ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1510番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
作文の勉強は、正しい答えを知る勉強ではなく、自分で考える勉強 as/1510.html
森川林 2012/04/04 21:00 



 作文の勉強が他の勉強と異なる点は、主体的でないと勉強ができないということです。他の勉強は、教室に来てイスに座って先生の話を聞いて、問題が配られたらそれを見て解けば、それがひとつの勉強になっています。しかし、作文はそういうわけにはいきません。

 教室に来る前に、自分なりに書くことを考えていないと、先生の説明を聞くだけではなかなか書き出せません。特に、高学年の感想文課題は難しくなるので、家で何度もその課題を音読していないと、書く前の理解さえできないことになります。そういうときは、当然似た例も出てこないので、作文も書けません。

 ところが、家であらかじめ音読をして、その内容を家族に説明してくるといったときも、たぶん受け身の子がまだ多いのではないかと思います。自分で似た例を考えるのではなく、親に似た例を聞いてくるという発想の子が多いのです。つまり、自分で考えて自分で言うのではなく、他人に聞き他人に教えてもらうという受け身の勉強スタイルが、子供たちの間にかなり根強く残っているのです。

 これまでの社会の勉強は、与えられたものをより多くより早く身につけるという勉強でした。現在の受験勉強でも、主に要求されるのはそういう受け身の理解力です。

 しかし、これからの時代は、受け身の能力はほどほどでいいのです。あるいは、必要なときだけ使えればいいのです。なぜ、知識や理解がほどほどでいいかというと、人間が社会の中で仕事をする場合、その仕事に必要な知識の範囲はかなり限られているからです(そのかわり深くなりますが)。どのような仕事にも、一般教養は必要ですが、その教養も重箱の隅をつつくようなところまでカバーしている必要はなく、全教科の概略がわかっていればいいのです。大事なことは、自分で考え、自分から発表する能力と姿勢です。

 子供たちにこういう姿勢を持たせるために、作文の予習はいい機会になると思います。子供が、お父さんやお母さんに長文の内容を説明したあと、すぐに、「この長文の似た例ある?」と聞いてきたら、それに答えようとする前に、まず、「自分はどう思う?」と聞き返してみてあげてください。大事なのは、正しい答え(のようなもの)を知ることではなく、間違っていても見当外れでもいいから、自分なりに考えて自分の意見を言うことです。

 もちろん、すぐにそういう自分で考える姿勢になることはできないので、しばらくは、「やはり、わからない」という答えになるかもしれません。しかし、気長に、「自分はどう思う?」という質問を続けていけば、子供は次第に自分で考えることが大切なのだとわかってきます。家族の対話は、そういうコミュニケーションを交わす場です。

 作文の勉強は、答えを見つける勉強ではなく、自分で考える勉強です。正しいかどうかではなく、自分で考えたかどうかが大事なのだということを折に触れて子供に伝えてあげてください。

 知識が底辺だとすると、考える力は高さです。

       /\
      /考 \
     / え  \
    /  る   \
   /   力    \
  /          \
 /    広い知識    \
________________


 どちらも大切なのですが、現在のテストでは、測定しやすい知識の方が重視されがちです。考える勉強だと思われている教科であっても、ある問題が解けるかどうかは、考える力よりも、同じ問題を解いたことがあるかどうかという知識の習得度に左右されます。

 そのような時代だからこそ、作文の勉強の中で、考える力をしっかり育てていく必要があるのです。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文教育(134) 

記事 1509番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/28
テストのための学力ではなく、自分なりに考えるための学力を as/1509.html
森川林 2012/04/03 19:43 



 これまで、自分なりにいろいろな本を読んできて、本というものが大きく二つに分けられるように思いました。ひとつは、著者なりの物の見方や考え方のある創造的な本、もうひとつはさまざまな資料を駆使して卒論のようにもれなく知識が網羅されているが、特にこれといって創造的なものが感じられない本です。大雑把すぎる分け方ですが、前者が買って得した本、後者が買ってそうでない本とするとわかりやすいかと思います。そして、この区別が、それらの著者の勉強のスタイルに帰因するのではないかと思ったことがあります。

