子供たちの勉強の様子を見ていると、作文力、読解力、勉強力の進歩に四つのパターンがあるようです。ここで言う勉強とは、英数国理社の通常の勉強で特に英数の勉強のことです。
第一は、勉強と読書をしている子です。こういう子は、今は作文は苦手でも、勉強を開始すれば次第に作文力もついてきます。
第二は、勉強だけをしている子です。こういう子は、今は成績がよくても次第に実力が伸び悩み、読解力も作文力もなかなかつきません。
第三は、作文だけを書いている子です。こういう子は、作文は得意になりますが、勉強の面で弱点が残ります。
第四は、作文と読書をしている子です。こういう子は、作文力も読解力もあるので、勉強を始めると、作文、読解、勉強のすべてができるようになります。
もちろん、している、していないと言っても、それは程度問題ですから、はっきりと四つのパターンに分かれるわけではありません。しかし、大きく考えると、小さいころの優先順位は読書が第一で、学年が上がるにつれて勉強と読書を並行して行うようにし、その一方で作文は小さいころから一定の時間をかけて取り組むというようにしていくのがいいのではないかと思います。
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受験勉強には、プラスの面とマイナスの面とがあります。中学3年生以上で、子供が自分の意思で自覚して取り組むときの受験勉強は、その子自身を大きく成長させます。自覚して取り組んだときの勉強の密度はかなり高いので、それまでの数年間の遅れなどすぐに取り戻せるということがよくあります。
だから、子供たちの勉強で大事なことは、早めに受験勉強に取り組ませることではなく、普段から自覚的、自主的に物事に取り組むようにしておく習慣作りと、その学年に応じた基礎学力作りです。
受験勉強のマイナス面は、引きずられて受験に取り組む場合に出てきます。本人にまだ自覚が十分でないときに、受験という競争状態に入ると、意欲を持たせるために、賞罰や競争の勝ち負けという刺激に頼る場面が出てきます。これもほどほどであれば問題はないのですが、あまり頻繁に刺激で意欲を持たせようとすると、刺激がなければ勉強しないという子になってしまうのです。
こういう受験勉強の弊害は一般にはあまり明らかになりませんが、それでも次第にそういう心配をするお父さんやお母さんが増えてきたように思います。
いちばんいいのは、普段から確実な基礎学力を育てておき、子供が自分の意思で受験勉強に取り組むようになったときの土台を確実に作っておくことです。そして、この普段からの確実な基礎学力をつけるのは、やはり家庭学習がいちばんふさわしいのです。
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「どうして勉強しないといけないの?」
子どもにこんな質問を投げかけられたとき、みなさんはどう答えますか? 答えに戸惑った経験のある方はいらっしゃいませんか? 実は、私もさっぱりわからなくなることがあります。
先日、教室に置いてあった雑誌に、ちょうどこの質問に触れた記事が掲載されていました。『子どもへのまなざし』で有名な佐々木正美先生の書かれたものです。
佐々木先生は、どうして勉強するかと聞かれたら、
「あなたの友だちや周りの人たち、自分にとって大切な人を幸せにするためだよ」
と答えるそうです。そして、子どもは、親の愛情を無条件で受け取ることができれば、自然と誰かを幸せにしたいという気持ちになる、とも。このサイクルができていれば、子どもは意欲的に学習に取り組むようになるし、恐れることなく自分の道を歩いていくことができるというお話でした。
親は単純に子どもがかわいいものです。だから、このサイクルは自然にできあがるような気もします。しかし、佐々木先生は、現場での長年の経験から、現代ではそう簡単にはいかないと指摘しています。
それはなぜでしょう。どうも、親の自己愛の強さがその一因のようです。自己愛が強まると、子どもに対しての願望や要求が強くなり、その結果、子どもがそのハードルを越えられないと、責めたり拒絶したり。すると、子どもの側もおどおどしてしまい、本来の自分を親にさらけ出すことができなくなってしまいます。
(自分のために)成績がよい子であってほしい。(自分のために)運動もできる子であってほしい。(自分のために)人前に出して恥ずかしくないルックスの子であってほしい。ここまで露骨な願望はそうないと思いますが、このような子どもに育てることができたら、「子育てに成功したよき母」というセルフイメージを確立することができ、自己愛も満たされることでしょう。しかし、自己愛から生まれるゆがんだ愛情は、ある程度の年齢まではよい子を育てることができるかもしれませんが、結果として子どもの意志を奪ってしまうのではないかと思います。
子どものためと思ってしていることは、本当に子どものためか。自己愛からのものではないか。一度、立ち止まって吟味してみるのもよいかもしれません。自己愛を手放すことができたとき、その親子ならではの「どうして勉強しないといけないの?」に対する答えが見えてくるのではないかと思います。
(菅野)
