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国語の実力は作文に表れる。穴埋め問題では作文力はつかない as/1550.html
森川林 2012/05/24 20:42 


 最近の国語の入試では、記述式の問題が増えています。大学入試センター試験など、短期間で大量の採点を必要とする国語問題ではまだ選択式が中心ですが、選択式の問題は解き方のコツがわかるとかなり高得点がとれるので、子供たちの本当の国語力を表しているとは言えません。

 東大をはじめ国立大学の入試問題は、国語に限らず英語などでも記述式の問題が主流です。ですから、中学や高校の入試も、難関校ほど記述式の問題が多くなります。記述式の問題の方が、その子の本当の国語力がわかるからです。

 その記述式の問題よりも更に国語力がはっきりとわかるのが作文です。ところが、この作文の課題は、易しいものから難しいものまでかなり広がりがあります。易しい作文課題は、生活作文の一種のようなもので、「私の友達」や「この一年間で思い出に残った出来事」などという内容のものです。実は、こういう易しい作文課題では、子供たちの実力の差はあまり出てきません。実力の差というよりも、取り上げた題材の差の方が大きく出てくるので、本当の実力はなかなかわかりません。

 そのため、今の入試で行われる作文の課題は、身近な課題はほとんどなく、意見文的な課題や感想文の課題が主流になっています。

 言葉の森の作文の課題も、小学校5年生から感想文が中心になります。この感想文を書くために毎週難しい長文を読み自分なりに似た例を考える練習をしていると、書く力だけでなく読み取る力もついてきます。

 作文の実力というものは、実はなかなか上達しないものです。よく穴埋め問題を解かせるようなプリントを使って、それが作文の学習の基礎になっているという指導をしているところがあります。しかし、穴埋め問題を解くことと、作文の実力がつくことの間にはほとんど何の関係もありません。作文の実力は、作文を実際に書く中でしか身につかないからです

 そして、この、子供たちに作文を書かせるということ自体が難しいのです。小学校低中学年のときにいくら穴埋め問題をやっても、小学校高学年になって作文を書く実力はついていません。だから、作文の勉強をするには、小学校低中学年から正しい方向で勉強をしていく必要があります。その正しい方向とは何かといえば、読む力をつけることと、実際に作文を書く練習をすることです。

 言葉の森の子供たちの作文力の推移を見ると、小学校低学年のころに作文が苦手か普通だった子が、小学校高学年からだんだん得意になり、中学生になると自信を持って優れた作文を書くようになっています。しかし、その実力の伸びはきわめてゆるやかなので、途中には、作文力が停滞しているように見える時期が必ずあります。しかし、その停滞しているように見える時期も、気長に読む勉強としての長文音読などを続けることによって、学年が上がるにつれて作文の実力が再びついてくるのです。

 実は、こういう長期的な見通しがあって作文指導をしている作文教室はほとんどないと思います。作文の実力はなかなかつかないので、その教え方がいいかどうかは何年かたってみないとわかりません。そして、穴埋め問題でやりやすい勉強をしていたのでは、何年かたったときに結局何も実力がついていなかったということになります。作文の実力をつけるにはかなり時間がかかりますが、実力をつけるための方法は確実にあるのです。

この記事に関するコメント
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ロッキー 20191113  
穴埋めイコール暗記で考えていますよね?穴埋めも読解力要ります。

森川林 20191113  
 問題の形式ではなく、問題のレベルですが、穴埋めはレベルが低いことが多いです。

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作文の勉強も客観的なデータで as/1549.html
森川林 2012/05/23 19:56 


 言葉の森の勉強の特徴は、作文という評価が主観的になりがちな勉強に客観的な裏づけを持たせるようにしていることです。

 言葉の森が作文指導を始めるまでは、日本での作文指導は、課題を与えてただ書かせるようなやり方が行われていました。しかし、事前にどういう目標があるかを示さずに、ただ書かせるだけ書かせて、そのあと評価しようとすると、評価はどうしても教える先生の好みに左右されるようになります。

 言葉の森の指導では、最初に、どういう構成で書くか、どういう表現項目を入れるかという目標を示してから作文を書きます。だから、子供たちは迷わずに書き出すことができます。言葉の森の体験学習で、保護者の方が、「初めてこんなにたくさん書けた」と驚くことが多いのは、この事前指導があるからなのです。

