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漢字音読集で読みを先取りする新しい漢字の勉強法 as/1687.html
森川林 2012/12/19 19:47 


 小3の子のお祖父さんという方から相談の電話がありました。
「漢字が書けないので、担任の先生に注意されたらしい。どうしたらいいか」という内容です。

 漢字が書けないという学習障害もあるかもしれませんが、そういうケースはごくまれで、漢字が書けないのは単に漢字の練習をしていないからです。

 ところが、漢字の勉強というのは簡単そうに見えますが、確実に力をつけるためにはかなり時間がかかります。
 そのため、たいていの子は、少し漢字の勉強を始めてみたものの、いつの間にか飽きてやめてしまうのです。

 それは、今の漢字の勉強法が、漢字ドリルを解くような形で進められることが多いからでもあります。

 江戸時代の寺子屋での漢字の勉強は、往来物と呼ばれる手紙形式で書かれた一種の教科書を音読する形で行われていました。この教科書には、生活に必要な難しい漢字がぎっしり盛り込まれていました。まずそれらを読めるようにして、そのあと書く練習をしていたのです。

 この勉強法は現代にも生かせます。
 学校で習う漢字は、教科書に出てくるつど、その漢字や熟語だけ取り上げて勉強するのではなく、文章の形である時期に集中して読めるようにしてしまえばいいのです。

 漢字の勉強のいちばんの目的は、漢字が書けるようになることではなく、その漢字で書かれた文章が読めることにあります。
 漢字の書きは、パソコンで変換すれば誰でもできます。漢字の意味は読みがわかればすぐに調べられます。しかし、漢字の読みだけはあらかじめ知っていないと、手も足も出ない感じがしてしまうのです。

 中国には、千字文という千字の漢字を一文字ずつ使った詩があり、これが漢字を学ぶ教科書になっていました。
 日本でも、いろは47文字(「ん」を入れると48文字)が、日本語のかなを習う教科書のような役割を果たしていました。

 同じように教育漢字を学年ごとにつなげ、ひとまとまりの文章にして音読できるようにするという試みも、既に何人かの人によって取り組まれています。

 しかし、これらの試みの多くは、意味が通じる文章ということを優先しているため、文章のリズムとしては必ずしも読みやすいものにはなっていないようです。

 そこで、言葉の森では、意味よりも読みのリズムを優先した漢字音読集を作りました。
 これなら、小学校で習う教育漢字だけでなく、中学校で習う常用漢字もすぐに作れます。

 言葉の森では、毎日の自習として1日10分ほどの暗唱で1ヶ月で約1000字の文章を暗唱する練習をしています。同じ要領でこの漢字集の音読をやれば、小1から小6で習う約1000字の漢字も、わずか1ヶ月で全部読めるようになります。
 同じように、中学校で習う約1000字の漢字も、約1ヶ月で読めるようになります。

 このように漢字の読みが学年よりも先取りしてできるようになると、今度はふりがなのふっていないちょっと難しい文章も読めるようになります。

 また、漢字の暗唱ができるようになったら、暗写をすることによって、漢字の書き取りも学年を先取りしてできるようになります。

 今、日本には、両親が外国人である子供も増えていますが、これらの子供たちのいちばんの学習上の障害は難しい文章が読めないことにあります。日常会話では不自由しないのに、文章の読み取りが苦手なために、勉強が難しくなる小5あたりから勉強についていけなくなる子が多いのです。
 文章が読めないというのは、日本語の場合、ふりがなのついていな漢字が読めないというところから来ています。

 だから、漢字の読みの先取り学習を、この漢字音読集で行えば、学習上の困難は大きく緩和されます。

 日本には、江戸時代の教育遺産から学ぶものがまだかなりあるのです。

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作文を直す前に、直せる力をつけること(facebook記事より) as/1686.html
森川林 2012/12/19 11:06 



 小3の子のお母さんから、体験学習を始めた1回目に、
「先生、もっと句読点の打ち方や、おかしい言い回しを直してください」
と、要望のひとことがありました。

 でも、直してすぐ直るくらいなら、もうとっくに直っていたはずです。
 だから、直してもすぐには直らないでしょう。

 そうすると、直すために、同じ注意を何度もすることになります。
 すると、先生が熱心になり、子供が真面目になるほど、勉強は苦しいものになっていきます。

 せっかく作文が好きになろうと思って始めた勉強が、苦しい勉強になり、長続きしなくなったら、元も子もないのです。

 子供の書いた作文に直すところがあったら、その原因は、作文にあるのではなく、これまでの日本語の生活の中にあります。
 だから、直すのは作文ではなく、毎日の読書を含めた生活の方なのです。

 そのために、毎日の自習として音読や暗唱や読書をしていきます。
 その毎日の自習がスムーズに進むように、作文はいつもいいところを褒めていくのです。

 自習によって読む力ががついてくれば、作文にもし直すことがあっても、それはひとことの注意ですぐに直ります。

 これは、作文に限らず、勉強すべてに共通します。

 子供たちはみんな、勉強ができるようになりたいと思っています。
 好きでテストに悪い成績をとりたいと思っている子はいません。

 成績が悪いとしたら、それはその子の努力不足というよりも、これまでの勉強の仕方を含む学習生活の問題があったのです。


 褒めることが大事ということはよく言われますが、その前提は、できるようにさせて褒めるということです。

 直すことも同じです。ただ直すのではなく、直せるようにしてから直すことが大事なのです。



 今日は寒い一日になりそうです。

 忘年会のシーズンですが、暖かくしてお過ごしください。

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