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今年の夏は、読書感想文の宿題についての相談がかなりありました。
なぜ学校でそういう宿題を出すのかというと、普段の授業で読書感想文の書き方についての指導をしていないからです。もし、普段の授業で感想文の書き方を教えていて、その練習を家庭でも行えるようにするということで宿題を出しているのであれば問題はないのですが、ほとんの場合はそうではないと思います。学校で感想文の書き方を教えていないから、家庭での宿題として出しているのです。
ここで問題になるのは、そういう宿題を出された小学校低学年の家庭です。子供はどう書いていいのかわかりません。親もどう教えていいのかわかりません。しかし、宿題として出されているぐらいだから、ほかの家庭では子供が自分でその感想文の宿題をやっているのだろうと思ってしまうのです。ところが、小学校の低学年で、自力で上手な読書感想文を書ける子などはひとりもいません。
これと似ているのが、小学校高学年あるいは中学生での、難しいテーマで書く作文の宿題です。毎年よくあるのが「人権」「平和」「環境」などについての作文です。これも、普段、学校の授業でそういう勉強をしたり、そのことについての作文を書いたりしている延長で、家庭でも宿題として取り組もうということならいいのですが、実際は、学校で教えていないから家庭での宿題として出しているのだと思います。
学校は、勉強を教えるところであって、点数をつけるところではありません。宿題を出す前に、授業の中できちんと指導することに取り組んでほしいと思います。
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教室の子供たちの中に、一度の注意ですぐに言うことを聞ける子と、何度目かの注意でやっと言うことを聞くタイプの子とがいます。最終的にはみんな言うことを聞くのでいいのですが、この両者のタイプの違いはどこにあるかというと、家庭での親の注意の仕方にあると思います。
一般に女の子は、優しいひとことですぐに言うことを聞きますが、男の子は注意されていても知っていて言うことを聞かないという傾向があります。これは、たぶん生物の生存上、その方が有利だったからです。
ところが、注意するのは主にお母さんですから、男の子に注意する場合、女の子に注意するのと同じように口で言うだけで済ませてしまうことが多いのです。
例えば、「○○を片づけておきなさい」「はい」と言っても、男の子はすぐには片づけようとせずにそのまま忘れてしまうことがあります。口で注意したのに実行しなかったという状態が何度か続くと、子供は、「言われたことは一度で言うことを聞かない方が楽だ」という能率のよさを学習してしまいます。最初に学習したことは強固ですから、その後、いくら厳しくしても、一度で注意を聞けない子になってしまうのです。
男の子に注意する場合、口で言ったことは必ずその場で実行させるというところまで持っていくというようにするといいと思います。
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言葉の森に来る生徒の中に、ほかの通信講座で作文の勉強をしていたが書けないので言葉の森でやることにしたという方がかなりいます。
他の作文の通信講座の中には、電話指導や担任制をうたっているところもありますから、言葉の森での作文指導とあまり変わらないと思う人もいるかもしれませんが、中身は全く違います。
どこが違うかというと、言葉の森の電話指導は毎週あるということです。毎週同じ先生が同じ生徒に電話をするので、その生徒の勉強の様子がよくわかるということです。同じ先生で何年も習うということもありますから、小学生で勉強を始めた子がいつの間にか高校生になっていたということもよくあります。言葉の森以外の作文通信講座では、そういうことはまずないと思います。
だから、最初の勉強でどこを選ぶかということはとても大事なのです。
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本日はこちらのグループを紹介致します。
「漢字の糸」(
https://www.mori7.com/okakj/ )
キャッチフレーズは「漢字の面白さ、再発見」。
グループを設立した当初は、「難字」「難読漢字」「四字熟語」などを取り上げ、クイズ的な楽しさで“知識を増やす”場を目指していました。
しかし、辞書とにらめっこをしつつ毎回の記事内容を考えるうちに、いつの間にやらその方針が微妙に変化していったのです。
「この漢字の部首は○○」
「書き順を間違えやすいが、実はこう」
「当て字で、こんなに難しい読ませ方がある」
……こういった知識は、確かに分かりやすいです。
というより“分かった気になりやすい”のですね。
どれだけ画数が多かろうと、普段目にする機会が少なかろうと、「そういうものだから」と説明されてしまえばそれまでだからです。
対して。
当たり前のように慣れ親しんだ、画数の少ない“単純”な字ほど、その成り立ちや、込められている意味について本当のところを知らなかったりします。
「一」「二」「三」は見たままとして……4はなぜ「四」(五画ですね)なのか? さらに、「五」「六」「七」の字が、どうしてその数量を表すのか?
