ログイン ログアウト 登録
 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1621番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/4
勉強の仕方総まとめ 4 繰り返し読むことが理解の王道 as/1621.html
森川林 2012/09/20 20:06 



■繰り返し読むことが理解の王道

 難しい文章であっても、繰り返し読んでいると読むにつれて内容が理解できるようになります。
 文章の理解というものは、知らない単語を調べたり文章の意味を人に聞いたりする中でできるのではありません。そういう方法は理解できる気がするだけで、読んだものが自分の血や肉になる読み方ではありません。
 文章は丸ごと繰り返し読む中でそのエッセンスが自分の理解力を育て、その中の表現が自分でも使えるようになるのです。
 この音読をもっと徹底したのが暗唱です。音読と暗唱の両方をやるのが大変なときは、どちらか一方でかまいません。一般に学年が上がると、子供はだんだん暗唱が苦手になります。それは暗唱の力がなくなるからではなく、物事を理解して記憶しようという意識が前面に出てくるので、単純に繰り返し音読するということをしにくくなるのです。そういうときは、簡単にできる音読だけを毎日続けるという方法が有効です。
 課題長文は1200字程度のものが多いので、全部読んでも2、3分です。ところがこの2,3分の音読を毎日続けていると、どの子も必ず読む力がつき、文章の表現力が増してきます。それは課題の長文がその学年の子にとっては、やや難しいものになっているからです。

■音読や暗唱のコツ

 子供が音読をしているときは、小さい声で読んでもふざけて読んでも気にしません。毎日声を出して読むことが大事なので、読み終えたつど褒めてあげることが大事です。もちろん、読み方の間違いがあれば直してあげます(中学生が課題長文を読む場合、読み間違いがかなりあるはずです)。しかし、大事なことは、毎日読むことと、それを親が褒めてあげることですから、必要以上に注文はつけないことが大事です。
 暗唱の仕方は、学習の手引に動画を載せていますが、。要点は、やや早口で、同じ調子で、立ち歩きながら(の方がやりやすいことが多い)、決めた回数を繰り返し音読することです。ただし、早口とは言っても、最初の数回はゆっくりていねいに正確に読まなければなりません。最初に間違って読むと、あとから直すことが難しくなるからです。
 この方法をうまく子供に伝えるためには、本当は親も一度は暗唱の練習をしてみるといいのですが、そういう練習をしない場合でも、やりやすい原則はできるだけ守るように続けさせてください。
 このやりやすい方法と正反対なのが、ゆっくりと心情を込めて読むこと、ときどき違う調子で読むこと、きちんとした姿勢で動かずに読むこと、回数を繰り返さずに覚えることを目的として読むこと、声を出さずに黙読で読むこと、最初から早口で読もうとして間違った読み方で読んでしまうこと、などです。

■音読をもとにその長文を子供から親に説明させ家族で対話をする

 音読、暗唱の次に大事なことは、毎週の課題を子供からお父さんやお母さんに説明する時間を作ることです。自由な課題のときは何を書くか、題名課題のときはその題名でどんなことを書くか、感想文課題のときは元になる長文の内容を説明するようにします。子供の方から親に課題を説明することで、子供の自覚が生まれます。そして、その子供からの説明をもとに、お父さんやお母さんが雑談風に似た話をしてあげます。この両親と知的な対話をするという習慣が子供の思考力を伸ばします。
 ところで、子供はせっかく親の話を聞いても、それを作文にうまく書くことができません。しかし、そこでがっかりせずに子供の書いた作文については、いつも温かく関心を持って見てあげることです。作文を書く意欲は、身近なお父さんやお母さんがその子の作文の勉強に関心を持っていることによって育ちます。そして、親から聞いた話は、そのときの作文の中には生かされなくても、必ず子供の心の中に残り、あとから子供の考え方や生き方の中に生きてくるのです。