 創造的なことを書く人は、自分の源泉となるような古典あるいは繰り返し読むような数冊の本を持っているようです。それに対して、資料のような本を書く人は、1冊の古典のような本と格闘するよりも、広く浅くだれからも必要とされるような本を読んでいるだけなのではないかと思いました。

 これが、そのまま子供たちの勉強のスタイルにもあてはめることができるように思います。現代の勉強は、その勉強を通して何かを発見したり創造したりするためではなく、その勉強を通して何かの試験に合格するために行われているという面があります。

 合格するための勉強というのが、この広く浅く必要なものをひととおりマスターしておくという網羅的な勉強です。それは、試験というものが選抜試験である以上やむを得ないものですが、問題は、そういう網羅的、資料的な勉強の仕方が低年齢化していることにあります。

 世の中は、自然にしろ社会にしろ、接すればどこまでも続く無限の深みを持っています。だから、子供たちは、ある物事(遊びや趣味)に夢中になり、大人の目から見てよく飽きないと思うほど長時間集中して取り組むことができるのです。

 ところが、網羅的な勉強をするときは、世界はすべてある答えの決まっている平面的なものとして子供たちの前に登場します。「日本一高い山は? はい、富士山。」「では、その高さは? はい、3776メートル。」というような調べればわかる知識が、まるで自分を取り巻く世界そのものであるかのように見なされて知識化されています。その知識を身につけることが勉強であるかのように考えられているのです。これは、もっと複雑な英数国理社の勉強でも同じです。

 もちろん、子供(というか人間)は、もともと本来の知識欲がありますから、やがてただ答えが○になるだけでは満足せずに、より深く知りたいという気持ちを持つようになってきます。しかし、今日の社会では、この網羅的な勉強のスタイルが、そのまま大学入試まで続いてしまうのです。そして、そういう勉強スタイルに適応した子ほど、周囲からはとりあえず優秀な子供だと見なされているのです。

 これからの社会に必要なのは、自分なりに考える力で、その考える材料として多くの知識があるべきなのですが、現状は、多くの知識自体が目的になり、それを組み合わせることが知的な作業のように思われています。

 日本をよりよい国にしていくためには、このような勉強の仕方そのものを変えていく必要があります。それは、資料を網羅する力ではなく、自分の関心のあることを深く知り、そして考える力を育てていくことになると思います。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント161~170件
……前のコメント
検査結果 森川林
健康診断の数値に一喜一憂するのはバカらしい…現役医師が「70 5/14
記事 4727番
森リン大賞、再 森川林
 約2年半ぶりに森リン大賞を復活しました。  小学5年生か 4/11
記事 4702番
ChatGPT Haha
返信ありがとうございます。そうそうクララはとっても純粋で良い 3/26
記事 4689番
ChatGPT 花ちゃん
はい、読みました。AIのクララがとても聡明で、愛情に溢れる人 3/25
記事 4689番
総合学力クラス 森川林
 泥団子は面白いです。  発表室に入れておいてください。 3/24
記事 4693番
総合学力クラス えなが
泥団子を作りました。水が少ないとあまり土が固まらず、また多す 3/24
記事 4693番
ChatGPT Haha
カズオ イシグロ氏の「クララとお日さま」は読まれましたか?C 3/21
記事 4689番
小学校低学年の 森川林
 本当は、事前の準備で、似た例を話し合ったり、感想のアドバイ 3/16
記事 4686番
小学校低学年の しげか&
なねせんせい、質問です。とすると、模試などの書いた作文を書き 3/16
記事 4686番
言葉の森の「オ 森川林
 オンライン教育で大事なことは、全員が発言できる人数であるこ 2/12
記事 4645番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習