「山」「木」「水」が“象形文字”なのは分かるが……では水に「てん」がついてどうして「氷」なのか? 「永」は形が似ていて間違えやすいが、何がどう違うのか?
考えたこともないから答えられない、のですね。
つい、我々は「『一』という漢字が書ける」ことに価値を置きがちです。
それこそ「『一たす一は二』の計算ができる」、というのと同じ意識で。
こうした漢字の「知られざるところを知る」ことこそ、面白さに繋がるのでは。
大人でも取り組める、本当の「漢字の学習」になるのではないか……と、勝手に思っています。
以下は、上記グループの記事からの抜粋です。
上記の疑問の一つ、「氷」と「永」について取り上げたところ、よろしければご覧ください。
====================================================
【管理人Iの投稿】
本日の一字は……「氷」、で涼しく参りましょう。(笑)
「水」に「`」という実に単純な字……。
と思いきや、この「`」、本当はただの点ではなく「にすい」の形として「凍ること」を表しているのだそうです。
というより、「にすい」そのものが「氷」からできた部首とも言われます。
言われてみれば、「冷」「凍」「凝」など、氷に関係しそうな字はみんな「にすい」ですね。
皆さんもパソコンで「こおり」を変換してみてください。
「冫」=「にすい」が出てきます。
それと、本来の形である「冰」という字も……。(◎o◎)!
【参加者Mさんのコメント】
では、「永」はどうなっているの?「`」の位置が違うだけだけど、「氷」とは親戚ではないのかしら?
【翌日、管理人Iの投稿】
と、いうわけで、早速はりきって本日の一字をアップ。(笑)
「永」です。
ナイスなご質問をいただいたので、お答えさせていただきました。
昨日の一字「氷」とは形が似ていますが、あちらは「冰」を本字とする“会意文字”。
こちらは“象形文字”であり、「河川が“ながく”流れていく形」から成り立ったのだそうです。
つまり「`」も含めて川の道筋を絵的に表したもの。
なんとなく……目を細めて見ると、上流から下流へ、枝分かれしながら水が流れていく様子に見えなくも……ない?(^_^;)
こう考えると、「およぐ」の「泳」も納得かも。
ちなみに「泳」は、「さんずい」と音の「永(エイ)」から成る“形声文字”です。
【参加者Mさんのコメント】
早速ありがとうございました。
「氷」も「永」も、字としては簡単な字なので、今まで辞書を引く事はありませんでした。今回いい勉強になりました。教室で知ったかぶりして皆に自慢しちゃおうかな。。(^o^)
【管理人Iの返信】
そうなんです。入り組んだ難しい字になると、案外パーツから意味が読み取れたりするものですが、画数の少ない字ほど「なぜこんな簡単な字が“あの意味”を表すのか」と逆に不思議になるのです……。
このグループでは今後とも、そのあたりを掘り下げていきたいと思っております。
【参加者Yさんのコメント】
字の意味からは外れますがこの字は「永字八法」と呼ばれ書に必要な止めや点など(あとは省きますが)技法が全て含まれていて字を練習するのには一番適していると言われる字ですよね。今日の字の元の意味も勉強になりました!!
【管理人Iの返信】
新たなアプローチからの補足、ありがとうございます!
