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頭の悪くなる勉強の仕方、頭のよくなる本の読み方 2 as/1595.html
森川林 2012/08/23 20:00 



 前回の記事から( https://www.mori7.com/index.php?e=1589 )だいぶ間が空いてしまいましたが、今回は、「頭のよくなる本の読み方」です。


 読書の基本は、自分の好きな本を読むことです。その理由は、読書がはかどるからです。自分の興味のままに読んでいけば、自然に自分の成長につれて読書も成長していきます。

 逆に、その子にとっては難しい本を他人からすすめられて読まされた場合、読書がはかどるということはまずありません。苦い薬でも飲むように毎日嫌々読んでいれば、読書がはかどらないので、結局読む力がつきません。

 しかし、好きな本を読んでいれば自然に読書も成長するというのは、実は、昔の話です。昔は、読書の対象となる本自体が少なく、また、読書以外のテレビやゲームや漫画もほとんどなかったので、好きな本を読むことが自然により高度な読書に結びついていました。

 しかし、今は、例えば漫画に熱中したら、一生漫画を読み続けていられるほど漫画の種類は豊富です。それは、テレビでもゲームでも同じです。低レベルの娯楽が、きりがないほど豊富になってきたのです。これでは、難しい文章を読む機会はなかなか作れません。

 そこで役に立つのが付箋読書です。読書は、その子の好きな本と、親から見てためになる本とを組み合わせて、複数の本を並行して読んでいくようにするといいのです。人間の頭は、同時並行的なものも頭の中で区分けしておけるほど柔軟性に富んでいます。好きな本を少し読んだら、次は難しい本。難しい本をきりのいいところまで読んだら、次は別の本。その本をまた、きりのいいところまで読んだら、次はまた別の本。と、難しい本と読みやすい本を組み合わせながら付箋読書をしていくのです。

 では、そういう難しい本はどこで見つけるのでしょうか。そのヒントになるのが入試問題です。

 中学入試に出る国語の問題は、「こういう方向で物事を理解したり考えたりする子を採用したい」という方向性のある文章と考えることができます。だから、そういう入試問題の出典になっているような本が、小学校5、6年生が読むのにふさわしい難しい本の例と考えることができます。

 同様に、中学生だったら高校入試問題、高校生だったら大学入試問題です。ただし、大学入試の場合、一部の私立大学の問題の中には、受験生の国語の点数に差をつけることを目的にした、無意味に難解な悪文もあります。だから、高校生の場合は、入試問題集とともに、中公新書、新潮選書、岩波新書なども読んでいくといいと思います。

 大学生の読書の基本は古典です。古典と言っても、日本の古文のことではなく、古今東西の名著として知られている本のことです。そういう古典は、今すぐの話には間に合いません。テスト対策のようなものだけなら、現代の教科書的な本の方が役に立ちます。しかし、古典は、教科書的な本と違って、あとで自分の生きた思考の土台となってきます。

 ところで、小中学生の問題集読書については、一つの大きな問題があります。それは、例えば、中学入試の問題集には、小6までに習った漢字がルビなしで載っていることです。人間は、読めない文字が書かれていると、急速に理解に困難さを感じるようになります。だから、問題集読書は、学年が上がらないと続けるのが難しいのです。

 そこで、言葉の森の考えた方法は、小6までの漢字の読み書きを小学生の早い段階で済ませておくというやり方です。同様に、中学生で習う漢字は、できるだけ小学生の段階で読めるようにしておきます。

 漢字の書き取りは読みの力があれば、比較的楽に身につけることができます。読む力をつけることを優先させて、学年相応よりも難しい漢字を読めるようにしておけば、長文の音読につれて、読解力も表現力も向上してきます。

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文系の感想文、理系の感想文 as/1594.html
森川林 2012/08/22 19:18 


 「鶴の恩返し」という民話があります。言葉の森の「作文、読書感想文のテクニック」の中には、この話をもとにした感想文の書き方を説明した例が載っています。

 この例を見て、「『鶴の恩返し』とこんなふうに読むなんて……」と思った人もいると思います。

 読書の経験は感動の経験ですから、自分の感動と違う読み方を見れば、違和感を感じるのは当然です。


 物事のとらえ方は人によって様々に異なりますが、大きく分けて理系的な物の見方と、文系的な物の見方があると思います。

 言葉の森の作文指導の骨格は、かなり理系的なものです。工学的と言ってもいいかもしれません。

 まず大きな枠組みを作り、その中に何を盛り込んでいくかを考えます。このような書き方の利点は、誰でもある水準までは必ず書けるようになるということです。苦手な子でも、苦手なりに形のある文章を書くことができます。得意な子は、その形の中に、自分らしい表現や題材や主題を入れるように工夫することができます。


 一方、文系的な書き方は、感動を出発点としています。感動をひとつの核として、そこから少しずつ芽が出て葉を広げてゆくような書き方が文系的な書き方です。

 そういう書き方でいい文章を書く子はたくさんいると思います。しかし、この書き方では、書き出せない子供たちもまたたくさんいるのです。

 国語の苦手な子のひとつの原因は、先生の感動についていけないということがあります。国語の授業中、「自分はそんなふうに思わないのになあ」と思いながら先生の話を聞いている子もいるのです。

 だから、逆に、先生の感動を自分の感動と一致したものとして感じる子は、その先生によって国語が得意になります。しかし、それは先生と生徒の出会いであって、国語の勉強というものではありません。


 言葉の森の出発点は、「作文」のように曖昧でとらえにくく、客観的な評価がしにくく、指導に名人芸が必要であると思われていた勉強に、論理の枠組みを与えることにありました。

 そして、その方法は一定の成果をおさめ、独自の作文の指導の仕方として定着してきました。


 だから、これからは、言葉の森の指導に、文系的な要素も取り入れていきたいと思っています。しかし、それは、出発点を文系にすることではありません。出発点は、理系の合理的な説明の方が子供たちにより早く理解できるからです。

 文系の要素は、出発点ではなく到着点で生かしていく予定です。そのひとつが、例えば発表会です。作文の発表を通して、その子がその作文の中で、何のどこに感動したかということが伝わります。その感動が、ほかの人の感動を呼び、その感動が動機となって作文の書き方が進化していくのです。


 理系の書き方の利点を生かしながら、その書き方が枠組みの指導だけで終わらないような文系的な中身のある発表会を企画していきたいと思っています。

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