構いません。
今回のお話も、いろいろな親子の対話を持つことができると思います。
★生き物が死ぬと腐るのは、酸素が運ばれなくなるからなんだよ。
★みんなの体の中にも、微生物が眠っているんだよ。
★発酵食品が独特の匂いがするのは、微生物のしわざ。
★昔の食パンは、二、三日でカビが生えたのに、今のパンは数日持つ。どうしてかな?など。
(昔は、すぐにカビが生えませんでしたか?)
★ママも王子さまのキスがほしいわー(すみません、これを言ったのは私です。。。笑)
お子さんがひとりで考えるよりも、親子で楽しく対話しながら、次々似た話を出してみることが大切だと思います。
感想文の内容よりも、どれだけ対話ができたかがお子さんの実力になると思います。どうぞ、たくさんお話ししてみてください。
●絵のヒント(なね先生)
●予習室に似た話を投稿してください
予習室は、どなたも自由に投稿できます。
「うちでは、こんなことをやってみた」「話してみた」という話題がありましたらぜひ投稿してください。子育ての話題が共有できて参考になると思います。
いいものを作るには、
多くの手間がかかる。
いい対話をするには、
それなりの準備が必要だ。
家庭学習で、子供たちの理解力、思考力、表現力を高めていく方法は、親子のちょっと知的な対話です。
しかし、特に準備もせずにお喋りをしても、なかなか「ちょっと知的な」というところまではいきません。
そこで、第一の準備は子供です。
毎日、その学年にとっては少し難しい長文を音読して、その内容を丸ごと頭に入れておきます。
文章というのは、多少難しくても、何度も繰り返し読んでいると、頭に入ってくるからです。
そして、第二の準備は、お父さんやお母さんです。
「パスツールがニワトリコレラの実験をしているときに、偶然に免疫を発見した」というような話を子供が説明してくれたときに、お父さんやお母さんに準備がなければ、「はあ、そうなんだ……」で終わってしまいます(笑)。
しかし、お父さんやお母さんの予習は、参考書を調べるような知識の予習ではありません。
自分の体験に照らし合わせて似た例を話す予習なのです。
なぜかというと、子供にとっていちばん必要なのは、空虚な知識ではなく、その知識を肉付けしてくれる体験だからです。
その体験を、身近なお父さんやお母さんから聞かされると、子供の理解力は大きく広がります。
だから、お父さんやお母さんの予習は脱線でいいのです。
「そう言えば、今年は早めに風邪を引いたから、もう引かないなあ」とか、「ニワトリの実験と言えば、ニワトリって引っくり返す寝ちゃうんだよ」とか、自分の興味に任せて話をふくらませていけばいいのです。
こういう脱線によって子供の頭の中に、免疫やニワトリという概念が生きた形で定着します。
そして、いつか自分が風邪を引いたり、ニワトリを見つけたときに、その知識が更に生きたものとして成長するのです。
では、そのお父さんやお母さんの予習に必要なものは何かというと、お父さんやお母さんどうしの雑談です。
子供の対話の予習のために、大人どうしのお喋りが役に立つ。これが対話の教育の仕組みなのです。
ということで、話が長くなってしまいましたが、今日のテーマは、お喋り。(今ごろですみません(^^ゞ)
1、大人のお喋りについてひとこと、
又は、
2、「お、と、な」又は、お「しゃ、べ、り」で五七五、
又は、
3、何でも自由にどうぞ。
季節は、どんどん春に向かっています。
地面の中からも、何かお喋りが聞こえてくるようです。
それでは、今日も、明るいいい一日をお過ごしください。
言葉の森のfacebookページ
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