■書けないときはすぐに相談の電話を

 さて、作文を書いている最中の場面で、共通の相談をよく受けます。
 多いのが、なかなか書けずに何時間も考えていたというものです。先生からの電話のあとすぐに書くというのが原則ですが、電話のあとまもなる食事の時間になったりテレビを見る時間になったりすると、作文は中断してしまいます。
 また、作文の中には、課題にあった例が思いつかず、なかなか書き出せないというものがあります。作文は、最初にすぐに書き出せないと、その書き出せない状態が長くなればなるほどますます書けなくなります。電話のあと10分も考えているようだったら、親が指示して教室に再度電話をさせてください。それで書けないという問題はほぼ解決します。たまに、親に叱られてべそをかきながら電話をしてくる子がいますが、そこまでこじれさせてはダメです。にこやかに早めに対応することが大事です。

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
家庭学習(92) 

記事 1620番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/4
勉強の仕方総まとめ 3 多読と精読が国語力を育てる as/1620.html
森川林 2012/09/19 02:39 


■多読と精読が国語力を育てる

 毎日の自習は、国語や作文の本当の実力をつけるためのものです。そのための最も有効な自習は、好きな本を毎日読むこと(多読)と、少し難しい言葉や言い回しのある文章を繰り返し読むこと(精読)です。これと正反対の国語の勉強が、国語の問題集を解くような勉強です。

 ここは、きわめて多くの人が誤解していることですが、国語の問題集を解くような勉強をしても、国語の実力はつきません。数学の勉強法は数学の問題集を解く形でしかできませんから、多くの人はその延長で国語の勉強も問題集を解くような形を考えてしまいます。そして、実際に、学校でも塾でも通信講座でも、国語の勉強として教えられる方法は、この問題集を解く形の勉強法なのです。

 ところが、実際に中学生や高校生で国語の得意な子を見てみると、そういう問題集を解いて力をつけたというような子はいません。国語の得意な子は、問題を解くような勉強をしなくても生まれつき得意なのだと言う人もいます。しかし、それは生まれつきではなく、毎日の生活の中で自然に多読と精読をしてきたおかげなのです。

 小学校時代の学力の基本は国語力です。算数などの教科は、あとから取り組んでも時間をかければできるようになります。国語だけは時間をかけてもなかなかできるようにはなりません。だから、小学校時代は、勉強よりも宿題よりも、読書を優先させるぐらいでちょうどいいのです。学校の宿題が多くて大変なときは、お母さんが代わりにやってあげてもかまいません。そして、子供には確実に読書の時間を確保しておくことです。


■親が本を読む姿を見せること

 子供に本を読ませる秘訣は、まず毎日のページ数を決めて読ませることです。例えば、毎日10ページ以上というページ数であれば、だれでも本を読むことができます。本にはもともと読み手を引き付ける力がありますから、毎日読んでいれば、必ず読むことが好きになります。

 そのためには、子供の実力に相応の少し易しめの楽しい本を読ませることです。「怪傑ゾロリ」のような本でも、子供が楽しんで読んでいれば、それがいちばんいい本です。

 子供が読書好きになるもう一つの方法は、親も同じように親の好きな本を読む姿を子供に見せることです。親の読書好きと子供の読書好きには、高い相関があります。子供のいる前で親が本を読んでいる姿を見せることが最も簡単な読書の教育です。


■精読とは繰り返し読むこと

 さて、多読で読む力の基礎をつける一方、もう一つ大事なのは、精読で読む力をつけることです。しかし、精読とはじっくり読むことではありません。繰り返し読むことです。やや難しい文章を繰り返し読むために最も役に立つ方法が音読です。

 音読をすすめる人の中には、何のために音読をするのかわかっていない人がかなりいます。ただ昔からある方法だからという理由で、昔からある有名な文章を音読させることが目的のようになっている音読のすすめがほとんどです。そうではなく、音読の最も重要な意義は、繰り返し読むためには音読が有効だということにあるのです。

 難しい文章であっても、繰り返し読んでいると、読むつれて内容が理解できるようになってきます。文章の理解というのは、知らない言葉を調べたり、文章の意味を人に聞いたりする中でできるのではありません。そういう方法は、理解できた気がするだけで、読んだものが自分の血や肉になる読み方ではありません。文章は、丸ごと繰り返し読む中でそのエッセンスが自分の理解力を育て、その中の表現が自分でも使えるようになるのです。この音読をもっと徹底させたものが暗唱です。(つづく)

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
家庭学習(92) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習