「永字八法」……聞いたことがあるようなないような、でしたが、たいへん分かりやすい説明で納得がいきました。
確かに点があり、はねがあり、はらいがあり……ですね。書道の授業の時も、そう教わった上でこの「永」の字から練習したかった。(^_^;)
こちらこそ、勉強させていただきました!
【参加者Mさんの再コメント】
「永字八法」の楷書筆法を、昔の人はうまい字を発見したものだと思い感心させられます。この「永」という字が、楷書の各部分をほとんど具備していますが、楷書はすべての始点と終点が45度を標準としています。若干、角度のずれはあるものの、字を習うひとつの手がかりとして、45度を覚えておくと書きやすくなると思います。書道の領域になってしまい、すみません。。。
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このように、様々な知識をお持ちの方が集まっている、楽しいグループです。
(いとう)
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「あ~、もういやだ、やっていられない!」
仕事で、家事で、煮詰まることは誰しもありますね。そんな時、みなさんはどうなさいますか?
不貞寝するという方法もありますが、起きてなお、さきほどの気持ちを引きずっていることも多々あります。
じょうずにリフレッシュするためには……。
人気の脳科学者茂木健一郎さんが、非常にわかりやすい説明をしています。
←←←←←←引用ここから→→→→→
【行動することで気分が前向きになる】
脳科学者の茂木健一郎氏の心に響く言葉より…
仕事ができる人、社会に影響力を持つ人は、皆さん、脳のリセットが上手です。
脳のリセットといっても、何かを捨てたり消したりするわけではなく、脳のモードを切り替えるということ。
これは、誰にでもできます。
私は、今の日本人こそ、脳のリセットが必要な時期ではないかと思っています。
この効果的なリセットの方法は大きく2つあります。
1つ目が1日に何度も実行すべき“短期的”なリセットで、2つ目が数日に1度のペースで行いたい“長期的”なリセットです。
短期的なリセットの場合、これが上手にできるようになると、限られた時間を有効に使えるようになります。
人の気分は、外部から何か刺激が加わらないと変わりにくいです。
だから何かを始めたくても、なかなか始められない人が多い。
しかし、彼女と一緒に部屋にいる時、突然、上司が入ってきたら、誰でも瞬時に恋愛モードが仕事モードに切り替わるはず。
このほか締め切りや納期が迫るといったことで初めてモードチェンジが起きる方もいるでしょう。
これを受動的でなく能動的に起こせるようになると、リセットが上手になるだけでなく、時間の管理もうまくなります。
それにイヤなことがあっても気分を一新できるようになりますよ。
具体的にいうと、自分の気分が一瞬で変わる行動が何であるかを見つけ、それを日常生活の中に取り入れていくのがいいでしょう。
脳は「気分が変わるから行動する」のではなく「何か行動することで気分が前向きになる」という流れのほうが、スムーズにいく仕組みになっている。
2つ目の“長期的”なリセットとは長時間かけて、価値観や思考をリセットすることを指す。
人は、気分だけでなくいわゆる“マインドセット”(価値観や考え方のセット)もほかから刺激を受けなければ、なかなか変えられない傾向があります。
すると脳の海馬や扁桃体という部位の細胞が同じつながり方をし続け、古い価値観に引きずられ成長できません。
例えば有名人の講演会、異業種交流会など、新しい価値観を教えてくれそうな人と数日に一度は会ったほうがいい、という意味だ。
そして“実際に会う”ことこそが何より重要です。
実をいうと、人の脳は“シリコンバレーではこうしている”といった情報をメディアから入手するだけでは、それほど強い刺激を受けません。
実際に自分の体でその雰囲気を感じることで、初めて脳が刺激を受け影響されるのです。
『DIME 2012年18号』小学館
【人の心に灯をともす】
http://merumo.ne.jp/00564226.html より (抜粋)
←←←←←引用ここまで→→→→→
「やっぱり!」
と膝をたたかれた方もおられると思います。
気分を変えるため、疲れをとるため、今日は何にもしないでいようという休日。
なぜか夜になっても、あいかわらず体も心もだるいまま。
それよりも、部屋の模様替えをするとか、ちょっと電車ででかけるとか、何かしてみたほうがと案外スッキリすることが多いです。
こういうしくみだったのですね!
(宮崎 みどり)
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