 しかし、学年が上がり実力がついてくると、事前指導よりももっと高い目標を持ちたくなる子が増えてきます。そのときに使えるのが、言葉の森が開発して特許を取得した「森リン(もりりん)」という文章解析ソフトです。

 下記の表の生徒は、現在中学2年生で、小学校1年生から言葉の森で勉強をしていました。

 この生徒の字数と森リン点の推移のグラフを見ると、次のようなことがわかります。

 小1から小2のころは、同学年の生徒の字数と同じかやや少ないぐらいの作文を書いていました。字数というのは、ある程度作文の実力を反映します。ですから、低学年のころの作文力は普通かそれほど得意でないぐらいだったと言ってもいいと思います。

 しかし、小3のころから字数が増え出し、小5、小6、中1と常に1200字以上の作文が書けるようになりました。小5から中1にかけての学年平均の字数が500字から600字なのは、この学年になってから始める子は、最初のうちどうしても字数を長く書けないからです。

 ところで、この生徒の作文の字数だけを見ると、小5から中1にかけては同じ1200字台ですから、どのように作文が上達しているかはわかりません。ところが、森リンの点数を見ると、小5、小6が79点であるのに対して、中1では一挙に点数が87点と8ポイントも上がっています。これは、文章のジャンルが、事実文、説明文から意見文へと変化し、使われる語彙が高度なものになってきたためです。

 森リン点は1点の差でもかなり大きな違いがあり、中学生の場合は86点以上でその学年の上位10パーセントに入るぐらいの実力になります。ですから、この子は現在かなり作文の実力をつけているということがわかります。

 この森リン点の推移がわかると勉強の励みになるので、現在、毎月第4週の清書の週は、小学校低学年の生徒もできるだけパソコンで作文を入れてもらうようにしています。

ゆきんこさん(中2)   2012年5月23日現在
課題字数森リン点
2012014中1本人1591字
平均598字
 現在の日本人の多くは、
本人87点
平均80点
2011014小6本人1097字
平均571字
「ねえーパパ、盛岡、寒い
本人79点
平均78点
2010014小5本人1144字
平均471字
 「ヤッター。おじいちゃ
本人79点
平均75点
2009014小4本人677字
平均659字
「やった?。今日は、これ
本人69点
平均73点
2008014小3本人1293字
平均576字

2007014小2本人469字
平均628字

2006014小1本人300字
平均424字

2005074小1本人135字
平均305字



 もうひとり、次の表は、同じように低学年のころから作文の勉強を続けている現在高校1年生の生徒の点数の推移です。この子もやはり、小2から小4にかけては、学年平均と同じかやや下回る字数でした。しかし、小6からぐんと字数が伸び、その後、中2から森リンの点数がまたぐんと伸びています。
 言葉の森の課題は、小5から急に難しくなります。それは、小5から説明文や感想文が中心になるからです。
 小4は、普通の生活作文の課題なので、ある意味でいちばん自由に楽しく書ける時期です。しかし、偶然にもこの時期に、先の中2の子もこの高1の子も、ふたりとも軽いスランプに陥っているようです。これは、真面目に勉強しているほかの子にも見られる現象です。
 小学校4年生のころは、作文も読書もいちばんはかどる時期で、作文は身近な話を表現を工夫して生活作文を最も自由に書ける時期です。そして一方、だんだん塾の勉強などが忙しくなる時期です。だから、言葉の森で作文の勉強をする意味がわかりにくくなるのではないかと思います。作文というものはメンタルな要素が大きいので、意欲的に書くときとそうでないときは、同じ生徒でも作文の出来に大きな差があります。
 しかし、こういう時期を経て、小5、小6の難しい感想文課題を書きあげることができると、そこで大きく自信がつくのだと思います。

さくらさん(高1)   2012年5月23日現在
課題字数森リン点
2012014中3本人1342字
平均520字
 大きな試練を迎えるとき
本人90点
平均83点
2011014中2本人1435字
平均665字
 現代の生活は豊かさであ
本人88点
平均82点
2010014中1本人1156字
平均522字
 私は、世間というものに
本人80点
平均80点
2009014小6本人1188字
平均758字
 例えばパパが宙に浮いた
本人83点
平均78点
2008014小5本人703字
平均640字

2007013小4本人200字
平均635字

2006014小3本人517字
平均610字

2005083小2本人620字
平均438字


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